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白き戦神の冒険譚 ~改訂版を新しく書いているのでそちらを是非!  作者: ルキノア
ランドレウスでの学園代表戦編
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終盤戦


決勝戦も佳境を迎え、アルノアは新たな戦いへと身を投じていた。


目の前に立ちはだかるのは、ボルタジアの4人――ヴァイス、イグナス、ガルツ、セラフィナ。いずれもアリシアとの戦いで魔力解放を果たしており、依然として戦闘力は健在。一方のアルノアは、カイゼル、ゼイン、カインとの激戦を終え、すでに相当な魔力を消費していた。


「さすがに消耗してるか?」


ヴァイスが重力を操りながら不敵に笑う。その足元の魔力陣が輝き、アルノアの身体に再び圧がかかる。


「グラビティ・フィールド」


周囲の空間が歪み、アルノアの動きが鈍る。だが、そんな彼を狙い澄ましたかのように、セラフィナの光の矢が降り注ぐ。


「光神の雨 (ルクス・アロウ)!」


黄金の閃光が空間を埋め尽くし、アルノアの逃げ場をなくしていく。


さらに、イグナスが魔力を溜めながら口元を歪ませた。


「燃え尽きろ、ヘルインフェルノ!」


紅蓮の炎が巨大な柱となり、アルノアを包み込もうとする。


最後に、ガルツが拳を握りしめ、強化された鋼の腕で殴りかかる。


「アイアン・インパクト!」


四方向からの同時攻撃。まるで、アルノアをここで完全に仕留めるつもりのようだった。


――だが、その瞬間。


「……少しは手加減してくれないか?」


白銀の魔力が爆発的に膨れ上がった。


アルノアの大鎌が旋回し、落ちてくる光の矢をなぎ払いながら、足元の重力を魔力の衝撃波でかき消す。そして、彼はそのまま炎の柱を飛び越え、ガルツの拳を大鎌の柄で受け止めた。


「まだ……戦える!」


アルノアの魔力が限界に近い中、それでも彼は気迫を保ち、ボルタジアの4人に向かい合った。


「面白ぇ……消耗してるくせに、まだそんなに動けるのか!」イグナスが笑う。


「ならば……ここからが本番だ!」


ボルタジアの4人は、アルノアを討ち取るため、さらなる猛攻を開始する――。


戦場は、ボルタジアの4人による猛攻で支配されつつあった。


ヴァイスが空間を支配するように両手を広げると、今までの戦いで散らばった瓦礫が反重力魔法によって宙に浮かび始める。


「グラビトン・ブレイカー!」


次の瞬間、それらは無数の弾丸のように高速でアルノアへと放たれた。縦横無尽に飛び交う岩弾が、逃げ場を削っていく。


さらに、その隙を狙うようにセラフィナが静かに弓を引いた。


「光神の追撃 (ルクス・シーカー)」


彼女が放った光の矢は、まるで意志を持つかのようにアルノアを正確に追尾し、回避を許さない。


――そこへ、ガルツが突撃する。


通常の肉体強化ではない。鋼鉄の身体に炎の魔力を纏わせたことで、彼の拳は高熱を帯びていた。


「バーニング・メタルブロー!」


拳を振るうたびに火花が散り、爆発的な勢いでアルノアに迫る。ガルツの攻撃は単なる物理的な一撃ではない。拳が爆ぜるたびに、爆風がアルノアの動きを阻害していた。


――そして、イグナスの炎が戦場全体を包み込んだ。


「ヘル・ドミネーション!」


超高温の炎がアルノアの周囲を囲むように展開され、まるで戦場ごと封じ込めるような形を作る。逃げ道はない。どこへ動いても、その先には炎が待ち構えている。


「さあ、どうする?」


ヴァイスが笑う。セラフィナは次の矢を構え、ガルツは拳を鳴らし、イグナスの炎がさらに熱を帯びていく。


四方からの圧倒的な連携攻撃――アルノアは完全に追い詰められたかに見えた。


だが、アルノアは静かに息を整えた。


「……なら、“その先” を見せるしかないな」


白銀の魔力が再び膨れ上がる。


アルノアの目が鋭く光り、彼は全てを断ち切るように、大鎌を構えた。


 アルノアは一瞬だけ目を閉じ、心の中でエーミラティスと対話する。


(今、お前を顕現させたらどうなる?)


エーミラティスの声が、穏やかに、しかし確かな重みを持って返ってくる。


(うむ……この戦いでたくさんの経験値を得ているが、魔力は既に枯渇しかけているな。儂をお主の身体に顕現させるとなると、魔力のほぼ全てを使い切るじゃろう)


アルノアは静かに息を整えながら、エーミラティスの言葉を噛み締める。


(それでも、また気絶するってことは……)


(前みたいに気絶することはないと思うぞ。それくらい、お主自身が強くなったということじゃ)


エーミラティスの声には誇りが混じっていた。アルノアが成長したことを、心から感じているのだろう。


アルノアはちらりと戦場の端に目を向ける。ロイとアリシアの戦いはまだ続いていた。


(……ロイのことが気になるか?)


エーミラティスはすべて見透かしているようだった。


(……まぁな。でも、アリシアならどうにかなるか)


(ふん、あの娘なら問題ないじゃろう。それよりも、お主が今どう動くかが重要じゃぞ?)


アルノアは深く頷いた。そして、改めて戦場を見渡す。


ボルタジアの4人が包囲を完成させ、今まさに止めを刺そうとしている。


だが――アルノアの白銀の魔力が、静かに、しかし確実に膨れ上がり始めた。


彼の決断は、すでに固まっていた。


「これからまだまだ成長するんだ。今、出し惜しみをする意味もない。」


アルノアは静かに息を吸い、そして目を開いた。その瞳が、白銀の輝きを帯びる。


「――顕現せよ、エーミラティス。」


瞬間、アルノアの周囲の空気が揺らいだ。まるで空間そのものが震えているかのような感覚。彼の体を中心に、白銀の魔力が爆発的に放たれ、光の柱が戦場を貫いた。


「……っ、なに!?」


ヴァイスが思わず後ずさる。イグナスの超高温の炎が、アルノアの白銀の魔力に侵食されるように消えていった。


「――行くぞ。」


アルノアの声は低く、静かだが、圧倒的な存在感を持っていた。


その背後――白銀の光の中から、一体の幻影が現れる。


巨大な鎌を携えた――エーミラティスの顕現体。


「ほう……この状態でどこまで戦えるか、試してみるかの。」


アルノアとエーミラティスの幻影が完全に一体化し、彼の体から放たれる魔力は圧倒的な密度を持っていた。


ボルタジアの4人はそれぞれに構えを取り直す。


「面白ぇじゃねぇか……!」

ガルツが拳を鳴らし、炎をさらに高める。

セラフィナの光の矢が、より鋭い輝きを放ち、ヴァイスは重力を操る魔力を極限まで高める。

イグナスの炎がさらに熱を増し、再びアルノアを包囲しようと燃え上がる。


だが――


「遅い。」


アルノアの白銀の魔力が炸裂し、一瞬で戦況を変えた。

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