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フレンドリスト0

ハルベル村での初クエストが終わり、一息つくために俺とシェイナはクェーグルの大広場を右に進み少し曲がった所にある「ペネラの館」と言う喫茶店にいた。


内装は質素で物もほとんど置いておらずどこか落ち着く雰囲気があった。

シェイナが言うにはここのどの食べ物、飲み物も全てめっちゃくちゃ美味しいらしい。

なのに流行らないのは店長の性格によるものとも言ってた。


「ジントはなにを頼むです?」

「うーん、シェイナのオススメでいいわ。まだ初めて来てよくわかんないからな」


シェイナは「わかったのです」と頷くと店員を呼びメニューを頼んだ。どんなのがくるか結構楽しみだ。


ゲームなら何を食べても飲んでも太らないから良いよな。いくらでも食えるし。まぁその分食費が重くのしかかってくるけど…。


ゲームって言えばこの「GoG」どんくらい(ジョブ)があるんだ?


「想定されてるのは約500職なのです。」

「…多いな」


何でそんなにあるんだよ。多分こういうところも人気のひとつなんだろうな。


俺が続きの話を促すと人差し指を立て、耳をピクピクとさせながら饒舌に話す。自慢の知識をお披露目できて嬉しいんだろうな。顔が誇らしげだもん。


「まだ公式はどのくらい職があるのかを発表していないのです。だからまだどれくらい増えるのか謎なのです。」


シェイナはそれからも雄弁に語ってくれた。

中でも一番驚きだったのがこの世界にも農業系、工業系など非戦闘職の職があったことだ。


「ランダムジョブシステム」によってランダムで決められる職。もしそこで非戦闘職になんてなったあかつきにはバカにされる事はもちろん、パーティーとか組みづらくなるだろうな…って思ってたけど案の定そこで終わらないのが「GoG」でした。


ある非戦闘職になったプレイヤーが三次職にクラスアップした時のこと。

そのプレイヤーの一次職は[大工]だったらしい。何ともまぁパッとしない職だ。

そして[大工]の二次職は[真・大工]。…まぁそんな感じになるかもなーってところだ。そして三次職[超・大工]とか[神大工]とかかなぁーってシェイナの話を聞いてて思ってた。

それでシェイナが口にした[真・大工]の三次職がなんと


[筋肉王(マッスルキング)]


あの「GoG」だ。不動の人気を誇る、ゲーマー達の期待を尽く打ち砕いてきたゲームだ。何があってもおかしくはないなって思ってたし、実際この職を聞いて目が飛び出るほど驚きはしなかった。顎外れそうになったけど。

まぁそれでも…それでも言いたい。



[大工]さんに一体何があったのだろうかと。


もうツッこむところ満載の[筋肉王]。


(スキル)潜在能力値(ステータス)共に、多く見られる三次職戦闘職の倍以上強く高かったらしい。

パネェっす。マジパネェっす。


「まぁ非戦闘職でも希望はあるって事なのです。それにサブ職だって取れるわけですから」

「サブ職かぁ、でもそこももちろん…」

「ランダム☆なのです」

「…おう」


何かコイツのキャラがいまいち定まらん。もう唾吐きクソ幼女でいいや。


それから程々の雑談をした後、俺はミルキージュースを飲みながら重大な事に気が付いてしまった。


「そう言えば俺が街目指してた目的友達との約束の為だった…」


今の今まですっかり忘れてたわ。唾吐き幼女とかバケモノ蜘蛛とか幼女とかのせいで完璧に頭から除外されてた…。なんて弁明しよっかな。


「最早幼女しか残ってないのはスルーでオーケーなのです?」


「クソ」付いてないだけいいじゃん。


ってかどうしよう本当に。…取り敢えず連絡しとくか。


「悪ぃ、今日はもう落ちるわ。友達に連絡もしないとだし」

「分かったのです。あ、それと…」


シェイナは口ごもり何故だかモジモジとし始める。急に何なのだろう。うんこでも出そうなのか?


「下品なのです!あぁもう!フレンドリストに私を登録して欲しいのです!」


…ん?何言ってんだこいつ?


「俺はもうお前のことフレンドリストに入れてるけど」

「えっ?」


いや、いやいや、いやいやいや。本当に「マジか…」見たいな顔されても困るんだけど。


うわーまさかフレンドリストに加えていない薄情な奴だと思われていたのか。ショックだわー。

結構前、道案内されてる途中色々イジッてたらフレンドリストって所あったから追加してやってたのに。

全く。これだからクソ幼女は。


「あ、ホントにきてるのです…」


俺のジト目など無視してシェイナはフレンド申請がきていることに目を輝かせていた。


「了承したのです!したのですよジント!!」

「おう。これでINしてたらいつでも連絡取れるな」

「はいなのです!」


すげーぴょんぴょん跳ねてる。そんなに嬉しかったのか。俺の貰ってこんな嬉しいはずないだろうし…まさか。


「お前、今までフレンド何人いた?」

「…0、なのです…」


やっぱりですかー!ってかすげぇ落ち込んだ顔してるよ!でもしょうがないじゃん。もしかしたらー的なノリで聞いたら本当に0でした。なんて考えねぇよ普通。


「う、うぅ…」

「し、しょうがないしょうがない!きっと仕様でお前だけフレンド作れなかったんだよ!」

「それなんてイジメなのです…?」


あぁ、運営に友達作りを阻まれるシェイナ…。哀れ(笑)


「「笑」ってなんなのですよ!!それにわざわざエモートで出さなくてもいいのですよ!ジントのバカ!!」


シェイナの叫びはペネラの館に大きく響き渡った。人が俺達しかいなくてよかったな。


「まぁ改めてよろしくなシェイナ」

「むぅ、よろしくなのです…」


なんだかんだあったけどこうして俺とシェイナはフレンドとなった。


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