冷林ぬいぐるみ騒動2
「ちょっと来い……。」
「は、はい……。」
リュウに手招きされタニはちょっと離れたドア付近まで歩いて行った。ドア付近でリュウがベッドの上に置かれた冷林をちらっと見ながらタニに耳打ちをした。
「おい……お前……冷林と寝たのか?」
「え?ね、寝たって……そんなやらしくはないんですけど……。」
「んんん……冷林は男なのか……女なのか……?あれじゃあ判別は難しいぜ……。」
「ぬ、ぬいぐるみだと思うんですけど……。」
タニは上目遣いで控えめにリュウに言葉を発したがリュウは腕を組んだまま唸っていた。
「ぬいぐるみじゃねぇよ……。なんで竜宮にあいつがいやがんだよ……。今日なんか会議とか竜宮であったかな……。ん?」
リュウがタニの不始末の言い訳を考えていると壁に小さく張り紙が張ってあったのに気がついた。
「あれ?こんな張り紙あったかな……?」
タニは首を傾げた。
「何々……『私はエネルギーが切れてしまい動くことができない。お願いだ。竜宮のビップルームまで連れて行ってくれ。それからこんな姿を誰かに見られたくない。誰にも会わずに向かってほしい。冷林。』……これ、冷林の手紙だ!なんでこんなとこに貼ってあるかは疑問だが冷林の事情はわかったぜ!タニ、さっさと連れていくぞ。」
リュウはベッド付近に戻るととりあえず冷林の目だと思われる部分に手を上下に振ってみた。冷林に反応はない。リュウは冷林を素早く抱くともう一度「タニっ!」と叫んだ。
タニは何が何だか頭の整理ができていなかったがきっと只事じゃないのだろうと久々に焦りだした。
「はいぃ!」
タニはとりあえず動揺しながらも返事をするとリュウに続き廊下へと出た。




