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シエラの力

あけましておめでとうございます!!

11月から書き始めて約2ヶ月ですが、今後も書き進めてまいりますのでよろしくお願いします!!

アルノアとアリシアがヴィクトールを打ち破り、ユリウスたちが連携を強化する中、シエラの魔力が異様な変化を見せ始める。


ユリウスが異変に気づき、シエラに声をかける。

「シエラ、魔力が安定していないぞ!大丈夫か?」


しかし、シエラは額に手を当てながら震えた声で答える。

「わからない……精霊たちが騒いでいる。何か、何か得体の知れないものが近くにいると……」


アリシアもそれに気づき、アルノアに耳打ちする。

「おそらくアルノアの白い魔力が原因ね。彼女の契約している精霊が察知したのよ。」


アルノアは険しい表情で黒穿を握りしめる。

「つまり、俺たちのせいってことか……?」


 突然、シエラの周囲に濃厚な魔力の渦が生まれ、彼女の体が光り始める。彼女の声が二重に響き、苦しそうに叫ぶ。

「いやだ……やめて……!私の身体を奪わないで!」


精霊の声がシエラの口から漏れ出す。

「この気配……戦神の魂……!ここにいるのか!もっと近くで、その力を感じさせろ!」


シエラは地面に膝をつき、全身から暴風が吹き荒れる。契約した精霊の力が制御を失い、彼女の身体を完全に乗っ取ろうとしていた。


 シエラの瞳が輝き、声が完全に別人のものになる。精霊が完全に表に出たのだ。

「この小さな器では満足できないが、戦神の魂か確認するためにはこれで十分だろう。」


暴走した精霊はシエラの身体を媒介にし、強大な風の刃を放ち始める。戦場全体が荒れ狂い、視界が遮られるほどの暴風が巻き起こる。


ユリウスが驚愕しながら叫ぶ。

「シエラ!お前、何をしているんだ!」


精霊は冷笑しながら応じる。

「私はシエラでは無い。この身体は私が使わせてもらう。」


 アリシアが地面を操作して暴風を抑えようと試みるが、精霊の力は圧倒的だった。

「アルノア、このままでは彼女が完全に精霊に乗っ取られるわ!」


アルノアは苦々しい表情で黒穿を構える。

「でも、彼女を傷つけずに精霊を引き剥がす方法なんて……」


エーミラティスの声がアルノアの意識に響く。

「その精霊は儂を感じ取って力を解放している。私があやつの力を抑えることは可能だが、お前が覚悟を決める必要がある。」

「先程の剣士との戦いで儂はお主の身体を完全に借りて動いた。短期間でもう一度すればお主に後でどんなことが起こるか。」


アルノアは小さく息を吐き、決意を固める。

「シエラは学園の仲間だ。やるしかない。エーミラティス、力を貸してくれ。」


 精霊はアルノアに向かって挑発するように言う。

「さあ、本当に戦神であれば。お前の力を見せてみろ!」


アルノアはエーミラティスの力を解放し、冷気を纏った鎌で精霊の攻撃を受け流しつつ、シエラを救う隙を探る。一方でアリシアは地属性魔法で精霊の動きを封じようとする。


 エーミラティスがアルノアの身体を支配し始める。冷気とともに圧倒的な魔力が周囲を包み込む。しかし、その瞬間、エーミラティスが驚愕した声を上げる。

「なに……?この負担の軽さは……以前とはまるで違う……!」


アルノアもすぐに異変に気づく。以前はエーミラティスの力を借りるたびに激痛が走り、身体が崩壊するような感覚に襲われていた。しかし、今回はほとんど負担を感じない。

「これは……俺の適応力が進化しているってことなのか……?」


エーミラティスは感心したように呟く。

「なるほど……お前の“個性適応”は、私のような存在の魔力や経験にも適応するというのか。まさかここまでの効力を発揮するとは……」


アルノアは微かに笑みを浮かべた。

「これなら、俺は精霊と戦うお前を信じて、別のことに集中できる。」


 エーミラティスが精霊と激しく戦う中、アルノアは意識の深奥で自らを問い詰めていた。

「俺は、仲間を見捨てるわけにはいかない……。だけど、今の俺に何ができる?」


その瞬間、エーミラティスの声が響く。

「アルノア、お前はまだ自分の力を過小評価している。私の力を借りるだけではない。お前自身の魔力にも意思を宿すことができるのだ。」


アルノアはハッとする。

「魔力に……意思を?」


エーミラティスは戦いながら続ける。

「魔力はただのエネルギーではない。お前の意志、信念、そして心そのものを乗せれば、ただの力以上のものになる。試してみる価値はあるだろう。」


 精霊の暴走によって、シエラの魔力は荒れ狂い、彼女を中心にして激しい旋風のように渦巻いていた。アルノアはシエラに近づくために自分の魔力を放出し、それを彼女の魔力の中心に向ける。


「俺の魔力に、俺の意思を乗せる……!」


アルノアは目を閉じ、自分の中の感情を魔力に託す。彼が思い描いたのは、仲間への信頼、シエラを救いたいという強い想い、そして自分を信じる力だった。


放たれた魔力は、ただのエネルギーではなく、アルノアの心そのもののように形を変え始める。彼の魔力がシエラの荒々しい魔力に触れると、激しい衝突が生じたが、アルノアは全く怯まなかった。


 精霊の暴走が激化する中、アルノアとエーミラティスが必死にシエラの暴走を抑えようとしていると、周囲にいたユリウスたちも即座に事態の異常さに気付いた。


「これはただ事じゃない……!精霊がシエラを支配している!」

ユリウスは周囲を見回しながら状況を的確に判断した。


 ユリウスは冷静に仲間たちに指示を飛ばす。

「リリアン!すぐに回復魔法を準備しておけ!もしシエラが意識を取り戻したらすぐに使えるように!」

「それと今使えるバフを全て俺たちに頼む!」

「了解!」リリアンはその場で即座に魔力を集中させ、回復と防御の魔法の準備を進める。


「ヴィクトールまだ動けるか?あの暴走する魔力がアルノアに影響を与えないように、光の障壁を張って欲しい」

「当たりめぇだ。仲間の為だ任せろ!」ヴィクターがすぐさま光の盾を展開し、アルノアとシエラの周囲を覆うように保護する。


「デクスター!」

「分かってる、相手の動きと状況を分析する!」デクスターは暴走する精霊の魔力の動きを鋭く観察し、その中心にいるシエラの状態を把握し始めた。


 ユリウス自身もすぐに行動を開始する。彼は精密な魔法制御で、精霊の暴走する魔力の一部を中和しようと試みた。

「シエラの魔力は俺たちの仲間だ……精霊に奪わせはしない!」


複数の属性魔法を巧みに使いこなし、暴走する魔力の圧力を少しずつ弱めていく。


会場のみんなの意思がひとつになっていく。

 

 精霊の思惑とは――――

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