太陽の乙女2
色々な男龍神に声をかけていったがこの時間帯は皆忙しく、誰も首を縦に振ってくれなかった。
「んー……どうしよう?」
竜宮のアトラクション受付のロビーでタニは頭を抱えていた。
「よう!タニ!お前、何やってんだ?今日は宴会席ロビーで案内だったろ?サボりか?」
下を向いていたタニに上から声がかかった。タニは顔を上げた。目の前でタニの先輩リュウが楽しそうにタニに笑いかけていた。
リュウは本名、流河龍神と言い、黄緑色の短い髪に謎のシュノーケルをつけた怖い顔のお兄さん雰囲気な男龍神だった。黒に金字の竜が描かれた着物を片方脱いで着ていてそれがさらに怖いお兄さんを出していた。
彼はヤクザのお兄さんではなく、こう見えてツアーコンダクターをやっている神である。
「リュウ先輩!ちょうど良かったです!今、暇ですか?」
「ん?なんだァ?俺様を夜の街へ誘おうって考えか?」
「違います。」
「……きっぱり断りやがったな……。」
ニハニハ下品に笑っていたリュウはタニの一言でがっくりとうなだれた。
「実は太陽のトップが現在宴会席前のロビーに来ていまして……その……甘いマスクの方を連れてこいとの事でリュウ先輩に行ってほしいんです!」
「……はあ?」
タニの言葉にリュウは目を見開いた。
「馬鹿か。お前は!俺様は甘いマスクって面じゃねぇだろが!正気か?てめぇ!」
「そんな事言ったって……甘いマスクがなんだかわからないんですよ……。どういう顔なんですか?」
「どういう顔って……こう……ん?どういう顔……なんだろうな?そういえば。」
泣きそうなタニにリュウも困り果てた。
「そこら辺にいた男龍神にも声をかけたのですが皆さん多忙でして……。」
「んで、俺様が暇そうだったから声かけたと……。まあ、確かに最後のツアー客終わったから暇だが……俺様が行ったら即消し炭にされそうだぜ……。太陽の姫はゲーマーだと聞くし、レベルも高そうだ……。」
「暇なんですね?じゃあ、行きましょう!」
タニはリュウの言葉を丸無視して手を握り走り出した。
「うおい!待て待て!まだ俺様は返事を……死にたくねぇ!」
いつもなら逆の立場なのだが今回はタニにリュウは引っ張られて行った。




