19話 分岐点
人には誰にだってやり直したい過去があるだろう
あの時はこうすれば良かった…………
あの子にはああしてあげれば良かった…………
そして俺はあの時しっかりと止めていれば………………………
後悔後先経たずだ
俺の行動はだいたいルーチーン化されてた
週4でジータ達と遊んで週3でソフィス達と遊ぶ
こんな感じの暗黙の了解みたいになってた
ソフィスは家での習い事がありあまり遊べないから、習い事のない日は優先で遊ぶのだ
頑張ってる子にはサービスをしないとな
あとソフィスって呼び捨てにしてるのはジータ達の話を聞いたらしく
「お、お友達でしたら………その…………そろそろ他人行儀もよろしいんじゃ………」
とソフィスらしくもなくもじもじとしてたから
「分かりましたソフィス これで良いですか?」
って言ってたら顔をすっごく赤してた
今ではこうゆうやり取りも嫌いではない
で、ある日
今日は元々ソフィス達と遊ぶ約束をしてたんだが、遊んでいる最中にジータ達が来た
「あ、あのな…………」
ジータらしくもなく歯切れが悪い
どうやらいつも遊んでいる山が入れなくなるらしい
そろそろ雪が降るから降ると危ないからだ
ここの気候は差が激しい
穏やかな春
苛烈な夏
乾燥する秋
そして猛吹雪の冬
夏と冬は何日か家から出れない程、天候が激しい時があるらしい
俺はまだ小さかったから興味がなかったが………
っと話が脱線してた
で山の中の秘密基地の私物を取りに行きたいから一緒に行かないか?という誘いだった
最初はソフィスが行きたがらないと思い断ろうと思ったんだが
「お友達のためでしたら、私は構いませんよ 淑女ですから!」
と言っていたからジータ達に同行することにした
ソフィスも随分と丸くなったものだ
最初の頃はキンキンと喚くだけかと思っていたら、いつのまにかちゃんと礼儀作法が出来るようになっている
行動の節々が優雅なのだ
俺も母様に礼儀作法を教えてもらったものだ
その時に
「アルトの方がきっと上手よ」
と言われて
久しぶりにちゃんと話をしたのを覚えている
最近は軽くしか話てなかったからな
母様と父様のことを考えながら適当に頷いていると秘密基地に着いた
秘密基地といっても山腹のに枯れ木や枝を集めて大きい鳥の巣みたいにしたものだ
みんなが私物を回収する
俺は大事な物は持ってきてないから平気だ
「すごいですわね!」
珍しく、ソフィスが興奮してる
「まあみんなで頑張りましたからね(主にマートが)」
マートは俺達の世代では一番の土魔法の使い手だ
この秘密基地の土台はマートがほぼ作ってくれた
もちろん、指示は俺がしたけどな
「私も…………」
「そろそろかえろーぜ!!」
ソフィスが何かを言おうとした時にジータがみんなに声を掛ける
「本当に空気が読めない子ですわ!」
「まあまあ」
何故か、ソフィスとジータは仲が良くない
同じカリスマ性を持っているはずなのにっといつも思ってる
口には出さないけどね
帰りに、イマノが何か見つけたようだ
「うぉい! みんなあれ見ろよ!!」
騒がしいイマノだがこいつの家は昔から狩りをしている家らしくもう親について行って狩りをしているらしい
イマノが指している方を見ると、アグリーベアらしきものの後ろ姿が見える
イマノはみんなで狩ろうぜとちょっと一狩りや二狩りしようぜ並みに言ってくる
確かにこいつらの魔法の力は強い
5才(この年)で村にいる大人達より全然上手い
しかもみんながだいたい「ダブル」だ
「シングル」の子もいるが「ダブル」の子よりも魔法の威力は高い気がする
一つの属性地を高めてるからだと俺は思っている
俺はこの人数なら余裕と判断し声を掛けた
「みんなの得意属性の魔法で一気に狩ろう アングリーベアはそろそろ冬眠しようとしていて動きが鈍いはずだ」
「「「「わかった!!」」」
ソフィスは柄にもなくうきうきしてる
まあソフィスには滅多にない経験だしな
「なぁアーク………」
「どうした ジータ」
元気の申し子ジータが不安そうに俺を見てくる
「なんだか、いやなかんじがしてないか?」
「そうか………じゃああのアングリーベアを狩ったらすぐに山を降りるか あれ(アングリーベア)は大人達に運びに来てもらおう」
「そうだな………」
ジータの顔はまだ優れない
早めに行動しよう
「みんないいか? いっせーのせ!で同時に攻撃だ!!」
俺は指揮官にでもなったつもりで少し悪乗りしていた
「いっせーのせ! 放て!!」
見えない風の刃 赤く燃える炎の玉 大きな水の塊 小さいが先の尖った石
そして紫電の光
あれはソフィスの雷属性の魔法だ
雷の属性地は4属性とはまた違う属性地と言われていると魔導書中級編に書いてあった
一応知識だけはと思い魔導書は読んでおいたのだ
バチバチ!! スパン! ボア!! バシャン!! グサッ!!
アングリーベアーがよろけた
「やったか!?」
俺も初めての狩りだっかから興奮していたようだ
もちろん
その興奮はすぐに恐怖へと変わったっていった…………………




