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卒業  作者: 希恵和
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13/28

12魔法使いの定義

  

「呪いって。中野あんなが呪いをかけてるって言うのか! あいつはそんなんじゃねえよ」

 安藤が感情的になり、大声出すな。周りの関係ない人間が騒ぎ出すだろうが。


「『魔法使い』は意識的に能力を発動するわけじゃない。おそらく無意識にだ。だから厄介なんだがな」

「お前、中野あんなのこと知らないんだろ」

「全く知らないわけじゃない。だからといって、親しいわけでもない」

「なら」

 

 しかし、弁明の余地は今のうちになくしておくほうがいい。


「それでも『魔法使い」についての情報はここにある」


 そういうと安藤はだまった。

 決定的だった。安藤は『魔法使い』を知らない。

 私だってすべてを理解でしているわけではないけれど、努力はしてきたつもりだ。


 私は続ける。

「うちの姉が昔言ったんだよ。――あの子は魔法使いだって」

「私は最初姉が何を言っているのか分からなかった。だが、『魔法使い』その意味を知ったとき私はようやく分かったんだ」

 カバンの中から一冊の本を出して見せつけた。

 赤い表紙の薄っぺらい……冊子といった方がいいだろうか。


「――『魔法使いの10の約束RED』って何だよこれ」

 安藤が題名を読み上げた。


「生徒会室の倉庫にあった。中を読んでくれ」

 そういうと安藤はページをめくった。中に黄ばんだ紙が一枚。たった一ページのそれにはこうかかれている。



『1学校の魔法使いはもう死んでます。

 2魔法使いは一クラスに一人です。いないクラスもあります。

 3ばれたら面倒です。

 4死亡者は高校入学決定時から三年卒業までが対象。任期は卒業年度の3月末まで。

 5先に決まってたらごめんなさい。

 6魔法使いは未練たらたらです。

 7魔法が使えるようになります。記憶操作と千里眼みたいなやつ。

 8誰か一人の願いを一度だけかなえることもできます。これは何でも可。

 9毎回のクラスは自分で決めれません。ごめんなさい。

 10最初の一人が[さよなら]すればいなくなります。

  質問あれば文藝部まで、アタシはいつでもいます。多分。

   魔法使い 橙季』



「――最後の文字はだいきって読むのか」

「おそらく」

「この橙季っていうのが『中野あんな』だっていうのか」

「それは私の予想だ」

「魔法使いって死んだ人間なんだろ」

 どうした安藤。何故そんなに泣きそうな顔をするんだ。男泣きは見たくない。

「ああ」

 正直に答えた。


「じゃあ、中野は死んでんのか」

 安藤が絶望感を溢れさせていた。

 断定できるが、証拠がない。故に。


「分からない。ただこれだけは分かる」

 私は導き出した結論のみを述べた。


「中野あんなは魔法使いだ。私の姉、紀式舞子がそういったんだからな」

 

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