7.強さ比べ
「1384番の佐藤です。」
申請を出したところで場所と日付が書いてあったのでそれに従ったらすごい大きな建物に来てしまった。緊張しつつ受付へ行くと、腕輪のようなものを渡された。
「佐藤健吾さんですね。C班の部屋はあちらとなります。こちらは身分証明と部屋の鍵となりますので、くれぐれも無くさないようにお願いします」
流石に国主導なだけあって豪華だ。どれほど税金が使われているんだろう、、、いや、気にしちゃいけない。
部屋はここか。
「お邪魔しまーす・・・・」
うわ、広い。部屋もたくさんあるし。あ、もう誰かいる、、、
「なんでてめぇがここにくんだよ!」
うわ、あの時の少年!気まず!
「うっさいわ!仲良くせぇ」
「C班ってこれで全員揃ったんじゃない?」
「ほんとだー」
全員揃ったのか。そうか。メンバーとしては僕、少年、関西弁の人、仲の良さそうなギャル1と2。
「全員揃ったことやし自己紹介といこか。ぼくは 藤原海斗、異能力は『 転送』や。物体を手元に呼び寄せたり送ったりできる。大きさに比例して転送にかかる時間が長くなる」
「うちは 櫻井麗。『 衝撃波』っていう衝撃を出す異能力。強くすると手が痛くなる」
「俺様は 剣崎練、『 武具王』を持ってる。特殊な言語で武器を召喚して操れる力だ。数が多くなると単純な操作しかできなくなる」
「あたしは 佐々木茜。能力は『 蹴疾』で、脚力をめっちゃ強くする」
流れ的に僕か。
「僕は佐藤健吾。異能力は、その、『歯磨き粉』。名前の通り歯磨き粉を生成できる」
「「「え?」」」
「てめぇそんな能力で俺様をぶっ倒せるわけねぇだろ!ざけてんのか!?」
まぁそうなるよね
「これは嘘でも冗談でもない。足を引っ張るつもりはないから安心して欲しい」
「表出ろ!決着つけてやる」
「とりあえず決着つけたらどうなん?後で説明してもらうで」
☆☆☆
どうしてこんな目に、に、に♪
僕の頭の中には某有名ゲームに歌詞をつけた曲が流れていた。僕以外すごい強そうな能力持ってるんだよね。肩身が狭い。
「オラ、構えろ!」
「うん」
「△◆◆◆■」
前回よりも多い。
「死に晒せぇ!」
宙に浮かぶ武器が僕に向かって飛んでくる。けど、対抗策はもう立ててある。
酸性をマックスに、粘度をゼロに。
イメージするのは酸性雨。
そして僕はアルカリ性をマックスにした傘のようなものでガード。
武器が次々と溶けて・・・・・・あれ、練君まで溶けないよね?大丈夫?
「▽!△◆!▽△!!」
声が聞こえるし大丈夫だろう。そろそろ良いかな?
「ハァ、ハァ、耐え切ったぞ、クソが」
武器を頭上に連続で召喚して耐えたのか。ただ、所々当たってしまっている。痛々しい、、、
「次は俺様の番だ!◆▲▼▲◆!」
金を中心とした豪奢な剣が六本。今までとは格が違う。
「ぶっ殺す!」
まっすぐ向かっていく。でも残念。
さっきの雨で煙が上がっているので、それに隠れて回り込んでいたのだ。いま練君が攻撃しているのは能力で作った囮。申し訳ないけど、舐められるわけにはいかないんだ。
「首をトンってやるやつ!」
「カ・・・・・・」
名前が思いつかなかったからそのまま言ってしまったけど、これなら何も言わない方が良かったな。
「・・・・・・すっっっっご!」
「ゴッツ強いやんけ!」
「何今の!何今の!」
どうやら認めてはもらえた、のかな?
「見たとこその子が一番強かったんやけどな。大番狂せや!」
お、煙が晴れて──
「え?」
地面が溶けて気持ち悪い感じになっている。
みんなは・・・・気づいてないな。埋めとこ。
◇◇◇◇
「正直異能力って割と平等だと思うんだよ。多分弱いって言われる能力ほど応用の幅が広いんだ。あと得意不得意はそんなにないと思う。うちの妹は『治癒』を持ってるんだけど、前に力を込めすぎてどんどん衰弱してしまったんだ。細胞が活性化しすぎて体力が減っていたんだと思う。しばらくしたら治ったけどね。そんなわけで異能力に上下はない、というのが僕の見解かな。」
「なるほどな。僕のアポートも使うタイミングとかしか工夫のしようがないけど、健吾の歯磨き粉は色々と調整できるってことか。」
「さっきのは酸性をあげたりしてたね」
ひとまず舐められることは無くなった。ちなみに数日かけて強さを比べた結果、僕、練君、茜ちゃん、麗ちゃん、海斗さんという順番になった。ただ海斗さんは小道具とかを持たせたら凶悪なんじゃないかな?
作者の頭の中でもずっと流れてます