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SciFi創作論  作者: 宮沢弘
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科学は何も生み出せない

 どうのこうの言ってもSciFiと科学は切り離せないでしょう。そして「科学とは何か」を普通に説明しようとすると、困難が伴います。そこで、ここではおそらく普通とは違うアプローチで説明を試みてみようと思います。

 「科学など人間に役立つものは生み出さない。物よりも精神が大切なのだ。原発なんか役に立つどころか云々」という猿基準の議論ではありません。

 人間の営みにおいて書くことは切り離せません。ですが、科学とその他においては「なぜ書くのか」の理由が異なります。

 科学において書くのは、「伝えるため」です。

 対して、それ以外において書くのは、「定めるため」です。

 たとえば、 l = vt (速度かける時間が移動距離に等しい)という物理法則とすら呼べるかどうかくらいのものを考えてみましょう。これを、 l = 2vt とすると「定めた」とします。もちろん、vを、本来のvの1/2の値を使うというのはなしで。そのように「定めた」としても、当然意味がありません。少なくとも何かの目的がある場合を除いて。 l = vt はそこに既にあるもので、それを人間は伝えるために書いたのみです。科学は本来的に「何も生み出せず」、「何も定められない」のです。実験や理論を書くための「条件を定める」ことはありますが、それはここで書いていることとは別の話であることは言うまでもないでしょう。

 工学も同じ。工業になると少し話が違いますが。

 では科学以外ではどうでしょうか。書いたことそのものに意味がある場合もあります。文学なんかはこっちよりでしょうか。さらにそれ以外の場合は、契約にせよ法律にせよ「定める」ことになります。

 さて、工業の話ですがプログラムだと「V3最強説」というものがあります。まぁ私だけが言っているわけでもないという程度ですが。「V3」といっても、「怪奇! バッタ男」の話ではなく、「バージョン3」という意味です。もちろん「怪奇! バッタ男のV3」も該当するわけですけど。あと、もちろん全てに言えるわけではありません。最近は最初から大規模開発が行なわれてたりするので、必ずしも当て嵌るわけでもありません。ですが、昔だと、好きものが好きなように作れるのがV3までだったりしました。V3が売れると、猿が流入してきて、猿仕様が組み込まれます。猿仕様だと「猿にも理解できる仕様」と思うかもしれませんが、「猿が作った仕様」です。もういろいろ崩壊した仕様書によって仕様が「定められ」、それに基づいて崩壊した製品が作られます。猿仕様が「定められる」のはプログラムに限った話ではありません。プロジェクトが大規模になるほど、アホウの人数が増え、アホウ指標の最低の値も下がります(低い方がよりアホウとして)。

 では、科学以外において書くということ、つまり「定める」ということはどういうことなのでしょうか。あるいは「定められる」というのはどういうことなのでしょうか。そのように「定められる」事柄は、存在していないということです。存在していないことですから、好きなように定められるわけです。それが病的妄想や思い込みや勘違いや猿脳だからだとしてもです。

 法律や契約というもの、あるいはそれらが効力を持つということは、まさに妄想や思い込みや勘違いや猿脳に基いたものであり、病的妄想をそのようなものであると思っているのです。

 あるいは、政教分離を一応言っている欧米も、それなりに温度差はあるものの、結局は宗教国家であること。イスラム圏は政教分離を言っていない、あるいは言っているだけという国もあることも考えましょう。「定めることができる」ということは、「どのようなものを」、「どのように」定めるかという問題が当然あります。ですが、そこを問題にして「定める」というのはかなりの困難が共なうことは想像に難くないでしょう。そして、法律の基礎は聖典に根拠を持ち、聖典に根拠を持つからこそ根拠のある法律であると考えているという間抜けな論理が基礎にあることを忘れてはなりません。

 慣習に基づくものも同じです。「皆がやってるから」、「これまでそうだったから」という理由は理由になりません。少なくとも論理としてはお話になりません。

 さらに、これは先にその間抜けさが見えた、日本の憲法学者や法律系学者(の一部)が、なぜあれほど間抜けなのかを理解しやすくするでしょう。つまり、理系人以外の頭には論理など入り込む余地はなく、理系人も含めた大多数が持っているのは猿脳だからです。


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