表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帝国の終章は異世界で  作者: リュウジン
9/11

第八話 出会い

大変遅くなってすいません第八話です。

第八話 出会い



杉原が一人でエルサの元へ向かっていってからすでに30分近く経過していた。


護衛隊はただ黙って汗を流しながらジリジリと待ち続けていている中で有沢も杉原の背中を見送った態勢のまま丘の様子を見続けていた。


(もう10分が経過した・・・やはり代わりに俺が行くべきだったか?・・・しかし_)


顔は無表情を保ったままだったが心中はとても穏やかではない、あの時は戦いを避けるためとはいえ丸腰の一般人を一人で死ぬかもしれない場所へ送り出しただから当たり前である。


必要ならば指揮官として部下を確実に死ぬとわかることを命令を下してやらせねばならない、酷い話かもしれないがもし自分の部下の可愛さで命令を躊躇すれば他の味方に犠牲が出てしまえばそれは私情で味方を殺したも同然になる。


だからこそ杉原の命を守るよりも現地住民と平和的に接触し関係を築くという今回の調査隊における最大の目的すなわち大義を優先させるために有沢は杉原を黙って行かせた。


しかし自身の行為を正当化できる免罪符はいくつでもあったとしても人を死地に送ってしまったかもしれない事実が消えてくれるわけではない。


「中尉っ!」


もう5分がたった時、最初に声を上げたのは有沢の隣で丘を見ていた後藤だったがすでに有沢にも見えていた。


遠くからでもわかる大自然あふれる場所では違和感しかないスーツ姿の杉原がエルサと思しき女性兵士と数名の兵士を伴って坂を下って降りてきており、その足取りはしっかりとしていたので少なくとも五体満足なのは確かだろう。


「見えてるから傍で大声をだすな」


「すいません、つい」


冷静なフリをしながら自身も安堵のため息をついていたのは後藤も気づいていたが何も言わないことにした。


護衛隊は杉原が無事に帰ってきた事にしばらくは安堵の声を上げていたが姿が近づいて詳細がわかってくるとざわめきが出始め徐々に大きくなっていた。


「あのー中尉、“アレ”なんでしょうか?」


「・・・なんとも言えん、とりあえず出よう」


後藤と有沢にも当然それは見えていたがとりあえずは無視して杉原を出迎えようと銃を肩にかけ直して木の裏から出ると杉原も二人にすぐに気がつき日本語でお待たせしましたと頭を下げた。


「いえご無事で何よりです」


「とりあえずこの後マイエル・イングヴェル王子が滞在されておられる館までは案内してくれるそうです、会ってくれるかはまだ未定ですが」


「このまま虎穴に入ると?」


有沢は先程どこぞのヤクザまがいの演説をしてみせたエルサをチラッとみると彼女は少し離れた場所で退屈そうに腕を組みながらこっちを見ていた。


杉原も有沢が皮肉だけではなくエルサ達のある“外見的特徴”を暗喩してるのもわかったので苦笑いしながら答える。


「そうなります、護衛は二名までだそうなので人選をお願いします」


「二人ですか・・・分かりましたすぐに準備します。後藤、班長を呼んできてくれ」


「了解です」


一応敵対状態を解いてくれたとはいえ相手方の本拠地に乗り込むのはまた危ない橋を渡ることにはなるがエルサの言い分が正しければ一国の王族と接触出来るチャンスを逃すわけにはいかなかった。


有沢は一旦下がると護衛隊の班長2名を呼び寄せて人選を始める。


他の隊員も待機状態を解除して木の裏から出てきたが相変わらずエルサ達の姿を見ながら少々ざわついていた。


これにはエルサ達も気づいていたし、じろじろ見られるのは彼らとて好きではなかったが杉原が話した“事情”は既に聞いていた上に、有沢達のカーキ色の軍服姿が珍しいのか興味津々で覗いておりお互い様と言える。


人選の方は護衛継続組に有沢と腕の立つ部下として高島上等兵、残る待機組には有沢から後藤が指揮を継ぐことになった。


後藤と有沢が別れたたのはどちらの組にもロシャナ語を喋れる人間を置いておくことによってどちらかに何か起きても対処できるよう備えておくようにしておくためである。


有沢は人選が終わり杉原の元に戻ってみると杉原はエルサと話していたが有沢が近づいて来ると話を一旦中断してくれたのでそのまま先程決まった人選をそのまま杉原に伝えた。


「分かりました、それでベールヴァルドさんに紹介が少々遅れましたが此方が護衛の方々を指揮しているアリサワ・マサズミ・・・隊長です」


紹介の途中で一瞬言葉が途切れたのは有沢の階級である中尉を名前の後につけようとしたがロシャナ語には中尉に相当する言葉が無かったのを思い出したので、とりあえず隊長とだけ伝えるにとどめた。


有沢は改めてエルサの格好を近くで見ることになったが防具は服の上に革製の胴鎧を着ているだけで兜もつけておらず武器が刺突剣の一種であるスモールソードを二本腰に下げている以外はどこかの町で召集された若い女性の民兵にしか見えないが、彼女の放つ雰囲気と言うべきものは一般人とは思えないものであった、まあ多少は少し前の演説の印象のせいかもしれない。


エルサの具体的な階級は分かっていなかったが一応自分と同じ300人クラスの部隊の指揮官らしいので礼を失さないようにお会い出来て光栄ですと頭を少し下げたが彼女の茶髪の頭と腰に生えてる“獣耳”と“尻尾”が気になってしょうがなく有沢はチラチラと視線を送ってしまう。


さっきまでは民族的な装飾品か何かだと思い有沢も見て見ぬふりができたが近くによって見たら獣耳も尻尾も動いており彼女の体の一部だと分かったのに気にしない方が無理な話である。


「人様の耳と尻尾をジロジロ見てるけど獣人族に会うのは初めて?」


「その・・・見慣れてないだけですよ、私の故郷では珍しいもので」


「へえ・・・珍しいねえ?ふーん…しっかし異世界の同業者は随分と変わった格好なのね」


有沢はエルサの異世界という言葉で一瞬固まり杉原に顔を向ける。


「杉原大使?」


「はい」


「我々のことは彼らになんて伝えたのですか?」


「もちろん真実をです」


「・・・」


すでに察しはついていたが杉原の言葉に有沢は思わず絶句した


私は異世界から来ましたなんて言っても普通は誰も信じない、少なくとも我々の世界で真面目な顔をしてそんなことを言ったら良くて周りから人がいなくなって後に精神病院送りになりかねない。


だから杉原は自分達の存在を上手く騙してくれたから無事に降りてこられたと有沢は思っていたので先程の会話で初めて見たはずの獣人族の存在を知ってた体で装っていた。


とはいえこれは前提があくまで異世界人なんているわけがないのが常識の世界の話であるから。


「もしかしてここでは異世界からの来訪があるんですか?」


「んなもんあるわけないでしょ、変な格好したおっさんが我々は異世界から来ましたなんて言ってきたから何事かと思ったわよ」


ありえないといった様子でエルサは首を横に振って否定する。


ごく普通にエルサが二人の会話に割り込んできたがそれは二人が目の前で内緒話するわけにもいかないのでロシャナ語のまま話続けていたせいである。


「じゃあなぜそんな事実を話すなんて危険なことを」


現地住民の接触に備えて杉原が相手が信用できそうな何かしらのシナリオを用意していると思っていたため杉原を止めずに行かせたがまさかいきなり有りのままの真実を相手に叩き付けることなんてしてるとは思わなかった。


「エルサさんはきちんと正直に話せばわかってくれる方だと思ったからですよ」


「えっ…?」


杉原が笑顔で答えたいきなり顔面数㎝横に矢を放ち、どこの組の方ですかと問いたくなる演説をしてのけた女性にする人物評価に思わず疑問の声を上げてしまったが当のエルサは上機嫌そうにうなずき。


「その言葉、私を悪魔か何かと勘違いしてるウチの部下共に言い聞かせ欲しいわ、まあ私もまだ完全に信じた訳じゃないけどこっちに害意がなければ殿下の所へ連れて行くことにしたってこと、状況はわかったアリサワ?」


「・・・あー、はいわかりました」


この人の部下も色々と気苦労してそうだと思いながら有沢はとりあえず頷く。


「じゃあそっちの準備が終わったら呼んでちょうだい」


そう言い残すと自分の部下の元へとエルサは戻っていった。


「しかし獣人族ですか…報告書にどう書いたらいいんでしょうかね」


エルサが歩くたびにゆらゆら揺れる彼女の尻尾を見ながら、ここに来てようやく有沢は自分がいた所の道理が全く通じない異世界に来たのだと初めて実感していた。


杉原も苦笑しながら同意するように頷く。


「そうですね、しかし言葉が通じるんですから何とかできますよ。それと先程は私を行かせてくれてありがとうございます。おかげで会談の機会を得ることができました」


「あの時は戦闘を避けるためだったので止めませんでしたけど、あまり大博打をうつのは勘弁してください」


杉原のエルサに対する人物評価が正しかったからか、事なきを得たが謎の武装集団の代表が意味不明の事を喋り始めたら普通はその場でそっ首斬られてそれでおしまいである。


なのに杉原はたった数分話しただけで分析したエルサに対する評価に自分の命をかけていた。


交渉事は全て外交官の仕事だと胡坐かいていないで事前にもっと現地住民との接触方法について杉原と話し合っておくべきだったと有沢は後悔していた。


「ご心配をかけたのは謝ります、ただ私もこの世界については何も知らないので真実味のある嘘のつきようがないんです」


「何も、ですか…」


「はい、もちろん私に伝えてられていないのではなく恐らく軍も政府もこの世界については知らないでしょう隠す必要がありませんから」


「……」


1944年12月、元上官に有沢が初めてロシャナ語の本を見た月である、つまりこの時点で少なくともここで使用されている言語を日本政府は翻訳していた事になる。


だから有沢はこの時点より前の段階で日本政府はこの異世界と何らかの接触があり事前にここを飛ばされることを知っていたと推測を立てていたが。


(異世界の言語を翻訳するとこまで出来ておいて、それ以外は全く把握できていないなんてあるのか?いくらなんでも取得している情報の差異が大きすぎる、そもそも…)


「まあ色々と考えたいことはあるかもしれませんが、とにかくこの地域おける有力者と会談を持つことができたのですから今はそれに専念しましょう」


有沢はすっかり思考の坩堝に突入していたが杉原の声で我に返った。


(確かに、今は獣人族と話せるとこれから会談をしに行くの二つがわかればいいことだな)


「そうでしたね、ただこの世界の事を知らないのでしたら尚の事慎重な対応をお願いします」


「善処します、ではそろそろ行きましょうあまり人を待たせるのはよくありません」


「わかりました」


そう言って有沢は振り向き、隊の留守を任した後藤に出発の意を告げた。


これに対して後藤は背筋を伸ばしてただ“了解しました中尉殿”と簡潔な返事をしただけだった。


これから会う人物の気持ち次第で有沢は帰らぬ人となるが今までもこれで最期の別れになると思っていた事は初めてのことはでないもう何回もあった、そしてこれで最後になるとも思っていない、だからお互いに特別な言葉は送らなかった。


杉原大使、有沢中尉、高島上等兵の三名はエルサの隊に囲まれながらマイエル王子が滞在する館へと歩いて行く。


それを後藤はただ黙って三人の徐々に離れていく後ろ姿が見えなくなるまで見送った。



同刻、上陸地点付近。


有沢達が獣人族と接触している頃、上陸地点を確保していた第3班は周囲の偵察を済ませ安全を確認すると沖に停泊させていたSS艇を呼び寄せ大きな物資を直接揚陸させると拠点作成に取り掛かっていた。


今回の調査隊に同行していた学者数名もSS艇と共に上陸し周辺の調査を開始したが、まだ上陸地点近辺の安全確認しか済まされていないため、大型動物の活動痕跡はないと動物学者の情報があってもまだ上陸地点から離れて調査はしてはいけないとしていた。


学者達も未知の場所では蟲一匹でもとんでもない脅威になりえると理解していたのでこれに従っていた、約一名をのぞいては。


「安藤教授、すでに海岸も完全に見えなくなりましたしそろそろ戻らないと…」


西園寺はどんどん深くなっていく木々に大きな不安感を抱きながら迷いのない歩みで森の奥に進んでいく安藤の後を追いかけていた。


揚陸された物資を箱から取り出す作業をしていた西園寺は一人で安藤が海岸を離れて林の中へ入っていく姿をたまたま見つけ安藤の少々自由すぎる言動から一人にさせておくのは危ないと思い、ついて行ったのだが気の弱い西園寺では中々安藤を止めることができなくずるずると今にいたる。


(なぜあの時気づいてしまったんだろう、もういっそこの人のことは放っておいて…でもこんな所に放置するなんてこと…でも…)


一応、二人ともコンパスを持っているので帰れないと言うことはないが、なにがいるかわからない場所に一般人を置いていくのも、かといってそんな場所に二人きりというのも嫌だった。


西園寺が色々と葛藤していたところ前をそんな人の気も知らずに歩いていた安藤が木々の間で立ち止まりしゃがむと地面を調べ始める。


「何を調べているんですか?安藤教授?」


地質かなにかを調べているのかと思い西園寺は安藤の後ろから覗き込んでみると手でなんの変哲もない地面を手でさらっているようにしか見えない。


「ん?人が歩いた痕跡だよ西園寺君」


「なるほど…あのどういうことですか?地質を調べていたんじゃないんですか?」


てっきり地質を調べるためにここまで安藤は歩いてきたと西園寺は思っていた。


「実は海岸を調べていたら人が歩いてできた痕跡を見つけたからな、それを追跡していた」


「なぜそんなことがわかるんですか?」


普通に考えても地質学には高度な追跡技術が必要だと思えない。


「昔アマゾンの奥地を探検していた頃そこに古くから住む部族に色々とお世話になったことがあってな、その時に彼らから教わったものだ」


残った痕跡から大体の方向を割り出した安藤は立ち上がるとまた歩き始めたので西園寺は慌てて安藤の後を追った。


「そ、そうなんですか…でも現地住人なんて見つけてどうするんです?」


「地質を調べるならまずはそこに古くから住む人から話を聞かなくてはならないのだよ西園寺君」


当然と言った調子で返事を返す安藤だったが


「いや話って私達、ここの言語話せないと思いますよ」


この言葉に安藤はピクリと止まる。


「そう言えばそうだったなすっかり忘れてたな…」


「そうです、現地住民が友好的とは限りませんし、ここは一旦拠点に戻って色々と相談しましょう」


今こそ安藤を説得するチャンスとばかりに必死になって話す西園寺だが。


「まあ話が通じなくともなんとかなるものだ実際さっき話に出てきた部族でもそうだったしな、というわけで行こう西園寺君」


(あ、だめだこの人、話を聞かない人だ)


一人で勝手に結論付けるとまた元気よく森の奥へと歩いて行く安藤に、もはや何を言ってもダメだと悟った西園寺は結局ついて行くしかなった。


二人がもう10分ほど歩いていると枯れかけや朽ちた木々が目立つようになり更に奥に進むと森が突然途切れ、平屋ほどの大きさの広場のような場所に出た。


森の中にぽっかりと存在している広場には砂利が多いせいか雑草がほとんど生えておらず、そして中心には恐らくこれを置くため作られたと思われる小さな井戸が鎮座している。


枯れ木に囲まれた広場にしばらく呆けて眺めていた二人だが、安藤は井戸の方から漂ってくる嗅ぎ慣れた臭いに気づき井戸に向かって走り出した。


「安藤教授!?危ないですよ」


西園寺は警告を出しながらも広場を見渡して見ると周りに人影もないのようなので、一応用心して肩に掛けていた小銃を手に持つと安藤の後について行く。


西園寺が井戸に近づいてみると、井戸には木製の屋根と蓋がついており、西園寺にも蓋が閉めているはずの井戸から漂ってくる何処かで嗅いだことがある異臭に気付き顔をしかめる。


(灯油の臭い?)


ストーブやランプに入れる灯油によく似た匂いが何故井戸から臭ってくるのかと西園寺は首をひねりながら、井戸の蓋を慎重な手つきで外している安藤の後ろにつき恐る恐る井戸の中身を覗いてみる。


井戸の蓋が外れると灯油の独特な臭いを何十倍もひどくした強烈な悪臭が西園寺の鼻に直撃してしまい悶絶しているのを尻目に安藤は昔に伝手を頼って手に入れた軍用懐中電灯を使って井戸の数メートル下の底を照らすと闇が晴れたのに依然と黒々とした液体がねっとりと波打っている姿を見ることができたので自分の予想が正しかったと確信する。


「やはり油井だったか」


「油井ってことは井戸に入っているのは石油ってことですか?」


鼻を抑えて涙目ながら復活した西園寺は安藤に聞くと安藤は井戸の中から目をそらさず答える。


「正確には精製前の原油だな」


「原油ってこんな井戸みたいな物で採れてしまうんですか?」


西園寺の原油採掘イメージでは大きな機械でひたすら地面を掘っていたがこれはただ小さい井戸にしか見えなかった。


「地表付近まで原油が自噴していればこういったただの井戸でもくみ上げることは可能だ」


実際大規模な採掘方法が確立する前は原油の自噴で油田を発見してそこからランプの燃料を確保していたといった例は存在する。


「自噴するということは、それだけ大きな油田ということですよね?すごい発見ですよ安藤教授!!」


さっきまでオロオロしていた態度をどこかへ消えうせ、興奮した声で騒ぐ西園寺だが完全に孤立状態にある今の日本には一滴の石油も輸入することができず転移前に備蓄していた石油を極力節約しながら切り崩している状態であり、経済的にも軍事的にも非常に厳しい状況だがもし日本の近場から石油が取れるならこれらの問題は解決できた当然であり騒ぐのは当たり前だろう。


「まだ騒ぐのは早いぞ西園寺君、自噴していたとしてもどれぐらいの埋蔵量かは試掘するまで何とも言えないな」


後ろで元気に騒ぐ西園寺に苦笑しながらとりあえず周りの様子を記録しておこうと自前のカメラを取り出て準備を始める。


自噴していると聞くと大きな油田だと思いたくなるが重要な資源でありながら石油についてわかっていないことがまだまだ多く、実際に掘ってみないことにはどの程度の規模なのか全くわかないというのが実情だった。


「だとしても大発見には変わりありませんよ、すぐにみんなに知らせま…えっ…」


「どうした西園寺君!?」


カメラにフィルムを入れていたら背後から聞こえていた西園寺の声が途切れると同時に倒れる音がしたので驚いて振り向くと西園寺が顔面から地面に突っ伏した姿とその更に後ろに十人ほどの茶色いローブを着た異様な集団がいた。


さすがにこの状況には安藤も絶句する。


ローブの集団は西園寺がピクリとも動かないことを確認すると近づいてきたが倒れた西園寺を置いて逃げるわけにもいかないので安藤は大人しく両手を上げる。


「全く、島に教会の連中が入り込んで来て大変な時になんなのこいつらは?」


地面に倒れた西園寺から銃を取り上げ仰向けにすると安藤の横に立って杖のような物を安藤の頭に向けていた一人が喋りだすが残念なことに安藤には何を言ってるのか全く分からない。


しかしローブを目深くかぶりんでいるので顔はよく見えないが今の声で自分の横にいる人物がかなり若い女性で苛立っているのはよくわかった。


「やっぱり悪魔憑きの人達みたいだから教会とは関係ないんじゃない?」


優しい手つきで西園寺の様態を見ている一人が非難めいた口調で答える。


「このタイミングで来ておいて疑うなって方が無理よ、第一こいつも仲間がやられたのにだんまりを決め込んでるなら何か後ろめたいことがあるんでしょ」


「そうかもしれないけど…いきなり問答無用で後ろから撃ちこむなんて少しやりすぎだと思うな」


「気絶で済ましたんだから私としては温情あふれる対処よ、とにかく家の近くにいた不審者は無力化したから次は大事な財布…じゃなくて雇い主様の大ピンチを救いにこいつ等縛ったらみんな行くわよ」


「みんなってこの人達どうするの?まさかこんな所に縛って放置するつもりなの!?」


「当たり前よ少数とはいえ教会の軽魔装甲歩兵が相手なんだから、捕虜の保護なんてやってる暇…いや確かこいつ等の仲間も館に向かっていたわね…なるほど肉盾かメリーも中々考えるようになったじゃない」


「ごめんなさいティレーナ、やっぱりここに置いていきましょう」


この後この二人をどうするのか、ほぼ全員を巻き込んであーでもないこーでもないと話し合いになったが、アマゾンの奥地で部族と仲良くなった事がある安藤は今回もまあどうにかなると思っており手が疲れてきたからそろそろ降ろしていいかなと呑気な事を考えていた。

リアルの方が落ち着いて来たのでこれからも不定期になりますが投稿していく予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ