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リヴィノイドの取扱説明書  作者: 青柳蒼
2/10

説明書 リヴィノイドの買い方

1999年 犬型ロボットが発売されて人気となり、家庭用エンターテイメントロボットという市場が生まれた


2000年 某車で有名な会社から二足歩行ロボットが現れる


2002年 ロボット競技大会が東京で開催。二足歩行ロボット研究が個人レベルにまで浸透する


2014年 人間酷似型ロボットの遠隔操作型アンドロイド(世界初のアンドロイド・アナウンサーとアンドロイド・科学コミュニケーター)が公開される


2015年 某電話会社から世界初の感情認識パーソナルロボットの一般販売が開始される



 その後、様々なロボットやアンドロイドが開発される。人型の介護ロボットや災害救助ロボット等が時代の流れと共にどんどん普及されていく中、人類はようやく一般に人工知能が搭載された大型ロボットの普及にこぎつけた。



2112年 某未来から来たの猫型ロボットの誕生とされる年、世界初のインターネット接続機能搭載自律型ヒューマノイドが一般発売される



 そして2132年、インターネット接続機能搭載型のロボットやヒューマノイドを一般人が持てる時代になっていた。

 あちこちで動物や人間そっくりのロボットが大きい物から小さいものまであちこちで見かけられる。私達人間は、それら人工知能を持ったインターネット接続機能搭載型のロボット達を『リヴィノイド』と呼んでいる。生きている物とそっくりなロボットだから、『リヴィングシング』にヒューマノイドの『ノイド』を付けて略した呼称だとか。


 小型ならまだ5万円位だけど、リヴィノイドの大型の値段はまだ高い。相場は30万円で、安くても25万円はする。小型とは手のひらサイズから犬位の大きさを指し、主に動物型が多いけれど、フィギュアみたいなのもある。

 中型は人間の小学生位の大きさで、ここからは人型が主流だが、アニメキャラクターも多い。大型は人間の大人の大きさとなっている。


 小型の物でも大体の用は足せるけど、それでも大型・中型は憧れる。料理も掃除も洗濯も、ソフトを入れれば全部やってくれる。小型じゃそうはいかない。昔あった、携帯電話みたいなものだ。まぁ、そんな骨董品とは違って自分で動いてくれて、呼べば出てきてくれるから部屋の中で紛失……なんてことは無い分便利になったって言えるけど。

 因みに、ネットの画面を見たい場合は装着型でメガネみたいな奴と、タブレット型(小さい手のひらサイズのモニター)がある。どっちもメインのリヴィノイドにアクセスして見るか配線を繋いで見る方法がある。個人的にはタブレットの方が好みだ。

 装着型を使っている連中は、常に付けたまま歩いているので危険で迷惑極まりない奴らばかりなのだ。ああいう連中の仲間には絶対になりたくない。とは言っても、今はもう装着型が主流になっていて、タブレットは廃れていく一方だ。タブレットを使っているとダサいとまで言われる位だ。



 私は今、インターネットで自作リヴィノイドキットを探している。今じゃ骨董品になっているパソコンを使って通販サイトを漁る。

 自作とは言っても、素人の私でもちょっとした知識さえあれば全然簡単に組み立てられる物が既に巷には散乱している。別に工学部の学生ってわけじゃないけど、機械いじりは割と好きだし、今使ってるパソコンだって自分でメンテナンスできてるんだから、きっと大丈夫。

 本当は、子供の頃に見たアニメに出てくる猫型ロボットと同じ見た目の物を作ってやろうと思っていた。でも、本体がめちゃくちゃ高い。

 何でこんな安っぽい素材しか使ってないのに38万円もするの?!

 どうしよう?これじゃあ自作でも結構いい値段になっちゃう。

 予算は20万円。高校に入ってからアルバイトをしてコツコツと貯金を貯めて、ようやく自分でリヴィノイドを手に入れられるだけの金額に到達したのだ。大学に入るにあたり、地元東京を離れ京都の大学に行く私は親から「学費は払ってやるが、それ以外は自分でどうにかしろ」と言われてしまい、まあ学費払ってもらえるだけでも有難いと思い、それ以外の出費を全て自分の貯金から払った為、大学を入学してからすでに2ヶ月は経過している現在まで、レポート作成には欠かせないと言われるリヴィノイドを持てずにいたわけだ。

 検索ワードを変えてエンターキーを押して更なるネットサーフィンの旅に出る。

 いい加減自分で文字打ち込むのなんて辞めたい。皆みたいに参考書を見せるだけでそのまま入力できちゃうのが欲しい。ちょっと会話するだけですぐにお目当ての物が見つかっちゃう物が欲しい。掃除洗濯をやってくれるリヴィノイドが欲しいんだ!

 暫くネットサーフィンを続けるうち、ようやく手の届く値段のリヴィノイド自作キットを見つけた。

 でもこれ、大型だ。それも、男性型……。モテない不細工女が男性型のリヴィノイドって、イタイなぁ。

 確かに、リヴィノイドを自分の彼氏や彼女にしちゃう人の数が増えつつあり社会問題になり始めている今、異性のリヴィノイドを持っているだけでいわゆる「リアルな恋愛の出来ない子」認定されたりする。

 でも、リヴィノイドは欲しい。せっかく買うのにご飯も作れない小型なんて嫌だ。買うなら中型か二足歩行動物型の物がいいんだけど……、駄目だ、高い。

 人気ってだけで高いのはどうしてなの?どうして40万もしちゃうの?どうして?ねえ、どうして?

 どうしよう?でも、大型で15万円は安い。他の自作キットだって20万円~だ。

 商品内容は、男性型ボディ(身長185cm 痩せ型 毛髪なし 口腔内装備なし 目玉なし 男性器なし 端末接続部分は格納型 完全防水 ワイヤレス機能搭載)と起動用プログラムのみ。つまり、見た目は自分で好きなものを買って取り付けろってことで、他の必要なソフト(洗濯や掃除他、本体自身のクリーニングを自分でやってくれるソフトとか、色々と行動するのに必要なソフト)は自分でインストールしろってことか。ソフトはそれなりに値段が張る物もあるけど、行動学習ソフト一個買って後は自分で教えればその通りに動いてくれる。

 これは、安い。激安だ!でも、男性型……。んん?そういえばこれ、さっき見た時30万円だったやつだ。値下げしたのか……。

 予算は20万円。だけど、20万で中型の自作キットは存在しない。自作キットは、当たり前だけど、付属品は殆ど無いから色々買い足さなければならない。15万円なら予算内で他の全ての付属品も買える。


 私は散々髪を掻き毟って悩んで、床でゴロゴロ転がった。でも、迷ってる間に誰かに買われたら憤死しそう……。



 そして、購入ボタンをクリックしたのだった。


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