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ついにオーナー出現!3

 「んん……なあ、リュウ。」

 「あ?なんだ?オーナー。」


 「お前はこの子の名前もちゃんとわからずに採用したのか?採用する事は構わないが……ちゃんと調べてから採用しろ。」

 「へいへーい。」

 オーナーの真面目な発言をリュウはてきとうに流していた。


 「聞いているのか!」

 「うおっ!びっくりした。聞いているぜ。結果的に役に立ってんだからいいじゃねぇかよ。いつもそんな事言わねぇくせに今日はどうした?」


 「お前は……まったく……。いいか……。」

 そこから先のオーナーの言葉はリュウだけでなくタニまでもが驚く内容だった。


 「彼女は龍神ではない。」

 「……え?」

 オーナーの一言にリュウとタニの時間はピタリと止まった。


 「え?」

 あまりの衝撃にリュウはもう一度同じ言葉を吐いた。


 「だからな……谷龍地神は龍神ではないのだ。」

 「えええ!どどどど……どういう事っすか?なんだ!そのカミングアウト!」

 オーナーの顔を驚愕の表情で見つめるリュウは動揺しすぎて言葉がおかしくなっていた。


 「お、おおおい!タニ!おおおお前は俺様達を騙したのか?」

 「ええええ?だだだだましてなんてなななないですよ!私も……は、は、初耳です。」

 リュウよりもさらにムンクの叫び顔になっているタニは困惑しすぎてリュウと同じ言葉になってしまっていた。


 「おおおお前、馬鹿かよ!じじじ自分が何の神かもわかんなかったってのか!」

 「ななな名前にりゅりゅ龍が入っていたので龍神かと……。」


 「まままマジか……。」

 「ああ!うるさいぞ!お前達は壊れかけのオモチャか!少し黙れ……。その妙な話し方、耳障りだ。」

 タニとリュウの謎の会話をオーナーが頭を抱えながら遮った。


 「じゃ、じゃあタニは何の神なんだよ!」

 リュウはほとんど叫びに近い声を上げた。


 「……草木の神。神格を見るとリュウノヒゲ……タマリュウの神だ。」

 「えええええ!」

 オーナーの答えにタニとリュウは半分目を回す勢いで叫んだ。


 「……はあ……谷龍地たにりゅうち、お前は谷村へは帰っていないのか?」

 オーナーはため息交じりに石像のようになっているタニに尋ねた。


 「ぜ、全然帰ってません!ここで神力を増やして……。」

 「はあ……。お前は最大の過ちを犯してしまったようだ。」

 「……?」

 タニは今にも気を失いそうな顔でオーナーの言葉の続きを待つ。


 「お前が祭られている谷村はリュウノヒゲという植物を神に見立てて信仰している村だ。つまり、お前を信仰している。しかし、あの村からお前がいなくなってしまったので大切にされていたリュウノヒゲが枯れてしまったそうだ。村人は大慌てだと近くの神々は噂している。村人は村人で良くない噂をしているという。後に何か厄災が起こるのではないか、神を怒らせてしまったのではないかと。まあ、リュウノヒゲから龍神の信仰へくくられているようだがリュウノヒゲは植物だ。だからきっとお前は草木の神のままだったんだろう。」


 オーナーの説明は半分以上タニの耳に入らなかった。


 「村が枯れている!?そんなあ!どうしましょう!」

 タニは涙目でリュウを見据えた。


 「お、俺様を見るんじゃねぇよ……。面接に来たのはお前だろうが……。」

 リュウも半分涙目でタニを見つめていた。


 「はあ……お前達……そんな醜い争いをするな。谷龍地の村をもう一度、潤せばいいだけの事だ。私も手伝おう。竜宮は少しの間、休止だ。他の者にも手伝ってもらう。……これから谷村へ行くぞ。」


 「お、おーなぁあああ!」

 去って行くオーナーのカッコいい背中を眺め、タニとリュウは抱き合いながら感動の涙を流し叫んだ。



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