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第6話 準備万端で待つ




ナンシーさんとの顔合わせが終わると、エミリーさんとはお別れだ。

新人教育係として、俺にこの一週間という短い期間にいろいろと教えてもらった。


しかし、別れはあっさりとしたものになった。

何故なら、エミリーさんとは同じ会社の社員であり、連絡をとろうと思えば連絡が取れるのだ。

それに、仕事で一緒になることもあるから、その時はよろしく、とあいさつされて別れた。



俺の宇宙船であるランスロットと繋がっていた通路は、エミリーさんの宇宙戦艦側で用意したものだったようで、切り離すと回収していった。


回収が終われば、後はブリッジのモニターでお互い挨拶をして、エミリーさんの宇宙戦艦は方向をゆっくりと変えていき広大な宇宙へ旅立っていった。


俺たちは、その様子を見えなくなるまで眺めていた……。




さて、新人研修が終われば、次は長旅の準備に入らなくてはならない。

いくら貨物を運ぶだけとはいえ、惑星間を航行するのだ。


膨大な時間がかかることが予想される。

その間の暇を、どう埋めるかが問題だ。

だから、とりあえず本を購入することにした。


仕事はまだしたことはないが、明日には任される運搬が確実にあるのだ。

最初から、失敗して使えない認定は避けたい。


「カレン、明日からの航行で必要なものをリストアップしてくれるか?」

『はい、お任せを』

「エヴァは、オリビアが起きてきたら一緒に、備品のチェックをお願い」

『わっかりました!』


備品とは、宇宙服とかのことだ。

忘れていたが、外は真空の宇宙だ。生身の体で出ていくことはできない。

また身の回りの物のチェックも怠らない。


時間はないが、日本で購入できるものは購入しておきたいのだ。

それに、役所にいろいろと届け出をしていなかったことを思い出した。


今日は、平日だ。

地上の社員寮の自分の部屋に戻ったら、いろいろ回ってこなければならないだろう。

ほんとに、今日は忙しくなる……。




▽    ▽




「ん~……」


地上に戻ってきて、社員寮から役所へ直行すると、転居届などいろいろな書類を提出。また、ほかにも郵便局やらあちこちを回り、必要な手続きがようやく終わった。


手続きと移動で、二時間ほどかかったがこれから銀行でお金をおろして、買い物だ。


今まで貯金してきたお金、五十万円を下ろし、まずは古本屋へ移動。

長い航行の間、暇つぶしができるようにまとめ買いをする。

勿論、なるべく新しめのヤツを購入するようにした……。



次は、業務用のスーパーだ。


長い航行の間は、日本の味が懐かしくなる時がくるだろう。

そのために、保存のきくインスタント物を中心に購入していく。


冷蔵庫もあるし、半年分を目安に購入しておこう。



次は服を購入しようかと思ったが、ここで資金が切れた。

とりあえず服は、引っ越しで持ってきたものを亜空間コンテナに入れておこう。

でも、下着だけはある程度買っておこうか。


……まあ、今はこんなものだろう。

本に関しては、こっちに帰ってくるたびに購入する予定になるかな。




そういえば、さっきカレンに持たされた携帯に連絡が来て、仕事をしている間の制服があったと言っていたな。

その制服を着て、宇宙船の艦長をするということだろう。


後、宇宙服も、俺たち乗組員専用のものが見つかったそうだ。

何でも、貨物室のコンテナに入っていたとか。


会社のユニホームもその中に入っていたし、エミリーさん、知らせるの忘れていたのかな?

とにかく、今日はもう日がくれそうだから社員寮に戻って、明日からの仕事のために親に連絡をしておこう。


何かあって、仕事でいないときに連絡くれても出ることはできないからな……。




▽    ▽




次の日の朝、寝室に置かれた目覚ましのベルが鳴り起きだす。

眠い目をこすりながら、目覚ましを止めベッドから降りて伸びをする。


「ん~……」


ベッドを見れば、昨日と同じ……いや、今日はオリビアが追加でまだ眠っている。

……おかしいよな、俺が寝るときはベッドには俺しかいなかったのに、朝起きれば、四人一緒に寝ているなんて……。


……とりあえず、顔洗うか。


こうして、今日も一日が始まる。

だが、今日からはいつもと違う日常になるはずだ。

何せ、今日から本格的に仕事を始めるからな。


顔を洗い、トイレを済ませて手を洗う。

……しかし、宇宙船の中にいるのに、疑似重力発生装置のおかげで地上と同じ生活がおこなえるとはな。

やはり、俺たちの文明より何世紀も先を行っているよな……。



そんなことを感心しながら食堂へ入ると、すでにカレンが起きて朝食の用意をしていた。


「おはようカレン、朝食の支度をありがとう」

『おはようございますマスター、エヴァとオリビアを起こしてもらえますか?』

「分かった、起こしてくるよ」


そう返事をし、俺は食堂を出て寝室へ向かう。



寝室に入ると、ベッドでまだ寝ていたのはエヴァだけだった。

気持ちよさそうに、大口開けて寝ている……。


とりあえず、エヴァだけでも起こすかと声をかけるが、鬱陶しそうに寝返りを打つだけだ。これは、身体を揺すって起こすしかないと、身体を揺するとようやく起きた。


『ん~、マスター?』

「ああ、もう朝だぞ。それと、もうすぐ朝食だ。

すぐに顔を洗ってこい」

『は~~い…』


そう言って、寝室の向かいにある洗面所に歩いて行く。

そこへ、エヴァと入れ違いに出てきたのがオリビアだ。


「おはよう、オリビア。もうすぐ朝食だぞ」

『おはようございます、マスター。

今日はお仕事の初日、しっかり頑張りましょうね?』

「ああ」


笑顔で励まされたな。

しかし、カレンもエヴァもオリビアもアンドロイドなんだよな……。

ほとんど人と変わらないじゃないか?


一体どんな所が、こんなアンドロイドを開発研究しているんだ?




その後、着替え終わったオリビアと、まだ眠たそうなエヴァを連れて食堂へ。

カレンが用意した朝食を、みんなそろって食べると制服へ着替えることに。


「何か、この制服を着ると就職したんだなって思えるな」

『フフ、似合ってますよマスター。どこからどう見ても艦長さんです』

『うん、カッコいいよマスター!』

『はい、素敵ですマスター』


三人に褒められ、どこか気恥ずかしい。

でも、悪い気はしないな……。


カレンたちも制服に着替え終わり、寝室の明かりを消しブリッジへ向かう。


後、カレンたちは更衣室で制服に着替えたんだよ。

寝室からすぐ隣に更衣室を設けてある。

寝室から入れるし、いちいち廊下に出ることはないから勘違いしたかもしれないが……。




ブリッジに到着し、中に入ると照明が俺たちに反応して明かりをつける。

それと同時に、いろいろな装置の電源が入る仕組みだ。


誰もいないときは、スリープ状態ってこと。

宇宙船のメイン電源を落とすことはないらしい。どこに停泊していようとも、メイン電源は落とさずスリープ状態で待機するのだとか。


「それじゃあ、ナンシーさんから連絡が来るまでに各箇所の点検を済ませて」

『『『了解』』』


俺も艦長席に座り、計器類のチェックや点検をしていく。


しかし、こんなワクワクした気持ち、久しぶりかもしれないな。

どんな仕事を任されるのか……。









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