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地味子の暴走3

 「おい!お前ら!何してんだ!」

 あちらこちらから休憩中の龍神達が集まってきた。


 「なんだかわかんねぇんだが……じ、地味子が……。」

 リュウは他の龍神達に部屋の中を見るように言った。部屋の中ではピンクの髪の龍神が冷たい目でこちらを見ていた。


 「うわあああ!でたァ!あいつだ!」

 「あいつがでた!」


 「え?おい?なんだ?」

 リュウが問いかける前に大方の龍神達は慌てて逃げだした。


 「な、なあ、タニ……これやべぇやつだよな……あれ、地味子だよな……?とりあえず逃げるか!」


 タニが何か言う前にリュウはタニを抱き上げて廊下を走って逃げ始めた。ふと後ろから爆発の音が聞こえた。後ろを振り向くと先程リュウ達がいた場所の壁が破壊され、煙がもくもくと上がっていた。


 「ひぃいいい!」

 再び大きな爆発が起こる。リュウはタニを連れて全力で走った。


 竜宮の従業員住み込み寮から外に出ると変貌したヤモリが空をふわふわと浮いていた。

 何かを破壊するつもりなのか手には禍々しい力を蓄えている。


 「おい!あれは何だ!なんか構えてるぞ!おい!」

 リュウは近くで怯えている龍神の胸ぐらをつかみ、鋭く尋ねた。


 「うわあああ……!知らねぇよ!あいつはたまに突然現れて竜宮を破壊してまわる龍神だ!誰か止めてくれ!くそ……こんな時に飛龍も天津様も不在なんだ!このままじゃ客に被害が出る!俺も死ぬ!ひぃいい!」


 男の龍神の一神は尋常ではない怯え方で走り去って行ってしまった。


 「おい……なんか知らねぇが皆にトラウマを植え付けているみたいだな……あれは……。」

 「あれは……や、ヤモリ先輩ですよね……。きゃっ!」

 タニが声を上げた刹那、近くの建物がヤモリのなんだかわからない力で消し飛んだ。


 「ああ!私の部屋が!……うう……なんとかしてください!リュウ先輩~……。」

 タニはめそめそ泣きながらリュウに抱き着いた。


 「なんとかしろって言われてもよ……。どうすりゃあいいんだよ……。」

 「どうすりゃあいいんでしょう?……うえええん。」

 めそめそ泣いているタニを撫でながらリュウは必死にどうするか考えた。


 「っち……仕方ねぇ!タニ、しっかり見てろ!俺様の数式結界を見せてやるぜ!」

 リュウはシュノーケルを目にかける。目にかけたとたん、リュウのシュノーケルに大量の電子数字が流れ始めた。


 「何をするんですか?」


 「結界を張ってあいつをはじき出す。空間の座標とかの数字を見つけて計算してそれを線で結ぶんだよ。5534421677……マイナス二乗の重力加速度9・8……。」


 リュウが集中をはじめ、タニは自分も何かしなければと一生懸命に考えた。

 しかし、何にも思いつかなかったのでとりあえず、タマリュウを沢山出す事に全力を注ぐ事にした。


 「だああ!何やってんだ!横でうるせぇ!なんでそれを量産してんだ!迷惑だ!いますぐやめろ!」

 「な、なんか役に立つかもしれないと思いまして……。」


 「もう結界はできた!奴はもう結界の外だぜ……。」

 リュウは頭を抱え、ぐったりとその場に座り込んだ。


 「なんだかよくわかりませんが早いですね!ふう……良かったあ……。……あ、でもヤモリ先輩は大丈夫なんでしょうか?」


 タニが心配するように空を見上げた。もうヤモリはいない。竜宮外へと飛ばされたらしい。


 「……お前、またあれの餌食になりたいか?」

 「……いいえ。」

 「だろ?」

 リュウとタニが脱力し、その場にへたり込んでいた時、元気な女の声が響いた。

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