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P−2


軽く掃除を済ませた後、リビングで

みんな顔を揃えて昼食になった。

ダイニングテーブルは備え付けのもので、

4人ゆとりを持って座れる広さである。



博多駅で買った駅弁。明太子大好きだから

それが、どーんと乗ったやつ。

これから、いっぱい食べれるんだよね。

ヤバい。ちょー嬉しい。

それも、楽しみの一つだ。


大翔は卵焼きが大好きだから、

だし巻き卵弁当。

お弁当の半分、黄色で染まっている。

これも、なかなか美味しそう。



「早速、先生の所へ伺おうと思うの。」



ママのは、幕の内弁当。

煮物とかおからとか入った、渋いやつ。

健康志向で、いつも体型を気にしている。

でも時々、我慢できないのか

極甘のスイーツを大量に買い込んで、

それを食べまくって、とろけるくらい

幸せそうにしてるのを見かける。

その後、後悔してまたやり直しの繰り返し。



「明日で、いいんじゃないか?」


「御挨拶は、早い方がいいわ。

 もう連絡してるの。」



パパのは、肉そぼろと高菜が乗ったお弁当。

博多名物というフレーズに流されて

買ったっぽい。でも、美味しそう。

ママに言われて、トマトサラダ付き。

歳を重ねる度に、

お腹がプヨプヨ化してるのは気づいている。



「夏芽。食べたらすぐに出掛けるわよ。」


「えーっ。」


「えーっ、じゃないでしょう?

 あなたの先生なのよ?」


明日でいいじゃん。パパに賛成。


「先生のお家まで、歩いて行ける距離だから。

 近くて助かるわぁ。良かったわねぇ。」


助からない。良くない。

人見知りモード全開なんですけど。


「先生の所にも、あなたと同じ歳の子が

 いるそうよ。仲良くなれるといいわね。」


······それ、聞いてない。


「······女子?」


「男の子よ。」


ダメじゃん。

仲良くなれる自信がない。


「先生の奥様が病気で亡くなられて、

 約一年だそうよ。これからだというのに······

 とても不憫だわ。」


「そうなのか。」


「だから、少しでも力になれたらと思うの。

 なっちゃん。

 話し相手になってあげなさいね。」



······


尚更、気まずいって。

同じ歳だからとか、

何で一括りにしちゃうんだろ。

ママも、ママだ。

お節介焼きにも程がある。



「······はーい。」


とりあえず、返事をした。



女子ならまだ、気を遣わない。

性格合う合わないとかが

あったとしても、まだ話せる。

でも。男子、となると。

何を話したらいいのか分からない。



思春期ど真ん中の夏芽には、異性との交流は

ハードルが高くなっていた。

一緒に遊べていたのは、

小学4年生くらいまでである。


普通に話すのだって、難しくなっていた。

いつから、こんな感じになっていたのか

さっぱり分からなかった。

進んでいる友だちとか、尊敬に値した。

同じ世界に住んでいるとは思えなかった。



悩みの種が、増えた。


親公認お墨付きの、同級男子との交流。


軽く考えられる程、自分は器用じゃない。




 



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