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プロローグ これが異世界転生ってヤツですの!?

…………。

な…な……


「なんじゃこりゃあああああぁぁぁ!!!!」


とても可憐で、可愛らしい女の子の悲鳴が屋敷内をこだました。

とても女の子とは思えない…口調で…。




嘘…だろ…!?

なん…で…。

俺は昨日まで…あの伝説の…

"長身イケメン"冒険者だったのに!!!

いや、昨日までっていうか、昨日だけか…。


これは、彼の中での時間軸でいう、一昨日まで遡る…。

彼は細町悠馬(ほそまちゆうま)、28歳男性。

年齢=童貞年数だった彼は、親戚の集まりも兼ねて近くの川でバーベキューをしていたところだった。

彼の他に、彼の両親、姉、姉の旦那、姉の子供が居た。

しかし、彼らが野菜や肉類を焼いていた時、姉の子供が川で溺れ、流されてしまう。

そこで細町悠馬は、中高時代水泳部だった経験から、自らいの一番に助けに向かったのだ。


「姉貴!待ってろ!!俺が助けてくる!!」

「で…でも流れが…!!」


そう、明らかに速い。

まともに流されれば命も危ういほどに。


「俺が元水泳部だったの忘れたのか?すぐ戻る!!」


彼はそう言って、川へ飛び込み、姉の子供が流された方向へ泳いでいく。

彼自身が下流へ進んでいるのもあって、子供にはすぐに追いついて捕まえる事は出来た。

だがしかし…


うぉお…思ったより流れがヤベェ…!!

しかも水泳部だって見栄張って…本気で泳ぐのなんか10年振りだから筋肉が…!?

しかも葵ちゃんを捕まえながらじゃ…!

おおお!?いいところに石壁が…!!


彼は右斜め前方に斜めになった石壁を見つける。

片手でも捕まれば、少なくとも子供は助ける事が出来るだろうと思った。


「うおりゃ!!!」


よし…!!

うまく凹凸部分に左手をかけれた…!

ここなら…


「葵ちゃん!すぐ上に登ってくれるか!?」

「う…うん…」


俺は葵ちゃんが上に登れるように、右手一本で力を振り絞り葵ちゃんを持ち上げる。

葵ちゃんはもうほぼ体力が無くなっているのか、弱弱しく返事し、少しずつ少しずつ石壁の上へ登る。

溺れかけた後だ、早く登れとはとてもいえなかった…。


「のぼったよ…!おにいちゃん!」


ああ、そうか…。

俺は安堵したせいか、それとも俺の運が尽きたのか、川の流れが急に速くなるのを感じた。


「うぉぉ……」


俺自身も葵ちゃんを持ち上げた事、左手一本で壁につかまっていた事…。

とても上へ登る力が残っていない事を悟った。

悟ってしまった…。


「悪い…俺すぐ戻るからさ…姉ちゃん達に伝えてくれるか…」


葵ちゃんも小さい子供だが何かを察してしまったのか…泣き出してしまう…。

悪いな…小さな君に…こんなトラウマ植え付ける事になるとは…。


「姉ちゃん達は悪くねえってな…」


そう言って、俺は左手を離してしまった…。

足も急に体を動かしたからか思うように動かねえ…。

もう限界か…。

薄っすらと、視界には滝が見えた。

ああよかった…。

葵ちゃんがここまで来なくてよかった…。

親父もお袋も…もちろん姉ちゃんも…気にすんなよ…。

ああせめて…"童貞"は卒業しときたかったなぁ…。

身体が一瞬宙に浮き、そして落ち、水面に思いっきりぶつかった痛みとともに、俺の視界は暗転した。




急に目が覚めた。

なんだろう、起こされたって感じじゃない。

まるで起きなければならなかったような感じだった。

この空間は何だ?

白い、マジで白い。

割と精神がイカレてしまいそうなくらいの白さ。

現世とあの世の境目ってこんな感じなの?

ちょっと予想と違うな…。


〈あなたは、とても幸運な人間です〉


突如として、どこから聞こえたかもわからない女性の声がした。


「誰だ!?」


その声に呼応した時、急に目の前にすぅーっと白い服に身を包んだ女性が現れた。


〈私はあなたが住んでいた世界とは違う世界線の神です〉


「神…?神様って事か?」


〈はい。あなたはとても幸運な人間です。なので、あなたには私が管理する世界で復活する権利を差し上げましょう〉


幸運?

今までの俺の行いを見て幸運と呼べる事があるのだろうか。

小学時代はやってもないイタズラで先生に10回職員室に呼ばれる。

中学時代は水泳大会目前で学校の階段から落ちて骨折して出場棄権。

高校時代は中二病だった事が好きな子と仲良かった奴にバレて白い目で見られる。

大学時代はガチで友達も誰も居ないボッチ生活を4年間送る。

そして年齢=童貞で女運無し、小中学の同学年の奴らには色々先を越される俺のどこか…幸運な奴なんだ??

なんか馬鹿にされてる気がしてきた…。

一つ…聞いておくか。


「なあ、俺の死因って溺死か?」


こんな所でも運悪かったらやだな…。


〈いいえ、頭部挫傷です〉


……????

え?どういう事…。


〈あなたは滝の上から落ち、丁度水の下にあった岩に頭部を思いっきりぶつけた事が原因で死にました〉


「…ちなみにぶつけなかったら?」


〈九死に一生を得ていました〉


やっぱり運ねーじゃねーか!!!

やっぱ俺馬鹿にされてるだろ!!


……。


でも復活できるらしいしな…。


「…復活って事は異世界転生って事か?」


そんな怒りを抑えて気になる事は聞いてみる。

神だしなんでも答えてくれるだろ。


〈はい、その通りです。そしてあなたは運がいいので、容姿と職業を自由に決める事ができ、

 スキルの一部を自由に獲得、ステータスに大幅なポイントを与えます〉


容姿を自由に決めていいだと…!?

もしかしてここまで運が無かったのはここに来る、そしてこの権利を貰う為に運を貯めまくっていたって事なのか!?


しばらく悩んだが、やはり異世界転生する身だ。

自由な異世界ライフを送りたい。


「容姿なんだが、"高身長イケメン"で」


これで童貞卒業じゃああああ!!!!


〈了解しました〉


一瞬視界が光ったと思ったら自分の視点が高くなった気がした。

もしかしてもう変わったのか!?


察してくれた神様が何やら呪文を唱え鏡を出してくれた。

うん、俺の求めていたイケメン顔だ。


〈では、職業を決めていただきます。心の中で、『ステータス・オン』と言っていただけますか?〉


心の中で…?

じゃあ…『ステータス・オン』!!

ピロリンッ!という音と共に謎のパネルのようなものが目の前に現れる。


〈こちらがあなたのステータスを確認できるものでございます。こちらの職業の中からお選びください〉


神様が操作して職業一覧のページを出してくれた。

うーん、やっぱ異世界だしなー。

無難に行くか。


「じゃあ、冒険者で」


〈了解しました。使用武器は何になさいますか?〉


「うーん、冒険者…剣かな?」


〈了解しました。職業は冒険者、剣士となります〉


なんかゲームみたいで面白いな。

本気で世界に入り込んでるゲームみたいな。

まあ異世界転生がそういうもんなのかもな。


〈そういえば、名前はどうなさいますか?〉


名前か、正直何も考えてなかったし何も思い浮かばない。


「俺の前の世界の名前って使えるのか?」


〈可能です。そちらになさいますか?〉


「ああ、そうしてくれ」


〈了解しました。私の管理する世界では漢字は使用されていません。自動的にカタカナ表記となります〉


という説明の後ステータスを見ると、ホソマチ・ユウマとなっていた。

まあ自分の名前は気に入ってるし、あんな死に方した後じゃ捨てるのもな…。


〈次にステータスの設定です。あ…そのまえに年齢はどうなさいますか?」


「俺が死んだ年齢で頼むよ」


まだ若いし、ナンパするにはちょうどいい年齢だろう…知らんけど。


〈了解しました。では、20代中盤と20代後半の平均ステータスを表示いたします〉


ステータス

筋力 20

防御 16

回復 14

知識 18

礼儀 25

器用 20

素早さ 15

MP 20

+20


ホヮァン…と、この画面が表示された。

なるほどこれが平均値なのか…高いのか低いのかわからんな…。


〈一番下に+20と書いてあります。この20ポイントを使ってここから好きにポイントを振り分けてください〉


え!?

どんな振り分け方をしてもいいの!!?

なら"高身長イケメン"みたくしてみるか…。


そして出来上がったのが…


ステータス

筋力 30 +10

防御 20 +04

回復 14 ±00

知識 20 +02

礼儀 25 ±00

器用 24 +04

素早さ 15 +00

MP 20 +00


やっぱり冒険者だし筋力は上げとかなきゃだろうし、防御も多少振ってある。

そして器用な奴はモテると聞いた事がある。

なら振らないわけにはいかないだろう。


〈次に、スキルを1つだけ自由に設定してください〉


「何でもいいって事?」


〈一覧を出しますので、そちらから選んでください〉


また神様が操作をし、一覧を出してくれた。

うわ!?めっちゃ多いじゃん!!

属性って名前じゃなくて効果って名前で…炎とか水とか、マジでいっぱいあるな。

だけど、炎効果…炎の守り、炎の手助け…名前は単純でスキルの効果自体もそんなに強いものじゃない。


〈あなたのスキルスロットは6つとなっています。残り5つは世界内で取得をお願いします〉


自由に取得してくれって事か。

残り5つだったら何かしら特殊なスキルでも問題ないな…。


それで、あれから一通り確認したがどうもスキルの全部がそんなに強いものじゃない事が分かった。


「これって強いスキルとか無いのか?」


〈上位スキルの事ですね。上位スキルはキャラのレベルアップ、強ダンジョン等、特殊条件で取得可能です。初期キャラ設定の時には選択できない仕様となっています〉


へぇ~、割としっかりゲーム性あるんだな…。

不平不満出ない最高のやつじゃん。


「んん?特効果…対人好感…?」


どういう事?好感度が上がるのか?


スキル効果

:このスキルを身につけている者は何らかの行動をすると、相手の好感度が少し上昇する。


・・・・・・。


よし、これにしよう!!

やっぱり女性から好感度が高い方がモテるだろうしな!!

うん、不純な気持ちはないぞ?

それにさっき聞いた通りあと5つ取れるんだ、補助系スキルでも問題ないだろう。


「じゃあこの対人好感ってやつで」


〈了解しました。設定は以上となります。その他の『固有スキル』と『生い立ち』はランダムで、成長曲線は『普通』で固定となります。準備はよろしいですか?〉


「ああ、これで頼む!!」


〈それでは、良い異世界ライフを〉


設定が完了した俺は、また視界が暗転した。


実は仕事中に思い付いたというのは秘密

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