遠慮なく言って貰ったら
俺は娘達に頼まれてある物を町のお店で買い、
体力と精神が疲れたから公園のベンチに座って休憩していた。
『はー・・・女性店員には変な目で見られるしキツイわー・・・』
いつもなら近くのウィール村で買い物をしているが、
今回は少し離れた町「ラルト」で買い物をした。
何故こんな場所に来たのか?何を頼まれたのか?
俺が何故こんなにも疲れているのか?それを今から話してやろう。
○
フェルが家族になってから一ヶ月が経った頃、
皆でリビングにあるテーブルを囲み、家族会議をしていたのだ。
『三日前、俺が倒したワームの報酬が村のギルド会場に送られて貰ったんだ。
この金貨で欲しい物は何でも手に入る』
自信満々で布袋に入っている大量の金貨をテーブルの上に散りばめた。
『わーパパすごーい!!』
『金貨がいっぱい!!』
『ワームを倒すなんてさすがね。ロアン』
『どーだスゲーだろ?』
まあ、と言ってもワームを倒したのは偶然なんだけどな。
村まで買い物に行く途中でいきなり地面から出てきて、
俺を食べに掛かってきたから炎魔法を放っただけだ。
金貨が欲しくて探した分けでもなく、倒したわけでもない。
そう、俺を食べに掛かってきたから倒しただけだ。
そんな訳で金貨を100枚貰い、
家族会議をしてそれぞれが欲しい物を買うことにした。
家族で考えていると、ルーナがネックレスが欲しいと言い、
ルナリアは新しい絵本が欲しいと言っていた。
うん、100冊くらい買ってもお釣りがくるな。
二人が手を上げて欲しい物を次々と言っていると、
フェルが何も発言していない事に気が付いた。
『フェル? どうしたんだ。何を欲しいのか考えているのか?』
『欲しいのはある・・・』
遠慮をしているのかな?遠慮はしなくて良いんだぞと注意をすると、
恥ずかしそうに口を開いた。
『パンツが少なくなってきたから・・・パンツがほしい』
フェルがそう言うと、俺は嫁と娘に罵倒された。
『この変態ロアン! 女の子に何を言わせてるのよ変態!!』
『そうよ変態! 少し察しなさいよこの変態!!』
すげー勢いで変態と言われた。
えーそこまで言わなくてもいいんじゃね?
まあ、下着は必需品だからな。買って置いてもいいだろう。
それぞれが欲しい物が決まったところで家族会議を終了した。
◯
そして翌日、下着を買うからいつも行っているウィール村では恥ずかしく、この町で買い物をする事になったのさ。
さて、下着は買ったし後は絵本とネックレスだからさほど苦ではないだろう。
俺は休憩した後に背筋を伸ばして立ち上がり、買い物の続きをした。