12魔法使いの定義
「呪いって。中野あんなが呪いをかけてるって言うのか! あいつはそんなんじゃねえよ」
安藤が感情的になり、大声出すな。周りの関係ない人間が騒ぎ出すだろうが。
「『魔法使い』は意識的に能力を発動するわけじゃない。おそらく無意識にだ。だから厄介なんだがな」
「お前、中野あんなのこと知らないんだろ」
「全く知らないわけじゃない。だからといって、親しいわけでもない」
「なら」
しかし、弁明の余地は今のうちになくしておくほうがいい。
「それでも『魔法使い」についての情報はここにある」
そういうと安藤はだまった。
決定的だった。安藤は『魔法使い』を知らない。
私だってすべてを理解でしているわけではないけれど、努力はしてきたつもりだ。
私は続ける。
「うちの姉が昔言ったんだよ。――あの子は魔法使いだって」
「私は最初姉が何を言っているのか分からなかった。だが、『魔法使い』その意味を知ったとき私はようやく分かったんだ」
カバンの中から一冊の本を出して見せつけた。
赤い表紙の薄っぺらい……冊子といった方がいいだろうか。
「――『魔法使いの10の約束RED』って何だよこれ」
安藤が題名を読み上げた。
「生徒会室の倉庫にあった。中を読んでくれ」
そういうと安藤はページをめくった。中に黄ばんだ紙が一枚。たった一ページのそれにはこうかかれている。
『1学校の魔法使いはもう死んでます。
2魔法使いは一クラスに一人です。いないクラスもあります。
3ばれたら面倒です。
4死亡者は高校入学決定時から三年卒業までが対象。任期は卒業年度の3月末まで。
5先に決まってたらごめんなさい。
6魔法使いは未練たらたらです。
7魔法が使えるようになります。記憶操作と千里眼みたいなやつ。
8誰か一人の願いを一度だけかなえることもできます。これは何でも可。
9毎回のクラスは自分で決めれません。ごめんなさい。
10最初の一人が[さよなら]すればいなくなります。
質問あれば文藝部まで、アタシはいつでもいます。多分。
魔法使い 橙季』
「――最後の文字はだいきって読むのか」
「おそらく」
「この橙季っていうのが『中野あんな』だっていうのか」
「それは私の予想だ」
「魔法使いって死んだ人間なんだろ」
どうした安藤。何故そんなに泣きそうな顔をするんだ。男泣きは見たくない。
「ああ」
正直に答えた。
「じゃあ、中野は死んでんのか」
安藤が絶望感を溢れさせていた。
断定できるが、証拠がない。故に。
「分からない。ただこれだけは分かる」
私は導き出した結論のみを述べた。
「中野あんなは魔法使いだ。私の姉、紀式舞子がそういったんだからな」




