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sinfonia 3 F-Dur/f-moll

再開します(*^^*)♪

多くの方々に読んでいただいて、

恐縮とともにとても嬉しく思っています。

お目に留めてくださり、

心より深く感謝いたしますm(_ _)m。・゜・゜・。∞


これからもごゆるりと

よろしくお願いします。


陽だまりが、いくつもできてる中で。


ぽつんと大翔が立っていた。


自分から見ると、後ろ姿で。


どんな顔をしているのか分からない。



『大翔』



呼んだけど、振り向かない。



ひとひら、桜の花びらが目に入った。


すると、急に強い風が

大翔のいる方向から吹き荒れた。


それに乗って花びらの嵐が、

自分に向かってきて。


目が開けられないくらいに、貼り付いていく。



ごうっ、と音がした。


やっと目を開けられたと思ったら、

周りは火の海で。

桜の花びらは、燃えて消えてしまっていた。


大翔のサラサラな髪は、

うねるような熱風で乱されていく。



『大翔っ!!

 こっちに来て!危ないよっ!』



足が動かない。


呼んでも、振り向いてくれない。


手を伸ばすけど、届かない。



『大翔っ······!』



お願いっ、こっちに······




踊り狂っていた炎が円を描いて、

太陽に変わった。


目が開けられないほど眩しくて。


強い光が、大翔を包み込む。




······大翔っ!



力いっぱい叫んだ。



······お願いっ!

お日さま、大翔を連れて行かないで!




そのお願いが届いたのか、光が

とても優しくなった。



そして大翔の顔が、ゆっくり

自分の方に向く。



大きな瞳は、自分を映して。


無表情が、明るい笑顔に変わった。



ふわりと開いた口から、

なつかしい音が漏れる。



『なっちゃん』














「······ちゃん、なっちゃんっ」



肩の揺さぶりと呼び掛ける声に

夏芽は瞼を上げて、ゆっくり顔を上げる。



「······ママ······?」


「また音楽聴いたまま、

 寝落ちしてたんでしょう?

 きちんとベッドで寝なさい。」



······夢、だったのか。



付けたイヤホンからは、未だに

ピアノの音色が流れてくる。

特に、ここ最近では

とある曲をリピート再生していた。



そのせいで、

あんな夢見ちゃったのかなぁ······



ちらっと、向日葵形のデジタル時計を見る。

もう日を跨いで、深夜になっていた。


眠たそうに瞼を擦りながら

演奏停止を押して、イヤホンを外す。




ここに引っ越してきてから、

習慣になっている事がある。


勉強机の上に腕を組んで頭を置き、

スマホでピアノ曲を聴くこと。


寝落ちは定番で、それを把握している沙綾は

毎晩部屋へ様子を見に来るのだが······



「······パパ?」


「ただいま、なっちゃん。」



部屋の入り口には、スーツ姿の秀一が

笑顔で立っていた。

夏芽が気づくと同時に、お邪魔します体で

ゆっくり入っていく。



パパが部屋に来ることは、東京にいた時でも

ここでも、ほとんどない。

年頃の自分に気を遣っているのかどうかは、

分からないけど。



しかも最近忙しいらしく

ほぼ残業で夜遅くに帰宅する為、

顔を合わせるのは週末くらいだった。



スーツ姿って事は、今帰ってきたってこと?

今日は大残業だったのかな······



「おかえり···えっ、どうしたの?」


「誕生日おめでとう。」



お祝いの言葉と、後ろに隠し持っていた

大きな紙袋を手渡される。




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