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白き戦神の冒険譚 ~改訂版を新しく書いているのでそちらを是非!  作者: ルキノア
ランドレウスでの学園代表戦編
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ランドレウスvsフレスガドル

ロイの拳を受け止めたアルノアは、互いの視線を交わしたまま動きを止めた。


「……久しぶりだな、ロイ。」


静かに発せられた言葉に、ロイは微かに目を細める。


「まさか、決勝でこうして拳を交えることになるとはな。」


ロイの口元には、どこか懐かしさと嬉しさを含んだ笑みが浮かんでいた。


アルノアもまた、わずかに口角を上げる。


「俺にとって、ランドレウスでお前たちと過ごした時間は大切なものだったよ。」


「……だった?」


ロイが問い返すと、アルノアは小さく首を振る。


「いや、今も変わらないさ。でも……今の俺はフレスガドルの一員なんだ。」


その言葉に、ロイはゆっくりと拳を引いた。


「……そっか。」


ロイの背後で、サーシャとエマもまた静かにその光景を見つめていた。


サーシャは、複雑な思いを胸に抱えながらも、アルノアの成長を間近で感じ、僅かに微笑む。


「本当に、強くなったのね。」


エマもまた、小さく息を吐く。


「まったく……こんな再会、ちょっとずるいよね!」


サーシャもエマも、アルノアとの再会がこんな形で訪れるとは思っていなかった。


厳しい戦いの中にありながら、どこか誇らしく、そして嬉しくもある。


アルノアは静かに構え直し、ロイをまっすぐに見据えた。


「ロイ、全力で来いよ。俺も……今の俺を、お前に見せてやる。」


ロイもまた、炎を纏いながら拳を握る。


「当たり前だ。……手加減なんて、するわけねぇだろ?」


かつての親友であり、憧れであり、今は対等なライバルとして。


アルノアとロイの本気の戦いが、ついに幕を開ける……


「遅いのよ!」


突然のアリシアの声に、アルノアとロイの間に流れていた熱いムードが一瞬で砕かれた。


「あなたの方も強敵を相手にしてたんだろうけど! 私の方の相手、多すぎて大変だったのよ!」


そう言いながらアリシアは腕を組み、わざとらしく大げさに息を吐く。


「みんなで私を狙ってきてさ! こっちは防戦一方! こっちだってもっとガンガン攻めたかったのに!」


普段は冷静でどこかクールなアリシアが、珍しく感情をむき出しにして文句を言う。


それを聞いたアルノアは、申し訳なさそうに肩をすくめながらも、思わず笑みをこぼした。


「結構頑張って駆けつけたつもりなんだけどな……。まあ、それだけ耐えてくれたおかげで、俺も余裕を持って来れたよ。」


「余裕があったなら、もう少し早く来なさいよ!」


アリシアはじとっとアルノアを睨むが、その表情にはどこか安心感が混じっていた。


ロイとサーシャ、エマもそのやり取りを見て、少し肩の力を抜いたように微笑む。


「……相変わらず、良いコンビだな。」


ロイが呟くと、サーシャも微笑みながら頷いた。


「本当ね。でも……ここでのんびりお喋りするつもり?」


その言葉に、場の空気が再び戦いのものへと戻る。


アルノアとアリシアは互いに頷き合い、再び構えを取った。


「じゃあ、改めて行くぞ、ロイ!」


「こっちも全力で迎え撃つ!」


再会の余韻を振り切るように、最後の戦いが始まる。


 実況:「さあ、ついに最終ラウンドの幕開けみたいです!」


観客席のボルテージは最高潮に達している。会場全体がこの戦いの行方を見守り、誰もが息を呑んでいた。


実況:「ここまでの激戦を経て、アルノアとアリシアはほぼ魔力を使い切っている状態! それでもまだ戦う意思を見せています!」


魔力をほぼ使い果たしたとはいえ、二人の闘志は衰えていない。アルノアは大鎌を構え、アリシアも岩の剣を握りしめる。


実況:「一方、対するランドレウスのロイ、サーシャ、エマの三名! 序盤は様子見をしていたため、疲労はあるものの、まだまだ戦える余裕がありそうです!」


ランドレウスのメンバーは、アルノアたちとは対照的に、ある程度魔力を温存できている。ロイの拳には炎が宿り、エマは風を操りながらサポートの準備を整えていた。サーシャも水の魔力をまとい、冷静に戦況を見極めている。


実況:「この試合、まだどちらが勝つか分かりません! ここからの戦いが、まさに勝負の決め手となるでしょう!」


観客が熱狂する中、両陣営が最後の力を振り絞る。


実況:「アルノアとアリシア vs ロイ、サーシャ、エマ! 最後の激闘が、今始まる!!」


 アルノアは深く息を吸い込み、残されたわずかな魔力を大鎌に込めた。白銀の雷が刃を包み、かすかに冷気が帯びる。


「アリシア、行くぞ!」


アリシアも応えるように、手にした剣を握りしめた。大地の加護を最大限に活かし、剣の硬度を極限まで高める。光を反射し、まるで宝石のように輝く刃。その一振りは、鋼すら砕く威力を秘めていた。


アルノアとアリシア、それぞれが単体でも強力な戦士だが、彼らはただの個々の強さだけで戦っているわけではない。フレスガドルでの厳しい訓練の中、幾度となく互いの動きを合わせ、連携を磨き続けてきた。


ロイは拳を握り、炎を纏いながら前に出る。


「アルノア、お前と戦うのは久しぶりだな!」


サーシャとエマも準備を整え、完全に戦闘態勢に入る。


アルノアは微笑みながら、大鎌を肩にかけた。


「ああ、でも昔の俺とは違うぞ!」


アリシアも剣を構え、冗談混じりに言う。


「それにロイ、あなたも私の相手をするなら覚悟しなさいよ!」


緊迫した空気の中、アルノアとアリシアは一瞬だけ目を合わせた。


「……行くぞ!」


次の瞬間、二人は完璧に息を合わせて動き出した。アルノアの大鎌が前方に振るわれ、白銀の雷が一閃する。アリシアも重なるように剣を振るう。


エマが風の魔法で即座に軌道を変え、サーシャが水の盾で防ぐが、その一瞬の隙をアルノアが見逃さない。


「――アリシア!」


合図とともに、アリシアが地面を蹴り上げ、岩の破片を飛ばす。アルノアはその破片を踏み台にして高速で跳躍し、ロイへと襲いかかった。


ロイも拳を燃え上がらせて迎え撃つ――!


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