プレゼントを買ってあげよう
いつも買いに来ているパン屋、「パンシナル」に到着して早速店内に入った。
『いらっしゃいませー』
今日もエプロン姿をしているミリアの姿があり、
いつも通りに明るい笑顔で迎えてくれた。
『あっ、ロアンだ! こんにちは!』
『こんにちは、ミリア』
『いつも来てくれてありがとうね』
『ああ、別に良いさ。食べたくて来てるからな』
ミリアと挨拶を交わした後、
フェンリルの女の子を気に掛けて心配してくれた。
『あれからフェンリルの女の子の調子はどう?』
『元気にしているよ、パンを買って来てと頼まれる程馴染んでいるよ』
フェルの話をしたらミリアは自分の事のように喜んでいた。
ミリアは本当に優しい女性だよなー。
しばらく立ち話をした後で俺は、
頼まれたチョコクロワッサンとデニッシュをトレーに入れ、
後はバゲットや色んな種類を買い、銅貨を20枚支払ってお店を出た。
『ロアンー、また来てねー』
『ああ、ありがとな。じゃなー』
パンが沢山入っている紙袋を両手で持ち、
余った銅貨を何に使うか考えて歩いた。
あっ、良い事閃いた。
ルナリアとフェルに服を買ってあげよう。
今フェルはルナリアの私服を借りて着ている状態だから、
何か服を買ってあげてもいいかもしれない。
ルナリアも私服を借しているから枚数が少なくなっているしな。
ん?そんなにお金はあるのかって?大丈夫だ、問題ない。
実は先程、この村に来る途中でワイバーンが空から襲って来て、
返り討ちにしてやったから金貨が10枚もあるのだ。どーだ!!
剣や斧で戦うには強すぎるが、
魔法なら凍らせたり燃やしたりすれば簡単に倒せる。
そういう訳で早速俺は、衣類屋の「シルフィ」に向かって入った。
ここの店は女性の服が多いからきっと可愛らしい服も見つかるだろう。
めっちゃ真剣に女の子の服コーナーを探していると、
周りの女性客に変な目で見られる事もあったが気にしない。
探しまくっていると、色違いで白と黒のフレアミニワンピースがあった。
うん、可愛いな。これにしよう。
俺は二着のワンピースを手に取り、
ルーナには緑色のリバーシブルストールを買ってあげた。
この三点を買ってもたったの金貨1枚で済んだ。
まだ9枚も残っているからまたの機会に使う事にするか。
買い物を済まさせ、
村を出て一時間掛かる道のりを歩いた・・・ってのは嘘で、
歩くのが疲れたから風魔法を利用し、宙に浮かんで飛びながら帰った。
まぁ、これも魔力を消費するからどっちみち体力は減るけどな。
小屋の目の前まで到着し、魔法を解除してから帰宅した。
『ただいまー』
リビングに入ると、ルーナ達がパンを楽しみにして待っていた。
『パパーおかえりー!』
『おかえりー』
『パンはちゃんと買った?』
『ああ、沢山買ったぞ』
紙袋に入っているパンをテーブルに置いて見せると、
ルナリアが他の荷物に気が付いた。
『その荷物は?』
『ああ、これか? 実はな・・・』
俺は手提げ袋から先程買ったワンピースを出した。
『今日はワンバーンを倒したお金で二人の服を買って来たぜ!!』
ルナリアが可愛らしいフレアミニワンピースを見てはしゃぎ、
『わーい、可愛い服だー!! ありがとうーパパー!!』と抱きついてきた。
フェルにも服をあげたらめちゃくちゃ喜んでいた。
初めは『私のもあるの?』と不思議そうにしていたが、
娘なんだから当たり前だろと言ったら喜んでくれたのだ。
ルーナには緑色のリバーシブルストールをあげると、
早速首元に巻いて使ってくれた。
『これは良いわね。ありがとう、ロアン』
『どーいたしまして』
うん、みんなが喜んでくれて良かった良かった。
この回は3話構成になっていますので、
明日も投稿します!