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異形の魔術師  作者: 東海林
王立魔術院編
13/24

第13話

 翌朝は何時も生活していた時間に起きる事が出来た

 寝室のドアが静かに開く


「おはようございます、お召し物をお持ちしました」


 そう言ってまた新しいメイドさんがワゴンを押して登場

 今日の人はそのまま退室していってくれたので素早く着替える


 居間に行くと、ミシュリーさんとメイドさんが朝食の準備をしてくれていた


「おはようございます、ランディ様」

「おはようございます、こちらへ」

「あぁ、おはよう」


 挨拶を返してメイドさんに促されるまま席に着くと、テーブルに朝食が並べられる

 そう、並べられるけど何故か目の前では無く、隣の席の前に

 戸惑っているとメイドさんがスープを掬ったスプーンを差し出してくる


「さぁ、どうぞ」


 語尾にハートやら音符やら付きそうな雰囲気が漂ってるのは気のせいか?

 コレは、アレですか?

 一部に狂信者が居る『はい、あーん』ってヤツですか?

 前世の記憶でも無いよ、こんな状況

 早く食べて雰囲気が漏れ始めているメイドさんを見ると、こちらもものすごくイイ笑顔だった

 困惑してミシュリーさんを見てみると、こちらもイイ笑顔で頷かれた

 もはや退路なし

 メイドさんに給仕されるがまま朝食を食べ終わった頃には、ゴリゴリに精神力が削られて疲労困憊だった

 コレは付き合いって間もない通称『バカップル』か、SAN値?何それ美味しいのっと言う熱烈な狂信者じゃないとキツいわ…





 最後に嫌いでは無かったとだけ言っておく



~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


 ゴリゴリに削れた精神力が回復仕切る前に、ミシュリーさんと共に馬車に揺られて王立魔術院へ向かう

 魔術師団とも関係あるのでその施設は王宮に隣接しているけれど、お互いの敷地と建物が巨大すぎて、ちょっと行ってくるでは済まない距離になっている

 そうこうしているうちに王立魔術院の正面に到着する

 正面の中央館、中央館を取り巻くように研究室がある6本の塔が印象的な建物である

 馬車は降車場に静かに到着すると扉が開かれる

 ミシュリーさんが降りて手を差し出してくれる

 普通逆じゃ無いかなぁと思うと同時に、昨日の助手さんの姿が頭を過ぎって、降りるのを躊躇ってしまう

 今朝のメイドさんもそうだけど、配慮されてこの姿に何とも思わない人たちばかりで忘れかけていた

 これからは昨日のような事が何時起きてもおかしくない事に

 だけど、元に戻る方法は自分から動かないと見つからないだろうし、せっかく殿下が人と共に生きていけるチャンスを用意してくれたのを不意にしたくない

 大きく深呼吸して先ほどミシュリーさん達に整えてもらった髪をかき乱して目にかかるようにする

 ミシュリーさんには悪いけど、このは爬虫類のような目を隠す事で、少しでも印象が変わってくれたらと思う

 ありがたい事にそんな自分を見ていたミシュリーさんは、一瞬おどろいたようだけど何事も無かったようにしてくれている

 そう言えば前世の記憶の中に、漫画かアニメでお面とかヘルメットとか着ぐるみを被ったキャラが居たような気が?

 今後のためにも考えておこう



 降車場に降り立つと初老の2人の人物が待っていた


「初めまして、ランディ=ランドラゴン準男爵。私は王立魔術院の院長を勤めていますホルムクル=ローゼンハイム、爵位は侯爵を賜っています。そしてこちらが私の妻で副委員長でもあるサリアーナです。」

「改めましてサリアーナです。よろしくね。」

「今日からお世話になります、よろしくお願いします」

「では、目が多すぎて落ち着かないから執務室で一通り説明の後、院内を案内しよう」


 確かに姿は見えないけれど、複数の視線を感じて落ち着かなかった

 動物園の動物もかんな視線を受けてるのかな?

 そう言って自分達を執務室に案内してくれた

 通された執務室は、派手さは無いが品良く纏められている

 ホルムクル院長とサリアーナ副院長は対面のソファーに座る

 ミシュリーさんは後ろで控えていてくれる


「まずは、院内の今の様子を教えておこう。先ほど感じたと思うが君は非常に注目されている。言い方が悪くて申し訳ないが、生きていてしかも対話が可能な魔法生物は希有でね。皆興味の赴くままに研究がしたくて研究職に就いた者ばかりでね、例え研究分野が違っても興味が尽きないのだよ。しばらく彼らに付き合ってくれないかい?」

「拒絶や敵対心が無いだけマシですよ、できる範囲で良ければ。」

「そう言ってくれると助かるよ。こちらもできるだけ負担にならないよう手配をするつもりだ。」

「では次に、これを渡しておきますね。王立魔術院のローブです、と言っても皆研究しやすい服装で居るので、着るのは式典や正装が必要な時だけですけど」


 そう言ってサリアーナ副医院長は、机の上の箱を開けて見せてくれる

 そこには白地に青い縁取りのされたローブだった


「袖を通しても?」

「ええ、もちろん」


 早速ミシュリーさんに手伝ってもらってローブに袖を通す

 話が着ていたのか、サイズもちょうど良いし尻尾の逃げも用意されていた

 そして右胸には王立魔術院の紋章が刺繍されていた

 学園時代スーネリア様は魔術院に入りたいと言ってたっけ

 この前は殿下の前だったから何も言わなかったようだけど、今度は何か言われるかな?


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