娘達の夢の中
水浴びを済ました俺は服を着替え、小屋へ戻った。
『ただいまー』
『しー・・・静かに・・・』
リビングに入ったらいきなりルーナに怒られ、
静かにするようにと言われた。
初めは何事かと思ったが良く見てみると、
ソファの上でルナリアとフェルが肩を寄せ合って寝ていた。
あっ、なるほどね。
確かにこれは微笑ましい光景だから起こさないようにしないとな。
二人の膝元には絵本が置かれ、本が開きっぱなしな状態だった。
俺はルーナの傍により、小声で話しかけた。
『絵本を読んでいる途中で寝たのか?』
『うん、そうみたい』
ルーナもこの光景は微笑ましいみたいだ。凄く機嫌が良さそう。
夫婦で娘達の寝ている姿を見ながらテーブルに座り、
ルーナが入れてくれたハーブティーを飲んでいると、
二人の寝言が聞こえてきた。
『分かっ・・・た・・・』
『任せて・・・』
すやすやと寝ている姿を見て俺達は小声で話をした。
『何の夢を見ているのかな?』
『二人共同じ夢を見ているのかしら?』
『起きたら後で聞いてみるか』
『ふふっ、そうね』
○
『ママ! パパ! 私達っ!!』
『悪いドラゴンを倒すために行って来る!!』
『気をつけてね、二人共』
『無理はするなよ』
ママとパパに心配されましたがご心配なく!
だって、私達は選ばれた勇者だからね!
突然私達の前にドラゴン国のお姫様が現れ、
ドラゴンの角や尻尾、羽も生えている女の子に、『どうかお願いです!
悪いドラゴンを倒してください! 貴方たちしか頼れる勇者がいません!!』
そう言われたのよ。
依頼内容は悪いドラゴンが世界を滅亡させようとしているので、それを阻止すること。
依頼の内容だけでも驚くけど、報酬が更に驚くのよ。
ドラゴン退治が出来た時の報酬はなんと金貨10000枚!!!!
これだけあれば遊んで暮らせます。
なので私とフェルでその依頼を引き受けることにしました。
こうして私達は森を出て色んな町に行っては歩き、
日が経つに連れて悪いドラゴンがいる火山に少しずつ近づいています。
『この町並みは綺麗だねー』
『観光するにはうってつけ!』
私はフェルと色とりどりの建物が並らぶ町並を観光しています。
屋根が青色や黄色、白にピンクや赤や紫やらやけにカラフルで、
建物に使われいるレンガは薄い茶色で統一されているので凄く綺麗です。
少しくらい遊んでも怒られないよね?
それに、こんなに綺麗な町なんだもん!
観光しない訳にはいかないよね!
少しだけ歩き疲れた私達は喫茶店に入って休み事にしました。
『コーヒーお願いします!』
『私はカプチーノ!』
店員さんに注文した物が届くと、早速一口飲んで嗜みました。
うん、美味しい。フェルも幸せそうな顔をしています。
さすが私の妹は可愛いわね。
最近気が付いたのだけど、
フェルは喜んだり楽しい時は犬みたい耳がぴょこぴょこと動くんです。
逆に悲しい時や落ち込んでいる時は耳が少し垂れるのよ。
フェルの耳を見ながらコーヒーを飲んでいると、
『何を見ているの?』と首を傾げられたので誤魔化しました。
『ううん、何でもないよ。気にしないで』
『えー気になる』
不思議がっている妹の表情まじで可愛い。
二人でゆっくりと満喫し、喫茶店を出て泊まっている宿屋に戻りました。
朝からずっと観光をしていたので一度休憩しました。
夕方になったら外食をする為に再び宿屋を出て外を歩き、
お気に入りのピザ屋さんに入って夜ご飯を食べて、
お腹いっぱい食べたので再び宿屋に戻りました。
1日に疲れを癒す為に二人ともシャワーを浴びてネグリジェに着替え、
一つのベッドで一緒に寝ました。
シングル用の部屋しか空いてなかったので仕方がありません。
『おやすみーフェル』
『うん、おやすみ』
・・・良し、寝たわね。
これで尻尾を触りながら癒す事が出来るわ。
私はフェルの尻尾を堪能し、癒されてから寝ました。