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タニとリュウ6

 あれからしばらく時間が経ち、タニは村の立て直しのため、少し谷村へ残っていた。

 そして桜が咲く頃、タニは再び竜宮へと戻った。


 竜宮へと続く砂浜を歩き、気合を入れて海へ向かおうとした時、タニの前にリュウが現れた。

 「よう!久しいな!元気だったかーっ!たーにー!」

 タニが来るなりリュウは元気に突進してきた。


 「うわあっ!りゅ、リュウ先輩!お久しぶりです!」

 抱き着かれ、いじられながらタニは辛うじてリュウに答えた。


 「ああ、そうそう!来て早々悪いんだが……。」

 「『そうそう』ばかりですね……。嫌な予感が……。」

 タニはさっと身構えた。


 「実は現在、高天原四大勢力と月、太陽のトップが会議中なんだ。そんで七福神の蛭子も来てて……しかもやつが酔ってるんだよ。なぜか。それで……」

 「帰ります……。」

 リュウが最後まで言い終わる前にタニはさっさと背を向けた。


 「ちょ、ちょっと待てよー。最後まで聞けってばー。」

 背を向けるタニにリュウは子供のようにじゃれてきた。


 こういう時はろくなことがないのだとタニは知っている。そして今話にのぼった奴らは自分を間接的にすら追い込める天才達である。

 もう逃亡という手段しかとれない。


 「たーにー。」

 「で、出直してきます!平和な時にまた来ます!」

 タニは半泣きで首をぶんぶん横に振った。


 「まあ、そう言わずに……。俺様とタニの仲じゃねぇか。」

 リュウはにやつきながらタニの頭を乱暴に撫でる。


 「ひぃいい!どんな仲だか知りませんがそんな仲になった記憶はないです!」


 「ちなみに会議が終わった後、宴会になるかもという事でタニのアイドルダンスを入れようかと……。」

 「いやああああ!帰ります!全力で帰ります!そしてもう来ません!ごめんなさい!」

 「帰るな!全力で帰るな!俺様、苦し紛れにお前の事話しちゃったんだから!逃げるな!逃げないでください!俺様を置いてかないで!頼むぅ!」

 全力で抵抗しているタニを半分羽交い絞めにしたリュウは切羽詰まった顔でタニを引っ張って海の中にある竜宮へと連れ去って行った。


 「もうやだ……この職場……誰か助けて……。」

 タニはしくしく泣きながら大人しくリュウに連れ去られるのだった。

 そして彼らのいつもの日常は再び動き始める……。


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