フェルの本当の気持ち
夕方にルーナさんとルナリアさんが山菜採りに出かけ、
ロアンさんが自分の部屋で寛いでいる時にある行動に出た。
私はドアを開けてロアンさんの部屋に入った。
『ん? フェルか、どうしたんだ?』
『その・・・ちょっといい?』
『ああ、暇だから大丈夫だぞ』
私はベッドに座っているロアンさんの隣に座った。
『今日は私の為に色々とありがと』
『あーどういたしまして。部屋の改装は疲れたがフェルが喜んでくれたら嬉しいさ』
そう言って頭を手で優しく置かれたので、私は口を開いた。
『それじゃあ、お礼にパパが喜ぶ事をする』
『お? なんだい?』
勇気を振り絞って言いました。
『私の身体を・・・好きに使っていいよ』
そう、私が決心した事はせめて身体を使う事。
お金がない、お礼が出来る品物もない、
ならせめて自分の身体でお礼をするしかない。
そう思って言ったけど、ロアンさんにデコピンをされて怒られた。
『いたっ!』
『お前は何を言っているのか分かっているのか?』
『うん・・・』
『娘にそんな事する分けないだろう』
下を俯いて涙ぐみ、本当の気持ちを言った。
『だって・・・だって、血も繋がっていないし、
ましてや種族だって違うのなんでこんなに優しいの!!!』
『フェル・・・』
『こんなに優しくされたら逆に辛い・・・』
俺はフェルの本心をぶつけられたから優しく抱き寄せた。
『そんな事を思っていたのか・・・気にしなくて良いのに・・・』
『辞めて! これ以上優しくしないで!!』
『俺はルーナが自分にしてくれた事をしたまでさ、別に優しくなんてないさ』
『え・・・それはどういう意味?』
フェルが落ち着いた所で俺は昔の話をしてあげた。
◯
『その話って本当?』
『ああ、本当だ』
フェルに自分の過去の話をした。
俺はルーナとたまたま会って仲良くなり、結婚した訳ではない。
自分は幼い頃に本当の親に何年も虐待を受けていた。
ある日耐えられなくなって町を抜け出して森の中に入り、
体力と精神が限界で倒れて死んだ所をルーナに拾われ、
魔法で生き返ったから今の生活があるんだ。
その時に何でルーナが俺を拾って養っていたかというと、
ルーナは幼い頃に両親が病気で亡くなっていたからだ。
一人で200年以上も孤独に過ごし、
自分の寂しさを間際らせる為に俺を育てたんだ。めっちゃ自分勝手だろ?
つまりなにを言いたいかというと、
俺も自分勝手な理由でフェルを養うことにした。
だから、俺はフェルに言ってあげた。
『俺は自分勝手な理由でフェルを養う事にしたんだ。
可愛いお前を娘にしたかっただけだ』
そう言うと、フェルが笑ってくれた。
『ぷっ、ふふふっ・・・パパは変な人だね。
そう言う事なら気が楽かも、私はパパの自分勝手な都合で娘にされた』
『ああ、だから気にするな』
『うん、気にしない』
元気になったフェルが部屋から出ると、丁度よくルーナ達が帰ってきた。
家族の明るい声を聞いて俺も部屋を出て、何事も無かったかのように家族との会話を楽しんだ。
んーフェルが悩んでいた事は後でルーナに話した方が良いのかな?
そう考えながら料理をしているルーナを眺めた。
まぁ、そんなに急ぐ必要はないか。
そう思い、晩ご飯が出来たので山菜の揚げ物や果物を食べ終わり、
ルナリアとフェルが楽しそうに皿洗いをしている所をソファで眺め、
ルーナは編み物をしていつものように生活をした。
その日の夜、娘達が寝た所でルーナに話しかけられた。
『ロアン、ちょっといいかしら?』
『どうしたんだ?』
『フェルの事で話があるんだけど時間貰える?』
『ああ、良いよ』
静かになったリビングのテーブルに向かい合って座り、ルーナが口を開いた。
『今日、フェルがロアンに何か変な事を言わなかった?』
・・・まさか気が付かれている?
本当の事を言うか迷っていると、ルーナに
『やっぱり何か言われたのね、顔に書いているわ』と言われてしまった。
だから、正直に話す事にした。
『と・・・フェルが悩んでいたんだ。
まぁ解決したから心配する必要はないが・・・』
ルーナが安心したのか、
ほっと一息ついてから『それなら良かったわ』と笑顔で答えた。
実はルーナが前からフェルの事を気にしていたらしい。
笑顔で接してくれているが、何処か不安そうな顔を為に見せるらしい。
心配をして悩みがある事を聞いても、
『何でもない』と言ってなかなか話してくれなかったみたいだ。
それでロアンと二人きりにさせたら本音を言うのではないかと思い、
二人で留守番させたみたいだ。
何で俺なら本音をぶつけると思ったかと言うと、
ルーナが『ロアンが拾って養うって決めた張本人でしょ?
なら、一番初めに相談すると思うのよ』そう自信満々で話していた。
ルーナがかっこいいと思ったが『それと女の勘よ』とドヤ顔をしていた。
んー何だそれ?
ルーナの要件が終わり、自分の部屋に戻ってベッドの中に入り、一日を終えた。
翌朝になり、朝起きたらいつも以上にテンションが高いフェルがいた。
『パパって本当お寝坊さんだなー、顔を洗ってこーい!!』
と、言われた。
あれ?そっちが本性?だとしたら今まで相当我慢していたんだな。
これから我が家が賑やかになりそうだ。
少しシリアスな感じになってしまいましたが、問題が解決して良かったです。
次回はルナリアとフェルの可愛さを引き出したお話になります。