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第3話 ダンジョン攻略

 僕はドラゴンになってしまった。

 理解も納得もいたしかねるが、可能性には思い当たる。


 生まれたばかりのドラゴンは「幼竜」という弱いモンスターだ。

 それが長い年月を経て成長し、「色付き(カラード)」と呼ばれる成竜になる。

 成竜は莫大な魔力を貯めこみ、それで自分自身を作り変える。

 それが「変態」であり、変態の回数によってドラゴンのランクが決まる。

 一度の変態で金属(メタル)級、二度の変態で宝石(ジュエル)級、三度の変態で精霊(エレメンタル)


 僕は――


――カラ=レイアのランクは金属級です――


 だそうだ。調査団を襲った5体のドラゴンと同ランクである。


 おそらくだが、あのドラゴン達は「変態」の能力を僕に使ったのではないか。

 意図は分からない。だが、手段としては納得できる。

 そして、それをするために5体のドラゴンが集まった。

 そして、調査団を襲い、ぼくに「それ」をしたのだ。


 だとすれば、この迷宮のような場所がどこなのかも想像がつく。

 ここは…「黄金竜マーリンの地下迷宮」なんだろう?


――回答不能です――


 だと思った。

 黄竜のスキル「書架」。こいつは「二重人格のようなもの」だと答えた。


 おそらくこいつは僕が無意識に知っていることを言語化しているだけなのだ。

 僕の思考作業を整理し、魔法の術式構築や解析を並列作業で行う、僕のメイン意識をサポートするサブ意識、それが「書架」だ。


 だが、「書架」が回答できなくても、僕は確信していた。

 ここはマーリンの地下迷宮だ。


 ドラゴンは属性によって特徴がある。


 赤は全てにおいて高いステータスを持ち、火と風を操る魔力をもつ凶暴な竜。

 青は高い魔力を持つが、肉体は貧弱で、風と水を操り、知覚範囲と超長距離攻撃を得意とする。

 黒は魔力も身体能力もさほど高くはないが、圧倒的なスピードと、吸収(ドレイン)呪詛(バッドステータス)の魔力を持つ最強の竜。

 白は魔力も身体能力も高くなく、鈍重だが、治癒と破邪の魔力を持つ。


 そして黄は、ドラゴンの中で唯一「魔法」を使えるドラゴンだ。


 赤青黒白も魔力は持っている。だがその魔力を、ブレスや属性結界という限られた形でしか利用できない。

 だが黄だけは、人間と同じように、術式やアイテムを用いて、火球や瞬間移動などの様々な魔法を使える。

 いや、人間など比べ物にならないレベルで、だ。

 黄竜の地下迷宮には、その主が作った魔法の罠が大量にあるのだ。


 選択肢は二つ。このダンジョンから脱出するか、攻略するか。


 僕は攻略する方を選んだ。

 ここがマーリンの地下迷宮である以上、僕の行動は全てヤツに監視されていると思った方が良い。

 だとすれば、下手に逃げて主導権を握られるより、攻勢に回った方が良い。

 マーリンと対峙し、意図を確かめ、場合によっては倒す。

 僕もマーリンと同じ、金属級のドラゴンなのだ。勝算はある。


 とりあえず、さっき青になった時に見えた扉の位置は全て把握している。

 僕はそれを目指して、歩き始めた。


◆◆◆

 いくつ目のドアだろう。


 ドアを開ける度にモンスターに襲われたけれども、すべて「火球」で焼き払った。

 「書架」の扱いでは「火球」もスキルの一つらしく、使おうと思っただけで発動するのだ。

 そして、魔力量も凄い。まるで疲れないんだけど、魔力回復のスキルでもあるんだろうか。


――「魔力回復」はスキルではなく特性です――


 あ、はい。


 ていうか、スキルって何?今さらだけど。


――スキルは一連の作業をブロック化した技術のことです。たとえば3発の突きを一連の動作として修得すれば「三連突き」というスキルになります――


 なるほど、わからん。

 まあ、書架さんに任せておけば大丈夫だろう。細かいことは気にしない。


 やっぱり鍵がかかっていたので、「解析」と「魔力操作」で解錠する。


――スキル「解錠(アンロック)」を修得しますか?――


 ああ。さっきの説明だと、いちいち「解析」と「魔力操作」の二動作しなくても、一発で開くって事か。

 お願いします。


――スキル「解錠」を修得しました――

 ドアが開く。またモンスターの気配。はい、「火球」っと。


 轟音。ところが、そいつは無傷だった。


 甲冑(スーツ)といわれる全身鎧に、大盾(タワーシールド)長剣(ロングソード)を構えた騎士のような姿。

 だが人の気配はなく、術式が全身を走っているのが見える。

 動く鎧(リビングアーマー)だ。

 魔法耐性も物理耐性も高い。


 ……ていうか、僕、攻撃魔法は「火球」しか使えないって言ったじゃん!

 「火球」の効かない相手にどうしろって言うのさ!?


 リビングアーマーの右腕の術式に魔力が流れる。反射的に後ろに跳んだ目の前を剣閃がはしる。


 ……むり!そもそも僕、魔法使いなんですけど!?


 リビングアーマーは容赦なく攻撃してくる。めちゃくちゃ速い。

 剣術なんてしたことのない僕では、どうしようもなかった。

 しかも感情がない。何の感慨も油断もなく、とどめの一撃を放ってくる。


 がきいいいん!!


 リビングアーマーの剣は黒い鱗(・・・)に跳ね返されていた。

 黒鉄竜。最硬の鱗を誇る最強の金属竜。

 左手薬指の指輪が薄く光っていた。

 リビングアーマーごときが!僕に勝てるつもりか!

 

 渾身の力を込めた右ストレートがリビングアーマーの顔面にヒットする。


 ぐきっ


 手首ぐねった…(T_T)

 いや!だって僕喧嘩とかしたことないんよ!?人殴るの初めてなんだから!


 リビングアーマーにはノーダメージだ。ただちに反撃してくる。

 黒鉄竜の反応速度ならリビングアーマーの剣筋は見えるが反撃の手段はない。


 ならこれならどうだ!黒から直接赤に属性変化する。

 金赤竜の膂力は黒鉄竜の比ではない。


 どがあああ!


 拳の当たった鎧が大きくへこむ。初めてリビングアーマーの動きが鈍った。

 いける!


「うおおおおおお!!!」


 生まれて初めての咆哮。技術も何もなく、僕はリビングアーマーを力の限り何度も何度も頭が真っ白になるまでぶん殴った。

 

 どれくらい経っただろう。リビングアーマーが動かなくなってからも暫く、僕は荒い息をつきながら様子を窺っていた。本当に倒せたのだろうか。

 念のため、黄金竜に戻って魔力感知で確認する。リビングアーマーの魔力は完全に途切れていた。

 一息ついた瞬間


――リビングアーマーの術式を解析しました「身体強化」のスキルを修得しますか?――

――リビングアーマーの動きを解析しました「剣術Lv.1」のスキルを修得しますか?――


 僕は竜の魔法剣士になったらしかった。

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