8.異能取締法
強さ比べが終わって、次は部屋割りだ。
女子二人は幼馴染の親友で同じ部屋でいいとのこと。
ちなみに間取りはまず玄関、リビング、正面と左右に扉があり、右がトイレ、左が浴室で正面に行くと人数分の部屋がある。
一番奥が物置、右手前が練君、左手前が女子、右奥が僕、左奥が海斗さんと決まった。
少しずつ慣れていこう。
☆☆☆
『諸君、唐突で申し訳ないが、それぞれの班のリーダーを決めてもらう。決まり次第腕輪にて報告をしてくれ』
チュン吉を僕か紬どちらの部屋に居させるか悩んでいたところ、腕輪から声が響いた。正直びっくりした。
「みんな、今の聴いたな?居間に集合や」
流石海斗さん、仕事が早い。
「リーダーを誰にするかっちゅうことやが、やりたい奴はおるか?」
「俺様以外あり得ない!」
「賛成の人〜」
0人。それぞれの理由
海斗さん:こんな少年にリーダー務まるんか?
麗ちゃん:今のところ強さ以外に良いとこないし?
茜ちゃん:一番人格者な海斗さんの方がいいでしょ
「おかしいだろ!殺すぞ!」
「ほらそういうとこ!品性が足りてない!」
などというやり取りがあり、なぜか僕がリーダーになった。まぁ決まってしまったものは仕方ない。
それよりも茜ちゃんと練君が相性良さげなことの方が気になる。
◇◇◇◇
〔S市にステージ3の異能犯罪者が出現。C班は直ちに向かってください〕
ちょちょちょちょちょちょ!いきなり何!?異能犯罪者はなんとなくわかるけどステージって何?
「S市か、すぐ向かうで!」
海斗さんがリーダーした方がいいんじゃない?あと移動手段は?
と思っていたけど茜ちゃんは普通に走って、麗ちゃんは衝撃波で加速して、練君はカッコよく剣に乗っている。
僕は歯磨き粉で滑りながら移動している。蒸発しやすくしているので後処理の心配はない。
海斗さんに限ってはパワードスーツのようなものを着ている。後で聞いたが一瞬で着脱が可能なもので、申請を出すことで誰でももらえるそう。
「お前らがが異能なんとか部隊だな!『光線』で消し飛ばしてやる!オイラの前にひれ伏せ!」
そういうと指から光線を出した。一瞬だけだが、道路に穴が空いている。
「ちょー生意気。うちあーいうの無理なんだよね!」
そう言って飛び出したのは麗ちゃん。衝撃波を交えた変則的な動きで相手を翻弄している。どうやら『光線』は打つときに硬直があるらしく、一発も当たらずに制圧してしまった。顔に衝撃波って痛そうだなー。
「そういえばステージって何?」
「え?説明みとらへんの?ま、ええわ。耳の穴かっぽじってよーく聞いとき。」
海斗さん曰く、こういうことらしい。
ステージ1 一般人でも対処可能
ステージ2 警官等なら対処可能
ステージ3 異能力者なら対処可能
ステージ4 複数人の能力者でなければ難しい
ステージ5 対処不能
ちなみにここでいう一般人や警官とは能力が発現する前の、という意味だ。まぁ上の人によると後少しで街中での異能力の使用が禁止になるらしいし、この基準となったそう。
異能対策特殊部隊にのみ特例で許可が降りると言っていた。
つまり今回は誰か一人が出ればよかったのだが、面のため全員できた。次回からは一人で行くことになるらしい。
ステージ3以下なら出る必要もないし、しばらくは暇そうだね。しばらくは思う存分ルミネを愛でることとしよう。
〜数日後〜
今日、国が異能取締法を制定した。基本的には他者に迷惑をかけなければ使ってもいいし二度までは厳重注意ですむが、それ以上は異能犯罪者と見なされる。
現行犯として一般人が異能を使って捕まえることも可能だ。結構緩いな、と思ったけど無害そうなのが結構多いからかな?工夫次第でどうとでもなるけどね。
◇◇◇◇
「この部隊に制服ができたらしいで」
ある日突然海斗さんが言った。どこから仕入れてくるんだろう、その情報。
僕は最近はまっている武器作りを中断して詳しい話を聞きに行った。今作っているのは小手。少しでも戦力になるために自作しているのだ。強度を上げると練君でも砕けないくらい硬くなるし、調節すれば布のようにも革のようにもなるからかなりやりやすい。
じゃあ制服の話を聞きにいこうか。
「さっきデザインが完成したから採寸とアレンジの注文を近いうちにしに行くことになっとる。考えといてな。後、デザインはメールに送ってあるらしい」
あ、あった。青を基調とした長ランのようなデザインをしている。正直そんなにカッコよくない。実用性を追い求めてついでに色をつけた、って感じだ。着るしかないのか・・・・恥ずかしい。