お土産を買ってあげたら
コーヒーを飲みながら三人で話が盛り上がり、とても賑やかになった。
『あの時は本当にロアンがかっこよかったわー』
『うんうん! 今も忘れないよね!』
『そんな大袈裟なー・・・』
俺がどうして青髪姉妹と知り合いかと言うと、先程の話題に出た通りに俺がこの姉妹を助けたのがキッカケだ。
アクアとリウムがウィール村に観光する時に馬車で移動をしていた時、運が悪く盗賊団が現れて襲われそうになった所を俺が運良く目撃し、盗賊団を魔法で甚振ってやったのだ。
あれから15年も経つが、その間に何回か会っていたから忘れずに覚えていた。
まさか、こんな所で会うとは思わなかったから嬉しい誤算だ。
話の途中で妹のリウムが俺の荷物が気になって話題を変えてきた。
『すごい荷物ねーロアン。何が入っているの?』
俺は固まってしまった。
『え・・・とっ・・・』
流石に女の子のパンツが入っているとは言えない。いくら娘のとはいえ父とはいえ世間的に不味いからだ。
だから俺は絵本を取り出して他の荷物は悟られないように振る舞った。
『娘の為に絵本を買ったんだ。後は日用品かなー』
『優しいパパだねーロアンは』
『いーなー羨ましいよ奥さんがー・・・』
『本当は私達がロアンと付き合いたかったのにね』
『うんうん』
良し、なんとか誤魔化せた。
その後は他愛のない話してコーヒーを嗜み、
楽しい時間を過ごせた。
『じゃあな、2人とも』
『また何処かで逢おうねー』
『じゃあねー! ロアン!』
喫茶店を出た姉妹は買い物を続け、俺は帰宅するために馬車がある場所に行き、御者の人に頼んで森の付近まで乗せてもらった。
んー馬車は便利だが、荷台は狭くて居心地が悪いな。まぁ仕方がないか。
目的地に着いて銀貨を御者の人に一枚支払い、俺は森の中に入って小屋に帰宅した。
『ただいまー』
リビングに入ると、ルーナがキッチンで料理をしていたが、娘達が出迎えてくれた。
『パパーおかえりー!』
『おかえり! お土産は!』
『ほら、この袋に入っているのが下着で、こっちが絵本な』
お土産を渡したら2人とも喜んでくれた。
うんうん、喜んでいる娘の姿を見るのもいいんだ。癒される。
ルーナの様子を見たらようやく料理を一時中断し、こちらに来てくれた。
『おかえり、ロアン。私のお土産は?』
『ちゃんと買って来たぞ。安心しろ』
不貞腐れているような表情をしていたが、
俺がジャケットからラッピングされている袋を取り出して渡すと、不思議そうな顔をしていた。
『あら? ネックレスにしては小さいような・・・』
『いいから開けてみろ。俺からのプレゼントだ』
そう言ってルーナが袋から物を取り出すと、
俺が先程買った緑色の指輪が現れた。
『これって・・・』
俺はルーナの側に寄り、指輪をルーナの薬指にはめて上げた。
『結婚してまだ指輪を買っていなかったろ?
だから、ネックレスを辞めて指輪を買ったんだけどどうかな?』
ひょっとしたら怒られて殴られる?と思ったがルーナが笑顔で振舞ってくれた。
『ありがとうロアン・・・嬉しいわ』
『どういたしまして』
おっとこれは良い雰囲気?キスしそうなくらいに良い雰囲気だよこれー?
そう思っていたら、娘達が『私達お邪魔かしらー?』『見ないからキスしていいよ』そう冷やかして来たのだ。
俺は笑っていたが、ルーナは照れ臭くて恥ずかしがってその場から離れた。
『何を言ってるのよ! もう、ママを冷やかしたらダメよ』
ルーナがキッチンに戻って行ったが、これは機嫌が良さそうだ。
やはり指輪にして正解だった。
ルーナが晩御飯のシチューを作り終わり、
テーブルに並べられると、俺にだけ豪華にキノコが入っていた。
『わーパパのだけキノコ入っているー!』
『羨ましい』
娘達に羨ましがれた。どーだ、これが夫婦の愛ってやつだな。
そう思ってルーナに感謝をして食べると、初めは美味しかったが身体がだんだん痺れて来た。
まさか・・・俺はルーナに言ってあげた。
『お前、これシビレタケじゃね? 身体が痺れてきたんだけど・・・』
『本当? ちゃんと確認して拾って来たんだけど・・・』
ルーナの昔ながらのキノコの判別が出来ないのが発揮してしまったようだ。前にもこんな事があったわちくしょー。
ルーナは急いでタンスから毒消しの薬を取り出し、慌ただしい食事となってしまった。
まぁ、昔の事を少しだけ思い出した俺は面白くて笑いそうになったんだけどな。
何故そう思ったかと?それはルーナは主婦になっても変わらず、あの時と同じルーナなんだなと思ったからだ。
しっかり者だけど、どこか抜けているのが可愛らしい女性だ。