アルラウネとのお茶会
『え? ネールさんもこの森に住んでいるんですか!?』
『そうよ。これからよろしくね、ルナリアちゃん。フェルちゃん』
ネールさんの話によると、
一週間くらい前にこの森に引っ越しをしてきたみたいなんです。
その時に滝がある場所を見つけ、
気に入ったネールさんがここに来ては、
ハーブティーを飲みながら景色を楽しんでるみたい。
なるほど、だからハーブティーとレジャーシートを持っていたのですね。
私達を捕まえた理由も
『引っ越しをする際、話し相手がいなかったから寂しかったの』
と、言うので可愛らしい理由ですよね。
そう思いながらハーブティーを飲んでいると、フェルが質問をしていました。
『それなら蔦で捕まえなくても・・・』
それに対し、ネールさんは笑顔で応えていました。
『アルラウネの習性だからごめんなさいね』
『迷惑な習性・・・』
まぁ確かに、私は口には出しませんでしたが。
そんな会話をしていると、次はネールさんが私達に質問をしてきました。
『そういえば、貴方達はどういう関係?』
私は迷う事なく自慢しました。
『私達は姉妹なんです! うちの妹は可愛いでしょうー!』
『もう、お姉ちゃんったら恥ずかしい・・・』
妹に抱きついて紹介をすると、フェルが照れていました。
世間からは姉がハーフエルフで妹がフェンリルなら変に思うかもしれませんが、
そんな事は関係ありません!
ネールさんにも疑問に思われると思いきや、
そんな素振りはせずに微笑んでいました。
『ふふっ、仲良しな姉妹なんだね。私は一人っ子だから羨ましいわ』
あ、ネールさん、凄く優しい女性だ・・・。
私もこんな大人の女性になりたいなと思いました。
それよりも何か忘れているような気がしますが・・・うーん、まぁ大丈夫よね?
◯
『あの子達遅いわねー・・・』
ルーナに落ち着きがなく、リビングの中を歩き回っていた。
『ルーナ、ちょっと落ち着いたらどうだ?』
声が届てその場で止まったと思いきや、今度は玄関先に向かった。
『探してくる』
バタンと扉を開けて閉まると、部屋の中が静まり返った。
『・・・俺も探しに行くか』
俺はルーナの後を追い、一緒に滝がある場所に向かった。
◯
考え事をしていると、フェルに声を掛けられた。
『どうしたの? お姉ちゃん』
『ん? いやー、何か忘れているような気がしてねー
・・・それが思い出せなくて・・・』
考えている最中の事でした。
ママとパパの声が聞こえて呼ばれました。
『おっ、ここに居たか二人とも』
『ルナリア! フェル! なかなか帰って来ないから心配していたのよ!!』
あ、そうでした。散歩の途中でした。
パパは落ち着いていましたが、ママがこちらに近付いてきて怒っていました。
『もう! 料理の支度も済ませたのに! スープが冷めちゃったじゃない!!』
私とフェルはその場で自然と正座になり、反省しました。
『ご、ごめんなさい・・・』
『ごめんなさい』
パパー、ママが怖いから助けてー・・・。
そんな矢先の事でした。
ネールさんが立ち上がってママに謝っていました。
『えーと、ルナリアちゃんとフェルちゃんの親御さん?
ごめんなさい・・・私がお茶会に誘ったのが原因なの・・・』
ネールさんが謝り、ママがやっとネールさんに気が付いてくれました。
『え? えーと・・・どちら様?』
お互いに自己紹介をし、
その場が収まって和やかな雰囲気になりました。
助かりました、ネールさんありがとう。
ママとネールさんが話し込み、
帰り際になってお別れをしようとすると、
ママが提案をしていました。
『娘達がお世話になったわね。
ハーブティーのお礼をしたいから良かったらうちに昼ご飯を食べに来ない?』
『え? 迷惑にならないかしら?』
ネールさんが断ろうとしていたので、私達は来て貰う為にそばに寄って腕を掴みました。
『ネールさん来てください! ママが作る手料理はとても美味しんですよ!』
『もっとネールさんと話がしたい』
私達がお願いをすると、ママが付け加えました。
『娘達があなたにこれ程懐いているもの、悪い人ではないわ。
だから歓迎するわよ。ね、ロアン』
『だな。うちにおいでよ、ネールさん』
少しだけネールさんが迷ってましたが、
直ぐに顔が緩み、微笑んでいました。
『それじゃあ、お邪魔するわ』
『『やったー!!』』
こうして、ネールさんと知り合って仲良くなり、
一週間に一度はお互いの家に遊びに行くほど親密になりました。嬉しい限りです!