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羊物語  作者: 等々
2/7

俺の毛皮って上物?

≪ミッション達成(クリア)

ミッション・羊と話そうをクリアしました。

ビルドポイントが1加算されました。

現在のビルドポイントは1ポイントです。


、、、、はい?

ミッション達成?ビルドポイント?頭のなかがはてなでいっぱいですが?

ミッションってことはなにかこなさなきゃいけないってことなのかな?羊と話すことがやるべきこと?なにそのヌルゲー、どこぞのブロックゲーじゃないんですよ?

ビルドポイント?ビルド?つくる?創る?造る?作る?この蹄でなにをどー作れと!?


羊さんが歩きながら唸っています、なにか悩みごとでもあるのでしょうか。

(必要なこととはいえ知識を奪いすぎましたかね?人間のままの知識なら異世界転生にボーナスポイントといろいろ察することができてスムーズだったでしょうか、、、いえいえ、あまりさくさくと進められても面白味にかけてしまいます。小説なんかの予備知識はこのまま封印しておきましょう。)

あ、でも花はよけて歩いてますね。いいこです。フラフラとしながらもしっかり牧場主さんがいるおうちに到着しました。

テラスで休憩していた主さんが羊さんに気がつきました。


「ん?毛を刈りにきたのか?少し待ってろ」


はい?俺返事してませんけど?あ、もういっちゃった。お茶してたんじゃないの?せっかちだなぁ。

主さんてあれかな?褐色肌にゴツい体極めつけのハゲ頭、格好は白シャツにくすんだねずみ色と枯れ草色を混ぜたような色のオーバーオール。


「待たせたな。すぐ刈ってやるからこっちにこい、おとなしくしとくんだぞ」


道具もってきたのかおっさん、早かったな。

家のとなりの小屋で刈るのか?って顔近いよおっさん、あんた子供に目線合わせようと屈んでその顔で泣かれるタイプだろ!?

白い眉毛に白いひげ、青い瞳に鼻の上に斜めの傷痕。これで泣かないのは身内だけと見た。

俺は泣かないよ?ハゲは大抵いいやつって相場が決まってるんだ。デブハゲならともかく筋肉だるまのハゲに悪いやつはいない!俺は知ってるんだぜ。

にしても俺の頭を撫でる手が止まらないんですが


「いい毛並みだ、これはいい値がつきそうだ。お前の毛は別にしておこう。」


お、散髪始まったか。にしても二分近くプロが俺の毛に夢中になるとは、俺って罪な羊だな。

このおっさん毛刈るのうまいな。気持ちよくてついウトウトしちまうよ。


「よし、もう動いていいぞ。」


早っ!十分たってませんけど!?手動のバリカンとハサミで終わる速度じゃないですよね!?全身くまなくやってもらったはずなんですけど!


「鏡を見せてやろう」


うそ、だろ。

モコモコ感が失われない範囲で全体を刈りつつ、視界にはいって邪魔だった毛や歩くのにうっとうしかった足回りの毛は綺麗にカットされている。この速さだからざっくり丸刈りにされてると思ってたのにプロってスゲーわ。


「じっとしてくれてずいぶんと刈りやすかったぞ、ありがとな。だか、契約してないのにあそこまでおとなしいのは、もう少し警戒心ってものをもった方がいいと思うがな」


契約?契約ってなんだおっさん!?ミッションとかビルドポイントとかについてもなんかしってんのか!?頼むおっさん教えてくれ、俺の頭じゃ考え抜く前に睡魔が襲ってくるんだ!


「おーおー、なんだ?急に元気になって、もしかして契約したいのか?珍しいな、自分から言い出すやつは」

「メェー!」(なんか知らんが構わん!)

「そうかそうか、なら契約しよう『契約(けいやく)する、()対価(たいか)はそなたの生命(せいめい)保護(ほご)。そなたの対価(たいか)毛皮(けがわ)提供(ていきょう)(おう)じるならば(こた)よ』」


おっさんが屈んで手を俺にかざすとエコーがかかったような声で契約内容をしゃべり手のひらがぼんやりと青く光る。

この手に触ればいいのか?ほい!


「ッ!ふ、くくく、、、契約成立だな」

「メェー!?」(なんで笑ってんだ?面白いことでもあったか?)

「結構契約してきたが、ハイタッチしてくるやつがいるとは、くくく、おまえ中に人間でもはいってるんじゃないか?」

「メェー、メェー?」(いやいや、羊100パーセントですよ俺?)

「あー、すまん。なにか言いたいのは分かるんだが、俺のできる契約は意思疏通できるものじゃないんだ。誰かの生まれ変わりだとしたらすまんな」

「メェー?メェーー」(あ、そうなの?残念、ミッションとかビルドポイントとかそういうの聞きたかったのに)

「まあ、そんなにしょんぼりするな。いいものをやるからこっちにこい」

「メェー」(いいもの!?話聞いたあいつがいってたご褒美ですか!?それをはやくだしなさいよ)


≪ミッション達成(クリア)

ミッション・人間(にんげん)交流(こうりゅう)しよう

ミッション・人間(にんげん)契約(けいやく)しよう

ビルドポイントが3加算されました。

現実のビルドポイントは4ポイントです。


羊さんは牧場主さんに毛を刈ってもらって御満悦なようですね、すっかり仲良くなって契約までしてしまいました。

あ、自己紹介してくれようとしてるんだからもらったニンジン食べるの少し待ちなさい、待ちなさいってば!


いやーニンジンうめぇーわ、ニンジンてこんなうまいもんだったんだな。全世界のニンジンがこんなにうまいなら嫌いな野菜トップ10から抜け出せるんじゃないの?

この歯応え、この風味、この喉ごし、ひょっとしてニンジンスティックって世界狙える料理だった?


「「「バウッ!!」」」(((聞け!)))

「メェ!」(わ!ビックリした!)


そりゃあ怒られますよ、人の話も聞かないでニンジン(むさぼ)ってるんですもの。


「どうしたお前ら、、、、さてはニンジンに夢中で話聞いてなかったな」

「メェー」(すんません)

「もう一回最初から言うぞ、黒いのがケル。猟犬(りょうけん)で俺と一緒に狩りをするから俺がいるときは大抵ここにいる。」

「バウッ!!」(よろしくな)

「白いのがベロ、ぶち柄がスー、牧羊犬(ぼくようけん)だ。夕方になったら向かいの羊小屋におまえ達を誘導する。三匹ともたまに牧場を回って警戒してくれてはいるが狼が襲ってきたりしたらこいつらのとこまで逃げろよ。」

「メェー」(あいよ、おっさん)

「グルル」(守ってやるけどボスに馴れ馴れしいぞおまえ)

「ワンッ」(お前、暖かそうだな。夜おまえんとこで寝ていいか?)

「メェー」(ばっちこい!みんなで雑魚寝って楽しいよね)

「ワンッ!」(無視かこら!)

「こらこら、いじめてやるな。まあ、なんかあったらこいつらを頼れ。おもいっきり鳴けば駆けつけてくれるし、家の近くには俺がいる。この牧場にいればそう死ぬような目には会わないだろう」

「メェー」(確かにおっさんなら狼とか倒せそうだよな、素手で)

「バウッ」(おー、主は強いぞ。弓や魔法はからしきだが斧を握らせれば敵なしよ。)

「メェー!メェー」(さすが!やっぱハゲ×筋肉とくればバトルアックスですよね!振り下ろされる一撃はどんな獲物だろうと真っ二つ!)

「バウッ!!」(わかってんじゃねえか!獲物を一本道の袋小路に追い込んで逆上して突っ込んできたところをバッサリよ!)


あらら、変なところで話題に花が咲いちゃいましたか、牧場主さんはもうお家に入っちゃいましたよ。それにほら、ミッションとかビルドポイントのこととか聞かなくていいんですか?


「メェー」(そうだケルさん、俺聞きたいことあったんだった)

「バウッ」(おう、なんだ?)

「メェー」(ケルさんミッションって知ってる?)

「バウ」(ミッション?なんだそりゃ)

「メェー」(じゃあビルドポイントは?)

「バウ」(ポイント?あー、ボーナスポイントのことか)

「メェー」(どんなの?)

「バウ」(あー、おまえらは呑気だからこういうことを子孫に伝えるとかってしねぇのか。ポイントっていうのは空から俺らの事を見てる女神様が頑張りに応じてくれる力の源みたいなもんでな。牙や爪、毛皮なんかの好きなところを強くできるんだ。)

「メェーメェー」(ほうほう、それってどうやってやるんです?)

「バウ」(頭んなかで考えりゃ自然とできるぜ)

「メェー!」(そこだけアバウト!)

「バウ」(わりぃな、どうやって歩いてるのか説明するくらい自然なことで難しいんだ。それより後ろで呼ばれてるぞ)

「バウッ!!」(おまえで最後だ!さっさと小屋にはいれ!)

「メェー」(あ、ベロさん。ちっす)

「バウッ!!」(だから馴れ馴れしいぞ!)

「メェー」(いま、大事な話してたんですけど)

「バウッ!!」(いいから入れ!ボスが鍵をかけられんだろうが!)

「バウ」(また明日な)

「メェー」(へーい)


話し込んでいる間に夕暮れです。よいこはおうちに帰る時間。羊さんも今日は帰ってお休みです。モコモコな羊さんたちに囲まれてみる夢はきっと素敵な夢でしょうね。


≪ミッション達成(クリア)

ミッション・毛皮(けがわ)()もれる素敵(すてき)(ゆめ)をクリアしました。

ビルドが1加算されました。

現在のビルドポイントは5ポイントです

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