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蛭子様のご乱心2

 「おい、エビス、お前、前回はよくも俺様達をコケにしてくれたな!」

 リュウは壁際の柱に隠れながらエビスを睨みつけた。

 若い少女姿のエビスは頭を抱え、焦った声を上げた。


 「あの時は悪かったと思っているわ。でも今はそれどころじゃないの!パパがっ……パパが!」

 エビスは今にも泣きそうな顔でリュウに詰め寄った。


 「ん?どうしたんだ?蛭子がどうした?な、泣くんじゃねぇよ。」

 エビスの状態が異常だったのでリュウはエビスの頭を優しく撫でてやった。


 「えーん……。パパにお酒飲ませたらおかしくなっちゃったの!」

 「……はあ?」

 エビスはさらに戸惑うリュウに必死にしゃべりかけてきた。


 「パパね、いつも緑茶ばっかり飲んでいるからお酒飲ませてみようと思っていつもの緑茶に日本酒混ぜたの。そしたらあんな変な質問ばっかりして……。」

 とりあえず、リュウはエビスにチョップしておいた。


 「痛いじゃない!何すんのよ!」


 「てめぇのせいか!確か蛭子は下戸だ。飲めねぇんだよ!何てことしてくれてんだ!あれはこれから七福神の会議に出席するんだぜ?」


 「ちょっと混ぜただけよ!それであんなになるなんて思ってもなかったんだもん。だからどうしようって言いに来たのよ!」

 エビスは静かに声を荒げた。


 「あの男は数滴でもハングオーバーだ!とにかく早く酔いを醒まさせねぇと。」


 リュウが柱の影からちらりと蛭子とタニを見る。タニは半泣き状態でカマドウマのようなダンスを披露していた。それを眺めながら蛭子が生真面目な顔で一生懸命に何かをメモしている。


 「ありゃあ……いよいよやべぇ。あのわけわかんねぇダンス見ながら何をメモってんだ?あいつ。」

 「ずっとあの調子なの。何とかしてよ!」


 「お前な、いちいち偉そうなんだよ。とにかく、お前も何とかしようとしろ!頭から水をぶっかけるとか……思い切り殴ってみるとか!」

 リュウが呆れた顔を向けながら酔いを醒ます方法を考えていた。


 「相手はパパよ?けっこう強いんだから。」


 「知ってるぜ!そんな事!……よし、取材と言って竜宮のアトラクションの一つ、滝壺ライダーに安全バーなしで乗せよう!それが一番手っ取り早い。」

 「パパを殺す気なの!?」

 「大丈夫だ!たぶん死なねぇから!」

 という事でリュウは蛭子とタニの所に戻り、滝壺ライダーの取材の話を冷や汗交じりに語った。タニは半泣き状態でリュウと蛭子の顔を交互に見ていた。


 蛭子はその話を聞くと目を輝かせて「取材だ―!」と大声で叫ぶと走り去って行ってしまった。


 「おい、追いかけるぞ。エビス、お前も来い!」

 「ほんとに大丈夫なんでしょうね?」

 「な、なんですか?これ?」

 蛭子を追いかけるリュウにエビスも仕方なく従い、その後ろをなんだか事情がよくわかっていないタニが追いかけた。


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