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白き戦神の冒険譚 ~改訂版を新しく書いているのでそちらを是非!  作者: ルキノア
ランドレウスでの学園代表戦編
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ゼインの努力と決勝チーム確定

ゼインはランドレウス学園の中でも、それなりに優秀な魔法使いだった。

炎と雷という攻撃に優れた二つの属性を操り、攻撃魔法の威力も決して低くはない。

それでも彼は1番」になれなかった。


――炎ならロイが圧倒的。

――雷ならカインが圧倒的。


どれほど努力しても、どちらの分野でも彼らに追いつけない。


「お前の魔法は確かに強い。でも、ロイやカインの領域には届かないな」


教師の何気ない評価が、ゼインの心に深く刺さる。

実際、学園内での実技試験でも、ロイとカインが常にトップに君臨していた。

ゼインは2位や3位を取ることはあっても、決して1位にはなれなかった。


そんな中で、もう一人の「目障りな存在」がいた。


アルノア・グレイ。


全属性を使えるが、どれも突出した力はない。

戦況に応じた適応能力はあるが、魔法の威力も、武器のキレも、いまいち中途半端。

なのに、ロイとカインはそんなアルノアを高く評価していた。


「アルノアがいたからこそ、俺たちは勝てたんだ」


ロイのその言葉が、ゼインの中で煮えたぎる劣等感を燃え上がらせる。


(冗談じゃない……! あんな半端な奴が、なんで俺より評価されるんだ!?)


ロイとカインは確かに自分より強い。

だが、アルノアは違う。


「アイツさえいなければ……俺がこのチームに入れたのに……!」


次第にゼインは、アルノアに対する苛立ちを隠さなくなった。

それでもアルノアは特に気にした様子もなく、チームとして行動していた。


そんなある日、アルノアが“事故”で転移してしまった。


「……チャンスだ」


アルノアがいなくなり、ゼインはすぐにロイのチームに加わった。

今度こそ、自分がアルノアの代わりに「認められる」と確信していた。


だが――


「ゼイン、悪いが……お前はアルノアの代わりにはなれない」


ロイのその一言が、ゼインの自尊心を打ち砕いた。


カインも、サーシャも、そしてエマも、アルノアがいなくなったことを惜しんでいた。

それどころか、戦術の柔軟性が落ち、これまで通りの戦いができないことに不安を抱いていた。


「なんでだよ……! アイツは、いなくなったんだぞ!?」


ゼインは心の中で叫ぶ。

だが、どれだけ努力しても、どれだけ魔法の威力を上げても、チームの“穴”は埋まらなかった。


「ゼイン、お前の魔法は確かに強い。でも……」


ロイが慎重に言葉を選びながら続ける。


「俺と役割が被りすぎてる」


カインも頷く。


「正直、お前の炎と雷は俺たちの強化版ってわけじゃない。ロイの炎、俺の雷……それぞれの強みがある以上、お前の攻撃は二番煎じになりやすい」


ゼインの心が冷える。


(じゃあ、俺は何をすればいい?)


炎の魔法はロイが使う。雷の魔法はカインが使う。

もし自分がただ火力を上げても、それは彼らの下位互換にしかならない。


(だったら……俺にできることは――)


“支える”という選択


ゼインは考えた。

もし自分がロイやカインと同じ火力勝負をしても、彼らを超えることは難しい。

ならば、戦いの中で違う役割を果たすことで、チームに貢献できるのではないか?


そこで彼は「場の制圧と戦術支援」に目を向けた。


攻撃魔法の精度を高めるのではなく、

味方の動きを最適化し、相手の行動を制限する立ち回り。

攻撃手ではなく、戦場を“制御”する役割。


「ゼイン、変わったな」


戦いの中で、ロイがそう言った。

ゼインは無言のまま、それでも僅かに口角を上げた。


(俺は俺の戦い方を見つけたんだ――)


そして今、彼はアルノアの戦いを目の当たりにしていた。


圧倒的な氷と雷の力を展開するアルノア。

あの頃より遥かに強くなり、戦術の幅も広がっている。


(アイツも、変わったんだな……)


焦りとともに、わずかな悔しさが胸を締め付ける。


(でも――今度は俺も、昔の俺じゃない)


ゼインは自分の拳を握りしめ、戦いを見つめ続けた。



 実況アナウンス:決勝進出チーム決定!


「――試合終了!! ついに決勝進出チームが決まりました!!」


「勝ち上がったのは、ボルタジア代表 カイゼル率いる超攻撃型チーム! 彼らは初戦でフレスガドルの最強候補と目されていた ユリウス率いるチームを破り、準決勝では圧倒的な火力でランドレウスの精鋭チームを撃破!!」


「その戦闘スタイルはまさに “圧倒的” の一言! 近接戦も遠距離戦もこなせるオールラウンダー揃いながら、その攻撃力はどのチームをも凌駕する驚異のチームです!!」


「リーダーは 黒雷の覇者・カイゼル・ヴァルト! 雷の派生・黒雷を操り、剣術と魔法を自在に駆使する実力者! まさにこのチームの先陣を切る最強の剣士!!」


「そして、爆炎の槍士 イグナス・フェルド! 炎を纏う槍術で、中・遠距離戦もカバーする猛攻撃の使い手!」


「重力剣士 ヴァイス・グランツ! 圧倒的な質量の大剣を振るい、戦場全体を支配するパワーファイター!」


「光速の射手 セラフィナ・ルース! 光の矢を自在に操り、遠距離戦を完全掌握する超高速の狙撃手!」


「そして最後は、鉄壁の剛拳士 ガルツ・ドレイク! 土と鉄を操る重装の武闘家! 防御と攻撃を兼ね備えた不動の壁!!」


「この5人が、決勝でフレスガドル代表 アルノア&アリシア のペアそして、ランドレウス代表との戦いに挑みます!」


「今年の選手たちは黄金世代!これは間違いなく 大会史上最高の決勝戦 となるでしょう!!」


「決勝戦は明日―― ランドレウスvsフレスガドル vs ボルタジア!」


「皆さん、この歴史的な一戦を見逃すな!!!」

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