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ケモ耳でも悪くはない  作者: ルーシャ
7/7

これケーキか?!

「ゲホゲホッ!」

うえっ……キモチワルイ……。

昨日食べたケーキもどきの味が、まだ口の中に残っている。一体あのケーキには何が入っていたんだよ……。


あの後、一時的に事務所の中が騒がしくなり、特にトイレが賑わっていた。そんな皆の様子に首をかしげていた元凶の菫は、「まったく、せっかく作ったのにまた残すのかしら……、もったいないわね」とか言いながら、自分は普通にケーキを食べていた。

「うーん、ちょっと砂糖入れすぎたかしら……?」

(いや、確実に違う!それ以上にあるだろ!)

「味は、まあまあってところね」

(なんで、そうなるの!?そ、それにあえて突っ込まなかったけどさ……ケーキって普通こんなにうねってないよね?触手とか生えてないよね?動かないよね?)

ケーキからは謎の触手が4本ほど生えている(ちなみにケーキの色は真冬にプールに入った時の唇の色)触手はフォークを刺される度に動きを増す。

「あらぁ、生きがいいわね」

(それ、ケーキ食べるときの感想違う!!)

「もう、静かにしていなさい。食べづらいでしょ」

(…ケーキに食べづらいもくそもないと思うんだが…いや、あれはそもそもケーキなのか……あれをケーキだと認めると俺がいままでケーキだと思いながら食べていたものは何だったんだ?イチゴの乗った白い天使か?あれ見た後だとものすごくそう思えるんだけど……)

とりあえず、身に染みて分かったことは、菫が料理下手なの(果たしてあれ(・・)は料理といえるのか)と菫は舌バカだったということだ。


それからひと段落し、皆が落ち着いてきた所で(落ち着くのにかなり時間がかかった)菫から集合の合図がかかった。

「えーと、皆今日のことで色々分かったと思いますが、忍はこの様な状態なのでただでさえ人手不足なのにさーらーにー人手不足になりました。というわけなので、使えない忍の分も皆で分担してやってね、まあ忍がいなくなった二か月間頑張ってくれてたから、引き続きってことで」

(え、俺二か月いなかったのか?……そんなに経ってたなんて気づかなかった。)

「あー、あと忍、記憶がないのはしょうがないけど、あなたがいなかった分、埋めるの大変だったんだからね!その分たっぷり働いてもらいますから」

「……はい」

「わかったならいいわ、悠李あなた明日の仕事忍と行きなさい」

「え、俺ですか…?」

「ええ、あなたが忍の空っぽ頭に仕事のアレコレを叩き込んであげなさい」

「……」

「悠李」

「わかったよ、行けばいいんだろ……」

「それじゃ、決まりね!これにて今日は開散!」

「えっ、今日はもうおしまいなんですか?」

「ん、そうよ……あら私忍に言ってなかったかしら?」

「言われてません」

今日は電話で菫から「今日仕事があるから早めに来てね~、じゃ」と言われてすぐに切られたのだ。

そんな事知るわけ無い。

「今日仕事があるから~とか何とか言ってたじゃないですか!」

「…あらやだ、すっかり忘れてた…。忍をとりあえず呼ぼうと思ってそんな事言った気がするわ」

「……」

「ま、まぁ今日は忍の退院祝いだったんだから!いいでしょ!」

(あ、そっか……ケーキ?もどきのおかげで忘れていたけどそもそもこれ……俺の退院祝いをやってくれていたんだっけ……)

「後片付けは私がやるから忍は明日の為にゆっくり休んどいて。その代わり、明日からはビシバシやってもらうから頼んだわよ!」

「…え、と」

「返事は?」

「…は、ハイ…」

「よろしい!」

という感じで俺の(記憶が消えてからの)初仕事は悠李と共にすることになった。

(この先どうなるんだろう……)多少の不安を持ちながらも、ちょっとドキドキしていた。

(だって、やっと動きまわれるんだもん!)


そうして、今に至る。

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