記憶がない…だと…?
(;°Д°)……
その後の病院での検査の結果、頭を強く打ったせいで『一部の記憶が抜け落ちている』と言われた。
だが、記憶がない部分はそこまで大きくないので生活にそこまで支障は出ないそうだ。
一部だったのでどのあたりの記憶が抜け落ちているのか、詳しくはわからなかったが、
とりあえず、自分のプロフィールを思い出してみた……っていうのはなんかおかしいか?
誰に対してでもないが、説明してみることにした。
性別 :男
名前 :近藤 忍
年 :24歳
誕生日:9月22日
星座 :おとめ座
血液型:A型
出身地:――――
趣味 :――――
仕事 :――――
種族 :――――
とりあえずこんなもんだ。まあ、必要最低限のことは覚えていたからいいか……。
しかし、後半部分のところがどうしても思い出せない。出身地あたりは思い出せ…ないか…。
……ん?趣味、仕事の部分はわかんなくてもいいが、種族ってなんだ?
………(うーむ…よくわからん、俺は一体何なんだ?)
俺は医者の先生に聞いてみることにした――
「あの……」
「ん、どうしたんだい?どこか具合でも悪くなったのかい?」
「い、いや、そういうことではないんですけど」
「ではどうしたんだい?」
「えーと、その、…あのですね…俺の、種族ってわかります?」
「君の種族かい?」
「はい、自分が何だったのか思い出せないんです」
「……………」
「先生?」
「…ふふ、ふふふ…、アッハッハッハッハ!」
……!?突然、先生が大笑いしだした。めっちゃ笑ってる、いや笑われているのか?
(俺、なんにも変なこと言ってないよな?)
「あっはっは、君があんまりおもしろいことをいうんで思わず笑ってしまったよ、すまんね」
「い、いえ…俺何か変なこと言いましたか?」
「君、自分の種族が知りたいんだろ?」
「はい」
「そうか、そうか」
そういうと、先生はいきなり立ち上がり、ついてきなさいと言ってきた。
そして、連れていかれた先は……
「えっ、トイレですか?」
「そうだよ、小さいやつより大きいほうがいいからね」
「え、…我慢してたんですか?俺外で待ってますよ」
「いやいや、そういうことじゃないから、ほらここに立って」
先生に引っ張られて無理やり鏡の前に立たされた。
「ほら、前を向いて自分の姿を見てみなさい」
そう言われて、俺は鏡で自分の姿を見た
「ん……?頭の上に何かついてる…これは耳?」
俺の頭にはモフモフした犬の耳のようなものがついている。それに今まで気づかなかったが、お尻のほうにはこれまた、モフモフした立派な犬の尻尾が生えていた。
「鏡をみての通り、君は立派な獣人族だね」
俺は自分の頭に生えている珍妙なものに目が釘付けになっていた。
「それじゃあね、私はそろそろ戻るから、君は目一杯そこで自分を見てくるといいよ。
もしかしたら何か思い出すかもしれないしね」
そうして先生は去っていったがその時、先生がなんであんなに馬鹿笑いしていたのか納得がいった。
(そりゃあ、こんなに外見的特徴が分かりやすいのに、自分が分かってなかったんだもんな~)
(;°Д°)………