シャウのお願い4
気絶したタニが目覚めて数時間が経った。タニが竜宮の従業員生活スペースを歩いていると様々な龍神から声をかけられた。
「今回はツアーコンダクターが斬新なPR動画を配信したね!」
「あれに出ているの君でしょ?いやあ、いい顔だったよ。」
「しかし、最後の爆破は大丈夫だったのだろうか?」
龍神達はタニを見つけるたびに何かしらの声をかけてきた。情報のまわりがとても早いようだ……。
タニは愛想笑いをしながら内心では泣きたい気分だった。
そのまま竜宮のアミューズメント施設に入る。ふと上を見上げると大きな画面にタニが出演しているCMが永遠と流れていた。
シャウの笑顔とタニの真っ青な顔。その下に『怖いよ怖いよ!スリルを味わおう!』とテロップが流れており、最後の爆発で『君もこの夏、楽しもう!』とか続けて流れていた。
「ふええええん……。」
タニはもっとエレガントなCMを期待していた。しかし、現実は残酷だった。
泣きながら遊園地エリアに出るとリュウとシャウを見つけた。
リュウとシャウは必死に焼け焦げたジェットコースターを直している所だった。
「う……シャウさん……。」
今回の件で完璧にトラウマを植え付けられたタニは恐る恐る後ろに下がっていた。
そこを運悪くリュウに見つかった。
「ん?おう!タニじゃねぇか!なんだ?後輩として手伝いに来てくれたのか?助かるぜ!お前は良い子だなあ。」
タニは何も言っていないのだがリュウはニコニコ笑いながらタニの頭を撫でてきた。
「いや……その……えーと……今日はこれから用事が……。」
「オーナーは今、ちょうど高天原の会議でいねぇ。帰ってくるまでが勝負だ!わかったな?わかったよな?」
タニが言い淀んでいるとリュウは怖い顔でタニの頭をわしづかみにした。
「うええええん……。わかりました……。」
「リュウ、これはパワハラなんだナ!タニちゃん、かわいそうなんだナ!シャウ!」
タニの様子を見ながらシャウがリュウに鋭く言い放った。
「うるせぇ!お前が言うんじゃねぇよ!この電気男が!俺様に整備の技術がなかったらどうなってたと思ってんだ!コルァ!」
「……それはリュウがオーナーから雷を落とされるだけなんだナ?シャウ!」
「っち……くそっ!まったくもってその通りだな。」
シャウを脅すつもりだったリュウは反論のしようがなく、頭を抱えて頷いた。
その後、タニはジェットコースターが元に戻るまで手伝いをさせられた。
もう……ここでやっていける自信がないよ……。
タニは曲者に囲まれてこの先どうなってしまうのか非常に心配した……。