S3−8
「メアド交換せん?」
「俺も持っとるけん!するーっ!」
「怜央に教えるのは、ちょっと。」
「はぁっ?!なんで?!」
「だってお前、毎日連絡しそうやん。」
「そうっちゃけど?!よかやん!」
「あははっ」
「ダチやったら、するやろ普通!」
「うーん」
「悩むなっ!」
······
毎日は、やっぱダメなのかな。
でも。えへへ。
自然な形で、メアド交換できちゃった。
夏芽が顔を綻ばせていると、
怜央も笑顔になって声を上げる。
「小野田の誕生日やけん、
お祝いに今からどっか遊びに行こー!」
「えっ」
「小野田、今日誕生日なん?」
「あ、う、うん······」
「的野くんからもお祝いの言葉どーぞ!」
「あー。もしかして朝、
歌が聴こえてきとったのって······」
「クラス全員でバースデーソング歌ったと!
あっ、後藤先生も混ざったんよ?
あははっ!聴こえてたんやね〜!」
「ばり大合唱やったけんなーっ。」
「ははっ。それは、すごかね。おめでと。」
「はっ、あっ、あり、がと······」
サラッと、一言だけど。
ヤバい。めっちゃ嬉しい。
「遊びに行けんやろ。小野田は多分、
家に真っ直ぐ帰りたいやろうけん。
家族で祝いたいんやないと?」
しかも。うわ。何で分かったの??
「夏芽、そうなん?」
「······うん。真っ直ぐ帰りたい、かな。」
「そっか。家族で祝うか。」
「だよねー。うん。じゃあまた今度!」
言ってもらって助かった。
今日の唱磨くん、神対応すぎる。
「ご、ごめんね······
せっかく言ってもらったのに······」
「謝んなって!」
「そーそー!土曜日の時に、祝おう!」
「そうしよー!遊ぼーや!」
「お前は勉強しろ。」
「なんや偉そーに!俺が本気出したら、
軽く唱磨を超えるけんな?」
「へー。じゃあ今度の期末、俺よりも
良い点数取れるったいね?」
「おう!軽くな!」
「了解。忘れんなよ今の言葉。」
「勝負にもならんばい!負けたら、
メシおごるたい!」
「ちょ、前田くん。
そんなこと言っていいと?」
「ぜってー勝つ!」
何か、すごいことになってきた。
面白いけど。
「ははっ。バカタレが。」
「何をーっ?!そんな余裕ぶっこくの
今の内やぞ?!」
「ショッピングモールの、
海の幸天丼やけん。もう言っとく。」
「くっそなめとるこいつっ」
あははっ。
この二人、めっちゃ仲良しじゃん。
「こうしとられん。帰って勉強せんと。」
「そうそう。早く帰れ。間に合わんばい?」
「お前も一緒に帰るったい!
途中まで方向同じやろうもん!」
「ふふっ!みんなで一緒に帰ろ!」
これから、めっちゃ楽しくなりそう。
今年の誕生日、何だかヤバい。




