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S4−35


少し、間が空いた。



その、僅かでもあり長く思える時間は、

真剣に考えてくれているからだと

察して、静かに待つ。



「それは······すごいことよ。

 そう思える相手がいるということは、

 幸せなことだわ。」



幸せなこと。


間違って、いないのかな。



「ただ······経験上で話すけれど、

 自分が想う深さと、

 相手が想う深さは、違うわ。

 その食い違いが、破局に導いたり

 離れる原因にもなる。

 自分がこうだから、相手もこうであるべきと

 押し付けないことね。

 ······だから、逆に考えると

 自分の想いは、自分だけが理解できる。

 どんな形になってもいいと思うわ。

 周りがどう見たとしても、

 しっかり見据えていればいい。

 思うままに、従うべきね。」



全部理解するには、難しかった。

でも。先生の言葉は、重みを感じる。


実感として、答えてくれている。



「······はい。聞いてくれて、

 ありがとうございます。」


「本当に、あなたは面白いわ。

 これからが楽しみね。」



面白いのは、先生の方です。


こんなに、思っていることを

素直に話せる人······いません。



「先生と、ゆっくり話せて良かったです。」


「ええ。私も。

 ······あなたも知っての通り、私は

 独り身で子どもはいないわ。

 あなたと唱磨、そして大翔さんは

 娘と息子みたいな存在だと思っているの。

 今回、本当に会えて良かったわ。

 いつでも連絡してちょうだい。

 すぐに飛んでいくから。」



“すぐに飛んでいく”という言葉に、

夏芽は噴き出す。



ホントに、先生なら飛んできてくれそう。



「はい。」


「ふふっ。本当に、良い夜だわ。」


「今度是非、自分の家にも来てくださいね。」


「そのつもりよ。駄目とは言わせないわ。」


「あはっ」



ヤバい。楽しすぎて眠れない。



「眠れそうにないけど、とりあえず

 瞼を閉じましょう。」


「そうですね。」


「······

 やっぱり、眠るのやめようかしら。」


「先生は、少しでも寝た方がいいですよ。」


「眠るの、もったいなくて。」


「ふふっ」


「でも一応、言っておくわね。

 おやすみなさい、夏芽さん。」


「はい。おやすみなさい、先生。」




少し、しんとしてから

再び会話が生まれる。


しばらく、そんなやり取りが続いて

次第に、間が空いていった。





この、非日常で貴重な時間は。


夏芽の心に、深く刻まれる。




ピアノに対する姿勢も。


この時、完全に正された。



演者の仲間として。


もう一人の母親のような存在として。


かけがえのない恩師として。



改めて、彼女を認識した瞬間である。











sinfonia4終わりです。

ここまで読んてくださり

本当に∞ありがとうございますm(_ _)m。・゜・゜・。∞

マイペースになりますが

これからもお時間の許す限り

よろしくお願いします。


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