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哀れな無能者

「おっ、スキル詳細の???が取れたぞ」


どれどれちょっと見てみますか。


俺はスキル詳細をタップしてシェイナにも見れるように画面を大きくする。


スキル[形質移動(メイシャル)]

スキル詳細:特性、性質、形態を奪い、自分、又は他者に付与する。


「うわーなのです」

「ほんとうわーだな」


この反応しか出てこない。っていうかなんちゅうデタラメな能力だよこれ。使い方によっては多対1とかでも勝てるぞ。


万能系スキルと言えどもここまでのとは考えてなかった。シェイナも明らかに驚いた顔してるから恐らくこういうスキルは希少。まぁいっぱいあったらゲームバランス的にマズイもんな。


「では少し研究といくのですよ」


それからシェイナと俺は試行錯誤してこのスキルがどんなものかを調べた。


結果、このスキルの特徴としては


「[形質移動]は[無能者]の固有[ユニーク]スキル。多分どの職についてもこのスキルは出現しないと思うのです。三次職になれば分からないですが、まぁ無いと思うのですよ」


[無能者]つっても良いスキルは手に入るんだな。レベルも25で大分上がったし滑り出しとしては順調かな。


俺は倒したモンスターから落ちたドロップアイテムを整理し、シェイナの方へ向かうと何やら真剣な表情で首を傾げてた。


「ジント。レベル25の時点で出現したスキルは「[形質移動]ひとつです?」

「ん?そうだぞ」

「なるほどなのです…」


考え込むように再び首を傾げボヤくシェイナ。

暫くしてから顔を上げると妙に神妙な表情で俺を見つめてくる。どうやら良い報告では無さそうだ。


「多分なのですが二次職にランクアップするまで他のスキルは出現しないと考えていた方が良いと思うのです」


それはある種[無能者]という職故の言葉。


シェイナが言うにレベル25にもなれば大体2~5程スキルは出現するらしいが俺の職[無能者]どうにもスキルが現れる兆候が見られない。それは無能者の所為なのか、それとも1つのスキルが強すぎる為の実質的な措置なのか。よくわかんないな。


「[無能者]という稀に見る希少な職に関して言えば例外は有り得るのです。ですが潜在能力値(ステータス)があまり上がらないのを見ると()()()()()()と考えた方が良さそうなのです」


なるほど。もう良くも悪くもこの職は王道の道を歩ませようとはしないってことなのね。しかし今の俺にとってはうってつけだ。


どう転んでもこの職だとソロ戦闘はキツすぎるしスキルの説明通りならこのゲームを良く知る奴が側にいるのが最も使いやすい。そして今俺の隣にいるシェイナはこのゲームでも恐らく上位に入る実力を持つトッププレイヤー。こんな好条件で[無能者]の職を獲得出来るのは俺くらいだろう。


「本当に最初に会ったのがシェイナで助かったわ」

「急になんなのです!気持ち悪いのですよ!!」


手をバタバタとさせ苦い顔をするシェイナ。何もそこまで拒否反応を示さなくてもいいと思うんですが。取り敢えずこのスキルはある程度慣れるまで実践で使うのは辞めておこう。


そう言えば気になっていたことがあるけどサブ職ってどうやって手に入れられるんだろうか。普通ならレベル幾つとかになれば取れるとかだと思うんだけど。


「サブ職なのです?それならもう取れるのですよ」

「マジか」

「そもそもサブ職は本職を獲得した時点でもうなれるはずなのですよ。…もしかして最初の説明飛ばしたのです?」


やべー全部スキップしてたわ。やっぱりああいうのは飛ばしたらマズイ感じなのね。今度からイベントとかの説明はちゃんと聞こっと。


ジト目で睨んでくるシェイナに苦笑を漏らしながらも俺はスキルも分かったとこなのでサブ職を取りに行くことを提案した。早めにとって損は無いしな。


「それならクエスト案内所で取ればいいのです。あそこならお金は掛かるのですが直ぐに手に入るのです」


へぇー便利なんだな。お金ならドロップした奴を売れば多分足りるかな?俺今一文無しだし。


俺は善は急げという事で直ぐにクエスト案内所へ向かった。


「あっ!でも…行っちゃったのです」


言葉など聞かず直情的なジントにやれやれと身振りするシェイナだったが急いで後を追いかけて行った。


ーー/クェーグル[クエスト案内所]/ーー


「5万D掛かります」

「高ぇ!?」

「人の話を最後まで聞かないからなのです」


シェイナはムスッと頬を膨らませ怒ってますとアピールしてくる。何でこんなに掛かるんだよ。


「サブ職の獲得は最初に職を決めたあの場所でしか手に入れられないのです。まぁそもそも説明聞かないバカはほとんどいなのいのですが」


「返す言葉もねぇ…」


仕方無くアイテムドロップで得たお金5万ピッタリを渡し、奥の部屋へと案内される。

そこにあったのが初めて職を手に入れた、あの部屋にあった本が置かれていた。やっぱりあれで決まったんだな。


俺は促されるまま本に手をかざす。するとあの時のように目が眩むような眩い光が部屋全体を覆う。さて、どんな職かなー。


ピロン。


system_カミキタジント様のサブ職を入手できませんでした。


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