魚釣りではなく魚獲り
川に到着した俺は早速持ってきた釣竿を使い、
バケツを隣に用意して平たい岩に座りながら魚が釣れるのを待っていた。
『はー・・・全然釣れねー・・・』
一時間なんとか堪えているが、釣れる気配がない。
俺は釣竿を平たい岩に置き、立ち上がって背筋を伸ばした。
『良し、いつもの方法で魚を獲るか』
川を眺めて魚を探し、泳いでいる奴がいたから魔法を唱えた。
『風よ! 魚を獲らえよ!』
魚をターゲットにして風を纏わせ、自分の元に来るように飛ばした。
『うん、やっぱりこの方法が楽だぜ』
隣に置いていたバケツの中に魚が一匹入った。
やはり魔法って便利だよなー。
ルーナに魔力を体内に入れて貰ってるから普通の人間の俺でも、
このように楽々と魔法が使えるんだ。すげーだろ?
こんな調子で5匹も魚を獲る事が出来た。
もう一匹獲ったら辞めようと思い、川の底から大きな魚の影を見つけて魔法を唱えた。
『そこだ!!』
魚が川の底から出て来ると、
俺の半分くらいの体長で無駄にヒレが尖っていて顔も鋭く、
赤い縦線の模様が入っていて恐ろしい魚だった。
いや、魚っていうよりもモンスターだわこれ。
こちらに飛んできたので風魔法を放って川に戻してやった。
『ふー危なかった・・・』
疲れが一気に出たから釣竿とバケツを持ち、帰宅することにした。
◯
『ただいまー』
ドアを開けて小屋に入ったが、リビングには二人の姿が無かった。
『あれ? 何処かに出掛けたのか?』
確認する為にルーナの部屋に入ると、やはり姿が無かった。
この時間帯で居ないと言うことは・・・滝で水浴びをしているかな?
昔の俺なら即覗きに行ったが、
ルーナと一緒に娘が水浴びをしているから覗くわけにはいかん。
娘の成長は見たい物だが、それは父親として駄目だろう。
親はバケツに入っている魚を水槽に入れ、
ソファに座って休む事にした。
◯
私は今、ルナリアと一緒に滝で水浴びをしています。
この水浴びをする時間はとても楽しく、疲れが取れて癒されます。
手作り石鹸で身体を綺麗に洗い、
オリジナルシャンプーで髪を洗って滝壺で一気に流します。
『気持ち良かったわね、ルナリア』
『うん! リフレッシュしたの!』
『そろそろロアンが帰って来る頃だから上がりましょうか』
そう言ってルナリアと一緒に湖から出ようとすると、
じーと私の胸元を見られている気がしましたので聞いてみました。
『どうしたの? 私の胸をそんなに見て?』
『んー・・・』
口が籠ってから話をしてくれました。
『私もママみたいにスタイルが良くなれるかなー・・・』
そう言って自分の胸を触って確認していました。
そういうのを気にするお年頃になっているのかしら?
私はルナリアの頭を撫でて言いました。
『大丈夫よ、ルナリア。あと7年もしたら私みたいにスタイルが良くなるわ』
『ほんとう?』
『うん、だから焦らなくても大丈夫よ』
そうママに言われましたが、水浴びをして小屋に帰って来ても考えていました。
私は13歳になってもう子供じゃないのに、
ママはまだ子供扱いしているような・・・むむー。
どうしたら大人の女性として魅力が溢れている事を証明出来るか考えていました。
すると、ある事が閃きました。
本物の大人の女性は男性をドキドキさせる事が出来るらしいもんね?
それなら、パパをドキドキさせる事が出来たら証明出来ると思います。
私は翌朝から作戦を実行する事にしました。