第一話 昔話
僕は小さなころから、人では無いものが目に見えた。それは歳をとるにつれてよく見えるようになって来て、今じゃ何かを訴えている自縛霊とか、人間にとりついた生霊とかが見えるようになってしまった。
何で僕がそんな能力を持ってしまったかと言うと、それは僕の曾祖母である沢村冬にまで遡る。
僕の曾祖母は新潟県の出身で、幼いころから人間ではないモノが見え、天照大御神の声が聞けるという特殊体質で、幼い頃から曾祖母が住んでいた村で巫女をしていた。だが、最初の本当に幼かった時は言う事を聞いていた曾祖母も十代になり、自我を持ち始めると好きな人が出来た。その事を聞いたその当時曾祖母の力のお陰で村の村長をしていた曾祖母の両親は人を好きになるとう行為は巫女としての神格を損なうという事で大反対をした。
しかしどうしてもその男性と所帯を持ちたかった曾祖母は、僅かな路銀と来ていた巫女服だけでその男性と駆け落ちし、その男性の実家がある東京に住みついた。そして二人の間に生まれたのが僕の祖母である沢村花だ。
祖母は母である曾祖母の力を受け継いでいたが、曾祖母がその力を封印しようとしたが、祖母がその必要は無いという事だったので封印をする事は無かった。そして祖母も結婚して子供が出来る訳だけど、僕の母さん、沢村涼香は祖母と曾祖母の力を受け継いでおらず、祖母と曾祖母は心底喜んだと言っていた。だけど残念なことに、曾祖母の死後二十七年経って生まれた僕こと沢村宗也はその力を受け継いでしまったという訳だ。
まさか曾孫に力が受け継がれると思っていなかった曾祖母は、力の封印方法を祖母に教えていなかったので、僕は本当に小さい頃から人間ではない『妖怪』が見えてしまい、怖くて年中泣いていたのを覚えている。
それを見かねた母さんが、原因はこの家にあるのではないかと思って引っ越しをしたおかげで、中学時代は殆ど『妖怪』を見ることは無かった。(ちなみに、三年生の頃に母さんと父さんが離婚した。理由は実家が怖いからだそうだ。)
けれど僕が中学三年生の時、僕の祖母である沢村英人が病死し、通夜の為に実家に帰った瞬間にまた見えるようになってしまい、これでは何処に住んでも一緒だなと思った僕は、六年振りに実家に帰って来たという訳だ。
それから三年、高一の時に祖母が亡くなり、この家も広くなってしまったけど、母さん共々元気にやっている。
僕は今、高校を卒業して近くにある条楠大学に通いながら、日々妖怪達を見ながら生活をしているって訳だ。