月のアイドル!月子さん!3
それからタニは地獄のアイドル活動を経験させられた。
「はい!わんつー、わんつー!動きが鈍い!もっと素早く動けないの?どんくさい!」
月子さんは宴会席のステージでタニをぶっ通しで踊らせ続けていた。
タニは汗だくで顔はもう死んでいる。
「何よその顔!かわいくないわよ!笑いなさい!笑うの!はい!」
「つ、月子さん……私……もうダメです……。」
タニはへなへなとその場に座り込んだ。月子さんがタニを許すわけもなくタニはその後すぐに無理やり立たせられた。
「ダメなんて言わないの!あんた、ここで諦めるの?アイドルの道を!」
月子さんの鋭い声にタニは涙目でとりあえず立ち上がった。
「も、もう諦めます……。はじめから目指してません~……。」
「馬鹿!」
タニは罵られなぜか頬を思い切り叩かれた。
……痛い……なんかのドラマみたいなこれ……なんなの?
タニは頬を押さえ半泣き状態で月子さんに怯えた。
「それであんたは本当にいいの?そんなカマドウマみたいなダンスでいいの?カマキリみたいな構えでいいの?」
月子さんはタニを怒鳴りつけている。
……もうそれでいいです……。カマドウマみたいなダンスって……私、どんな動きをしてるんだろ……。
タニは思った言葉を飲み込みつつ、とりあえずあやまった。
「ご、ごめんなさい!月子さん!」
「あやまっている時間があるなら練習しなさい!ほら!わんつーわんつー!」
先程から遠くの方でリュウが青ざめた顔でレッスン風景を眺めている。仕事を頼んでしまった手前、リュウはその場から離れられなかったようだ。
「はい!ターン!ターンよ!回りなさい!顔!笑顔!にっこり!ほら!」
月子さんの指導には熱が入っていく。タニは顔面蒼白になりながら必死で謎のダンスを練習した。
しばらく経つとタニのダンスはなんとか形になってきたようだ。
月子さんの顔も穏やかになってきた。
「うん!いいわね!良くなってきたわよ!うん、よし!形になってきたわね。」
踊り続けて四時間、月子さんからのお許しがやっと出た。タニは笑顔で踊りすぎて顔が元に戻らなくなってしまった。体中が熱く、若干トランス状態である。
「月神さん達の前に出る前に倒れそうですけど……。」
「あら、何言ってるの?今のは踊りの確認よ。私が踊るパート。客観的に見て振付を決めた方がいいものができるのよ!」
「え……?」
タニは耳を疑った。今のは月子さんが踊るパートの振付決めだったらしい。
「じゃ、今度はあんたの振付ね。」
「……。」
月子さんの発言にタニは顔面蒼白になり全力で逃げようとした。
だがまた殴られるかもしれないのでタニは大人しく月子さんに従う事にした。




