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タニとリュウ4

 タニの神社は谷村からすぐの高台にあった。家々が連なる場所に参道があり、石段が山の上の方まで続いていた。


 気温は現在温かく、雨は小雨だ。冬なのに冬に感じられなかった。まるで谷村周辺だけ異空間に行ってしまったようだった。これは飛龍とリュウのおかげである。


 「神様の威力ってすごいんですね。」

 タニは感心した声を上げて石段を登る。


 「タニ……お前も神だろうが……。」

 後ろからリュウが呆れた声を上げた。


やがて石段を登り終わり、鳥居と小さな社がある神社にたどり着いた。神社内にかなりの量のタマリュウが植わっていたがどれも元気がなさそうだった。

社は古いがきれいに掃除してあり、お供え物も置いてあった。


「では谷龍地、さっそくタマリュウを元気にしてもらおうか。こちらで条件はすべてそろえた。後は谷龍地の神力をタマリュウに与えるだけだ。」

この中でまったくぶれないオーナーがタニの背中を優しく叩いた。


「あ、はい!」

タニは元気よく返事をすると目を瞑り、手を前にかざした。


 淡い緑の光がタニの手から発せられ、それが周辺のタマリュウ、その他のタマリュウへと吸い込まれていった。


 「あー、なんていうか、魔法とかドカン!と出そうな感じだがタマリュウ元気にしてるだけなのな……。そんなカッコいい光、発するんじゃねぇよ。地味すぎるぜ。」

 リュウは軽く笑っていた。


 しばらくしてタニが目を開けた。先程までしおれていたタマリュウが驚くほどに元気になっていた。


 「わあ!ほんとに元気になりました!オーナー様!ありがとうございます!」

 タニは喜んでオーナーに頭を下げた。


 「よい。これでうまく保てば村は元に戻るだろう。では竜宮に戻るぞ。」

 「ちょ、ちょっと待て!早すぎねぇか!?早すぎんだろ!この展開てきとうすぎるぞ!もう終わったのかよ!」

 リュウが慌てて叫んだがオーナーはきょとんとした顔で「終わったぞ。」と何事もなかったかのように声を発してきた。


 「ま、マジかよ……。」

 「リュウ先輩、思ったよりも早く終わってよかったですね!」

 タニの輝かんばかりの笑顔にリュウは内心戸惑っていた。


 よく考えればタニが竜宮へ行ったがために守るべき村が疲弊していた。

 と、いう事はつまり……。


 「な、なあ……。」

 リュウは言いにくそうにタニに口を開いた。その間、オーナーはちょっと離れた所で雷雲で遊んでいるシャウに何か指示をしている所だった。


 リュウはそれを眺め、しばらくオーナーが戻ってこない事を確認するとタニに向きなおった。

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