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S4−25


福岡に来てから、即席ラーメンを食べることは

かなり減った。ママが家にいて、

ご飯を作るようになったからだ。


特別に食べたいと思うほど、即席ラーメンが

好きというわけではなかった。だから、

それは別に良かったんだけど。


ただ。レッスン後に、的野家で

夕食をいただく事があって。

その時に作ってもらった

ご当地の即席ラーメンが、かなりヤバかった。

トッピングで、炒めたもやしとキャベツが

乗ってた。それがまた、さらに美味しくて。

これ、即席ラーメンだよね?と思うほど。

めっちゃ感動した。


それまでは、とんこつスープのイメージが

あまり良くなかった。

自分は、あっさりしたしょうゆが好きで。

こってり、ギトギトだろうなと勝手に思って

遠ざけていた気がする。



だから、即席ラーメン以外で、

とんこつラーメンを食べるのは、

これが初めてだった。



橋本先生が行きつけだというお店は、

入り組んだ路地にあって小さかった。


通り過ぎてしまいそうなくらい、

全然目立たなくて。

駐車場のスペースも、4台くらい。


空いている場所は、ちょうど1台分だった。


パパは、何回も切り返して

やっと停車させた。



みんな、それぞれ降りていく。



「ここ、予約じゃないと入れんっちゃんね。

 ばりっばり美味いけん。」



唱磨くんは、かなり嬉しそうだった。


そんなに美味しいの?

めっちゃ期待しちゃうけど。



「予約が取れて、運が良かったわ。

 前よりもさらに有名になっていてね。

 一ヶ月前の予約でも、

 厳しくなっているのよ。」


「わぁっ、そんなにですか?!

 連れてきてくださって、本当に

 ありがとうございます!

 とても楽しみです!」


「美味しいラーメン、食べたかったんですけど

 なかなか行く機会も店も知らなくて

 ······」


「ふふっ。それは良かったです。

 きっと、ご満足いただけますわ。」




大分落ち着いたのか、沙綾と秀一は

彼女と楽しそうに話している。


大翔は、夏芽と手を繋いで

寄り添うように歩いていた。


その後ろに、唱磨と恭佑が付いていく。



砂利を踏み締める音が、次々に連なった。



途切れなく降っていた雨は上がり、

厚い雲の間から夜空が窺える。





「いらっしゃいませ!」



威勢のいい声が、皆を出迎えた。



本場とんこつスープは臭いという、

イメージがあったけど。

全然、気にならない。


逆に、とても温かくて、いい匂いがする。



「奥の席へどうぞ!」



カウンターには、二人の男性がいる。

どちらも、頭にタオルを巻いていた。


これは夏芽のイメージ通りだったが、

店内は想像よりもシンプルで

オシャレな内装だった。


6人くらい座れるカウンター席は

既に埋まっていて、テーブル席も

促された席以外は、

家族連れとサラリーマンたちが

どんぶりと向き合っている。



メニュー表らしき物は、ない。


唯一、壁に貼られた紙には

こう書かれていた。



“当店はラーメンのみです

替え玉はありません(大盛り可)

動画・撮影は禁止です

ご了承ください”





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