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異形の魔術師  作者: 東海林
事の始まり編
6/24

第6話

 えー、現場からお伝えします

 通路が騒がしくなって10分ほど経っていますが、未だ動きがありません

 どうやら、通る通らないで揉めているようです

 いったいこの後どうなるのでしょうか?

 鉄格子に近づけない自分には伺う事ができません

 現場からは以上です


 そうなのだ、騒がしいままなのだが進展が無いのだ

 この騒ぎが自分に関係ない可能性も……

 いや、十中八九関係あるよねぇ……


 そうこうしているうちに、バタバタとこちらの方に向かってくる複数の足音

 全身フル装備をした騎士が4名現れ、槍の切っ先をこちらに向けてくる

 反射的に腰を浮かせて、いつでも動けるように身構える

 騎士の殺気が尋常じゃ無い、下手に動けば即攻撃される一触即発の状態


 次いで聞こえてくる複数の足音

 やがて騎士の後ろに姿を現したのは7人の人物

 足音からしてもう数人居るようだけど、一番奥の人物を見て目を見開く


「エルントス殿下」


 慌てて臣下の礼を取る


「化け物風情が高貴なお方の名を呼ぶとは無礼である!死して償え、攻撃用意!!」

「辞めよ!ポ-トリス第2騎士団長、これはエルントス=ラーゼン=ブレネストの命である」

「殿下!何度も申し上げますが、このような下等な化け物などすぐに…」

「ポ-トリス第2騎士団長!」

「はっ」

「では聞くが貴殿が『下等な化け物』と称するそこの者は何故臣下の礼を取っている?」

「そんなはずはありません、偶々そのように見えるだけでございます、先ほども暴れたのを鎮圧したばかり、可及的速やかに殺処分すべきです」

「貴殿の再三の進言は理解した、だが私の聴取が終わるまで控えるように」

「ぐっ、判りました」


 牢屋に入れられて拘束されているけど、まだ命があるのは殿下のおかげのようだ

 あの騎士団長は殺処分強行派っぽけど、確か第2騎士団は卒業パーテーで警備に当たってた気が


「では聴取を始める、記録係子細漏らさず記すように」

「滞りなく」

「牢の中の異形の者よ面を上げよ、直答を許す」


 顔を上げると鉄格子すぐの騎士はいつでも攻撃できる態勢のまま

 奥の殿下の両側にはデライト様とスーネリア様とハロルド様の姿が

 正装していると言う事は、それなりに時間が経っているみたいだ

 その近くで件の騎士団長が鬼の形相で睨み付けている

 おっかねぇ、なんでここまで恨まれなきゃなんだ?


「異形の者よ名と性があるのならば述べよ」

「このような場で直答の機会を賜り誠にありがとうございます。私の名はランディ、ただのランディにございます」


 騎士や文官達が息を飲むのが判る

 見た目は化け物、それが流暢に人の言葉を話す事に衝撃を受けたようだ

 それとは対象に殿下とデライト様とスーネリア様そしてハロルド様は安堵した表情に


「異形の者よ、名はランディと申すか、調べに寄ればその方は貴族だっと…」

「殿下何を世迷い言を!!」

「ポ-トリス第2騎士団長、私に同じ事をまた言わせるつもりかね?」

「何度でも具申いたします!このような下劣で下等な化け物など今すぐ殺すべきです!」


 氷そうなほど冷たい思念を向ける殿下に真っ向対立する騎士団長

 この騎士団長様はどうあっても自分を亡き者にしたいらしい


「ポ-トリス第2騎士団長、貴公の忠誠と進言は心にとどめておく」

「はっ、ありがたき幸せ、しからばすぐにこの化け物を処分…」

「アラン、ゲール、ポ-トリス第2騎士団長はお疲れのようだ、部屋へお連れしろ」

「なっ何をする、離せ、離さぬか!!」


 殿下の傍に控えていた二人の騎士が、問答無用で騎士団長を連行していってしまった

 ずっと喚き散らしていたようだけど、区画から出たのか聞こえなくなる

 鉄格子の前の騎士はどうしたら良いのか困惑の表情をしている


「では聴取を続ける、その方は貴族籍であったと調べが上がってきているが、家名を言わぬ理由を述べよ」

「はい、私は確かに貴族の末席に身を置いて居ました。生まれはフォーンツ子爵家の三男で有ります。性を名乗らなかった理由ですが、家は兄二人がおり安泰、貴族籍にも未練はありませんゆえ平民になる事を選びました。学園の卒業パーテーの翌日から貴族籍を抜け平民となる手続きも完了していました。故に少なくとも1日は経過していると考えたためであります。」


 その後もいくつか質問され、淀みなく嘘偽り無く答えていくと騎士や文官は驚愕の表情を浮かべていく

 デライト様とスーネリア様は何故かニコニコしている

 ハロルド様は無表情でこちらを見ているけど、口角が若干上がってる


「以上で聴取を終了する」


 体感時間で1時間ぐらいだろうか?ようやく聴取が終わる

 この後戻って自分の処遇を検討するらしい

 殿下達の戻り際にスーネリア様が小さく手を振って去って行ったのが印相的だった

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