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S3−13


今日流した汗を綺麗さっぱり洗い流して

食卓に向かうと、色んな料理が皿に盛られて

鮮やかに彩られていた。


主役の唐揚げは勿論、

夏野菜と海藻のサラダ、オニオンスープ、

ブロッコリーとベーコンのポテトグラタン。

そして、艷やかに炊き上がった

もち麦入り白ご飯。



どれもこれも自分の大好きなものばかりで、

どれから手を付けていいのか迷いながら

いただきます、と唱えた。



晩餐は、賑やかに弾むように過ぎていく。



今朝、クラスのみんなと後藤先生が

バースデーソングで

誕生日を祝ってくれたこと。


唱磨くんが教室に現れて、幼なじみたちとの

わだかまりが解消されたこと。


自分の話を、パパとママは

笑顔で頷きながら聞いてくれた。



帰りに唱磨くんと公園に寄ったことは、

何となく内緒がいいかなと思って

話さなかったけど。

真っ直ぐ帰っておいでと言われてたのに、

寄り道しちゃった罪悪感があったから。



先生のノクターン、早く聴きたいけど

心の準備をしてからでも遅くない。


きっと、感動すると思う。

めっちゃ楽しみ。



大翔は、というと。

ブロッコリーとベーコンのポテトグラタンを

口いっぱいに頬張っていた。

時々、自分に目を向けながら。


分かる。分かるよ大翔。

ママが作るグラタン、めっちゃうまだよね。

美味しすぎて、夢中になっちゃうよね。

ホント、ママ天才。



めっちゃがっついた後に、

もう一つのメインディッシュ。


ママ特製の、ティラミス。


もうこれ、世界で一番大好きかも。

作ってほしいと頼んで、

初めて作ってくれたこのケーキ。最高。

料理でお腹いっぱいになってたのに、

無限に入りそうな感覚になって、ちょっと

自分の食欲と胃袋に恐怖を感じた。


でも。美味しいんだもん。止められなかった。


いいよね。今日くらいは。

明日食べる量、減らせば。


言い聞かせながら、おかわりした。




流石にもう、食べ切れない。

お腹いっぱい、胸いっぱい。



夏芽が椅子の背に仰け反りながら

幸せのため息をついていると、沙綾が

後ろに立って覗き込んでくる。



「はい。なっちゃん。プレゼント。」



そう言われて差し出されたのは。

シンプルな、綺麗めの封筒。



「ありがと······

 えっ、何?これ?」


「うふふ。開けてみて〜。」



封が、されていない。

首を傾げながら、すぐに開けて

中身を取り出してみる。



「······えっ?!これって······」


「まだ先なんだけどね。夏芽に是非、

 来てほしいって。」



中に、入っていたのは。


福岡県内にある市民ホールで開催する、

コンサートチケットだった。



演者の名前を見て、目を見張る。



「改装されて新しくオープンした記念として、

 オファーが来たから承諾なされたそうよ。

 あなたに会いたいっていうのも、

 おありじゃないかしらね。ふふっ」




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