三人は水浴び、俺は小屋を改装
『あーーー! 疲れたー!!』
俺は今、フェルの部屋の作るために小屋を改装している。
初めにやったことは、
ルーナの部屋にある本棚を動かして魔法で壁をぶっ壊し、
用意していた丸太に魔法を掛けて変形させ、壁を作って小屋を広くした。
魔法なら簡単だろうと思うが、これが結構魔力が消費するんだよ・・・。
家具とかはまだないが、フェルのプライベート部屋が完成した。
ドアも用意したからとりあえずはこれでいいだろう。
一休みを入れるためにリビングに向かい、
ルーナが用意してくれたミントティーをカップに入れて椅子に座った。
ミントティーを一口飲み、誰もいない静かな部屋で一服した。
『あいつらはまだ帰ってこないのか・・・遅いなー』
何で三人がいないかというと、実は滝で水浴びをしに行っているんだ。
その間に俺がこうして部屋の改装作業をしている。
あいつらは気楽でいいなー。
まあ、可愛い娘の為に頑張っているからいいけどね。
俺はルーナ達が来るまで気楽に待つことにした。
◯
『ルナリアー、フェルー。遊んでいないで身体をちゃんと洗いなさいよー』
『『はーい!!』』
ルナリアとフェリがずっと水を掛け合って遊んでいましので、
少しだけ注意をしました。
微笑ましい光景だったのでずっと眺めてたいのですが、
走り回ってもいましたので危ないですからね。
ふふっ、でもあんなに楽しそうにしている二人の姿を見たら嬉しい限りだわ。
今も平らな岩の上で身体を石鹸で洗いながら仲良く話しています。
『ずっと思っていたんだけどー、フェルの尻尾って可愛いよねー』
『そうかな?』
『うん! ねー尻尾洗うの大変でしょ? 私が洗ってあげるよ!』
『え? いや、それは遠慮しとく・・・』
『いーからいーから! 遠慮しないで!』
私がフェルの尻尾を両手で触ると、フェルが変な声を出したからびっくりしました。
『ひゃっあん!』
『フェル?』
顔を少し赤らめて『私・・・尻尾を触られるの苦手なの・・・』
そう言って恥ずかしそうにしている姿を見たら、余計に触りたくなりました。
『苦手なの?』
『うん・・・フェンリルの種族は尻尾が敏感なの』
『えい』
『んっ! だから、だめ・・・』
『えい』
『ふあっ! ル、ルナリアやめて・・・あっ!』
触りすぎたらママに止められてデコピンをされました。いたいです。
二人が身体を洗い終わって滝壺に入り、水浴びを終えて着替え、
小屋に戻る事にしました。ロアンはちゃんと改装をしているかしら?
そう思ってましたが見たら小屋が大きくなっていました。さすがね、ロアン。
しかし部屋の中に入ったらまだ家具とかはありませんでしたので、
後は私に任せてと言い、ロアンを水浴びに行かせました。
『それじゃあ、後はみんなで家具を作りましょう』
『『はーい!!』
私がそこら辺に生えている木を風魔法で伐採し、
持てる大きさに切り刻んで運びました。
『ルナリアー無理はしちゃだめよー』
『えへへー大丈夫! 私はお姉ちゃんなんだからー・・・わぁー!?』
ルナリアが両手いっぱいに重そうに木を持っていたのでバランスを崩し、
後ろに倒れこみました。
『いててー・・・』
『大丈夫?』
フェルが持っていた木を置いてルナリアに元に駆けつけ、
手を伸ばして起き上がらせていました。微笑ましい光景ですね。
その後は木の量を減らし、二回に分けて部屋まで運びました。
フェルの部屋に木を積み重ね、魔法を掛けました。
『魔法よ、想像を具現化せよ』
そう唱えると、木が頭の中で想像している姿に変わり、
あっという間にベッドの形に変化しました。
よし、この調子で必要最低限の物は作りましょう。
私は次々とタンス、椅子、テーブルなどを作り、
お客さん用に使っていた布団と枕を私の部屋から取り出して完成しました。
『『完成ー!!』』
ルナリアと喜んでハイタッチをしていると、
フェルが申し訳なさそうに深々とお礼を言って、
頭を下げていましたので言いました。
『そんなに深々とお礼はしなくても大丈夫よ、フェル』
『うん!』
私はそう返事をしたけど、実は申し訳ない気持ちでいっぱい。
だって何もしてないのにこんなに親切にされ、
毎日料理も作ってくれる・・・本当にこんな幸せでいいのかな。
私はこの時にある決心をした。
ほのぼの回と思いきや? フェルはどんな決断をしたのか?
明日のお楽しみに!