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インテグレーションノイド

主人公アラキが、人型巨大兵器、“インテグレーションノイド”を駆って巨大生物、“イビルリード”と戦う物語。


コンテスト用に執筆した作品のため、内容は中途半端です。

『アラキ様、出撃準備をお願いします』


 自前の巨大トラック内にあるプライベートルームに、スピーカー越しの声が響く。


 俺の雇い主の部下である、女オペレーターの声が。


「依頼内容は?」

『アントタイプが六体、街の北東より接近』


 多いし、どんどん襲撃の間隔が短くなってるな――この街も、あと一年持つかどうかか。


『……逃げ出さないでくださいよ』

「雇い主が逃げださない限り、俺は逃げねぇよ」


 他の同業者と違って、俺はそこまで自分の命に執着してないし。


「アントタイプならハンマーが欲しいな」

『すみません、上からはシュナイダーで迎撃させろと』


 自社製品を使えってか。


「虫タイプは、切断したくらいじゃなかなか死なないんだがな」


 軽口を叩きながら上着を脱ぎ、仕事着の黒いピッチリスーツ姿に。


『本当にすみません』

「良いさ、不良品を渡されるよりは」


 自社製品を使わせるっていうなら、整備不良の武器を寄こすクソ野郎共よりは遥かにマシだしな。


 軽く準備運動し、俺が所有する巨大トラックの荷台へと上がる。


 俺が荷台に上がったのを感知し、トラックのAIが、俺の相棒を拘束するアンカーを解除していく。


 人型巨大兵器――“インテグレーションノイド”。


 全長七メートルで、赤黒い人工筋肉に鈍色の鎧パーツをくっつけただけの、昔の創作物に出て来るような内臓兵器など一切無い、地味な巨人。


 他の同業者とは鎧による見た目の差はあれど、人工筋肉内の性能は変わらない。


 生体認証している俺が近付くと、勝手に胸部分のパーツが開いてコクピットが顕わに。


 足を伸ばした状態で仰向けになり、機体備え付けの口マスクを装着。


 両腕を水平に、横の穴に突っ込んだのち、深呼吸。できるだけ息を吐き出す。


 これをやらないと、操縦中に肺が苦しくなって“リンク”が切れかねないんだよな。


『機体とのリンクを開始』

《リンクを開始します》


 女の機械音声が流れたのち、コクピットの出入り口が締まり、身体の手脚や胸部を背後の人工筋肉が包んで固定していく。


 次に、コクピット内を青い水が満たし始める。


 冷たい感触が首下まで登ってきたところで、俺は目を閉じて意識を鎮めていく。


 肉体の感触が意識から離れ、神経が鈍い間隔とジワジワと繋がっていく。


《――来たな》


 視界は、トラックが置かれた街の絶壁と青空を捉えていた。


 この街に流れ着いて半年、幾度も見た光景。


《さあて、行くか》


 身体の各所に重りを付けたような間隔に抗いながら、()()トラックの荷台から立ち上がる。


《ちょうど来たな》


 俺の青いトラック横に、“インテグレーションノイド”用の武装を運ぶグリーントラックが止まった。


『聞こえますか、アラキ様?』

《ああ、聞こえてる》


 さっき話していた女オペレーターの声に返事を返す。


『お話ししていた“シュナイダー・アンジュレーション”です。どうぞ、お使いください』


 グリーントラックの荷台ボックスが開き、そこから黒い片刃ナイフが出て来た。


 長さは四メートルほど……ちょっと心許ないな。


《切れ味は良いんだけれどな》


 “インテグレーションノイド”には、その機能上、内臓武器が無い。


 こうして軍需企業からのレンタル品を使わせて貰うのが、一般的な傭兵。


 まあ、俺じゃ武器の整備なんてできないから、なんだかんだでありがたいんだけれどさ。


 俺がシュナイダーを掴むと、グリーントラックは荷台を閉めて逆走行を開始。絶壁下部の搬入口へと戻り、直後にゴツい防御シャッターが勢いよく下りてくる。


 俺たち傭兵には、あの扉の先に行く権利は基本的に無い。


 世界中に点在する街の外に居る人間は、そのほとんどが俺のような傭兵だろう。


『橋に到達する前に駆除を願います』

《了解。いつも通り、緊急以外の連絡はしてこないでくれ》

『ご武運を』


 通信が切れたところで、俺は――()()()()()()()()()!!


 街の下から八方に伸びる巨大な橋の一つを駆け抜け、荒れた大地へと踏み出す。


《フー、今日は陽射しがキツいな》


 これだけキツいと、()()()()()()()()()()


《……あれか》


 今の俺よりもデカいアントタイプ六体を視認。砂煙を上げながら、俺が担当する北東橋目掛けて一直線か。


《飛び道具が欲しくなるね》


 コストが掛かる飛び道具なんて、この程度の奴等相手に支給してくれるはずもないが。


《――行くぞ!》


 シュナイダーを握る右腕を後ろに構えながら逆手に持ち、正面から突撃!


 ――先頭のアントと接触、する直前に跳躍――“シュナイダー・アンジュレーション”の高速振動機能を使用した状態で、背面をすれ違い様に切り裂く!


 派手に体液をぶちまけて、絶滅したようだ。


《よし、進行は止まったな》


 アントタイプは、一匹潰すと近場の仲間が仇を取ろうとする習性がある。


 まあ、ぶちまけられた体液から出るフェロモンか何かで、群れの脅威を排除する事を優先するとかなんとか……だったかな?


 凶暴性が増したアントタイプが散開し、俺を囲うように陣取る。


《ほら、来いよ》


 どいつから飛び掛かってくるかと警戒――してたら、一斉に飛び掛かって来た!!


 ――姿勢を低くしながらアントタイプの一体の下に潜り込むように跳び、再び逆手持ちのシュナイダーで腹部分を大きく切り裂く!


『ギギ……ギ』


《さすがに、虫タイプはしぶといな》


 だから、叩き潰すかぶち抜く武器が欲しかったのに。


 ――今度は、四匹が横並びに迫ってきた。


《やってやるよ!》


 一匹の前に出て、アッパーで顎を打ち上げる!


 虫タイプは、大きさの割に軽い!


 それに、アントタイプの身体を徒手空拳で凹ませるくらいのパワーは、全ての“インテグレーションノイド”に備わってんだ。


 首を落としても暫くは動く奴等だ。できるだけ大きく切り裂かないと死にやがらねぇ!


 ――囲まれながらも、顎が届く前に殴る蹴るで迎撃! 身体を少しずつ切り裂いて触覚や脚を落としていく!


 動きが鈍って来たところで、シュナイダーを深く抉り込ませ、一匹一匹、確実に息の根を止める。


《ハアハア、ハアハア》


 身体は大して疲れてないはずなのに、息切れしてしまう……生の肉体の感覚に引っ張られてるんだろうな。


《結構、傷だらけになっちまった》


 人間で言えば、かすり傷程度だが。


 特に痛みは感じないものの、どこがどの程度傷付いたかは大体感覚で解る。


 それが、この“インテグレーションノイド”に採用された技術、“ダイレクト・センシーズ”。


 俺のような訓練を受けていない人間でも動かせて、損傷部分も触覚を利用して自動再生してくれるメンテナンス要らず。


 それが奴等、“イビルリード”に人類が対抗するために求められた機能だった。


 損傷を意識したおかげで、小さな傷は既にナノマシンによって修復済み。


《そろそろ、予備の“人工筋肉”と“オリハルコン”を補充しとかないと》


 損傷時には、脇腹辺りに増設した資材を使い、極小のナノマシンによって万全な状態に修復される。


《さっさと報告するか》


 “イビルリード”の死骸は、軍需企業がそれなりの値段で引き取ってくれる。


 ここでの回収部隊の護衛も、俺の仕事に含まれてるからな。


『――緊急連絡! そちらにイーグルタイプ接近! 数は1です!』


《飛行するタイプの“イビルリード”だと!?》


 俺たち傭兵が一番避けたいのが、飛行する“イビルリード”の相手。


《飛び道具の準備だ!》

『接敵までもうすぐです! 今からじゃ間に合いません!』


 クソ、どこからだ!?


《――しまった!!》


 右腕を鉤爪で掴まれ、上空に引っ張られる!!


 コイツ、太陽の光に隠れて急降下してきやがった!


 視覚を始め、五感全てを機体と共有しているため、人間に通じる古典的な手でも“インテグレーションノイド”には通用してしまう!


《コイツ、長寿個体なのか?》


 長生きしている“イビルリード”は、小賢しい行動を取るようになるが。


《……まずいな》


 どんどん高度を上げている。


 数百メートル上空から叩き落とされたら、機体との意識リンクが切れる程のダメージを負いかねない。


 頭から落ちたら、生き残れても廃人に片足突っ込んじまうかも。


《離せ、この野郎!!》


 左手で鉤爪の足首を握るも、ビクともしない! それどころか、俺の腕を締め付ける力が強くなっていく!


《……仕方ない!》


 殴りまくって、より鉤爪の握る力を上げさせる!


 腕に掛かる圧が増し、鈍い圧迫感が強くなっていく。


《フー――くれてやるよッ!!》


 ――鉤爪から逃れるため、肘から先の右腕を自分から引き千切るッ!!


 すぐさま脚と左腕だけで、イーグルタイプの背まで一気に駆け上がった!


 実際に腕が引き千切れた場合の痛みと比べれば大したことないとはいえ、嫌な汗をかいている気分!


 ――コイツ、いきなり急降下を! 俺を振り落とそうってか!


《ふざけやがって!》


 翼に組み付いて折ると、落下の勢いが落ちた。


 ――左腕をイーグルタイプの首に回し、一気に締め上げてやる!!


 暫くの抵抗ののち、力が抜けたイーグルタイプが本格的な落下を始めた。


 なんとか身体を捻って、イーグルタイプを下敷きにする形で落下。地面への接触間際にジャンプして落下の衝撃を軽減する。


《……フー、臨時報酬でも貰わないと割に合わねーな》


『お疲れ様です、アラキ様』

《死骸の回収を頼む》

『イーグルタイプは貴重ですから、状態しだいですけど、なかなかの額になるかと』

《ハハ、ならありがたいね》


 ……臨時報酬云々、聞かれてたかな?


《“人工筋肉”と“オリハルコン”の支給を頼む。金額は今回の死骸金から引いてくれ》

『今なら、“イビルリード”製の鎧の方が安上がりですよ? これを機に鎧を一新しては?』


 “イビルリード”の死骸には様々な用途があるが、ここ五年くらいは主に“インテグレーションノイド”の鎧用に使われている。


『我が社の新モデルには多彩な機能が備わっており、アントを用いたアーマーであればオリハルコン製のおよそ四分の一の予算で都合――』

《悪いけど、俺は純オリハルコン製のままで良いから》


 三十年前に突如出現するようになった巨大生物の総称、“イビルリード”。


 奴等の数が増えるほどに土地が荒れ、人類の生活圏は減少の一途を辿っている。


 その“イビルリード”を素材にした鎧と一体化するとか、根拠は無いけれど、俺は忌避する気持ちの方が強い。


 素人でも立ち向かえ、メンテナンスフリーで運用可能な技術的特異点の結晶、“インテグレーションノイド”。


 そんな兵器があっても、人類は確実に“イビルリード”によって滅びる事になるだろう。


《今日くらいは街で食事したいな》

『おごってくださるなら、良い店を紹介しますよ?』

《へ、それって食事の誘い?》


 今まで一度も、そんな素振りなかったのに。


『……私であれば、一時的に街に入る手続きをして差し上げられますが?』

《お、お願いします……》


  顔も知らない相手と食事か……緊張するなぁ。



           ★



「お待たせしました、アラキ様」


 街の搬入口内部で待機していた俺の前に現れたのは、予想よりもずっと若い美女、いや、美少女だった。


「どうしました?」


 金髪ロングに青いシンプルなドレス……飾りすぎず、飾らなすぎずという所に彼女の人格が見て取れる。


「いや、君がこんなに若い娘だなんて思ってなかったから……」


 心の底から予想外。若くても二十代半ばくらいかと。


「フフフ! 私、アラキ様と同い年ですよ?」


「君くらいの娘がオペレーターをやってるとは思わなかったよ」

「それは私もです。貴方の担当になると言われて資料を渡された時、二十歳と知って驚きました」


 確かに傭兵は、俺より年上ばかりだな。特にフリーの傭兵は。


「実は、私が貴方と食事に行くと知って、同席を求めて来た方がいまして」

「へ?」

「やあやあ、お邪魔して申し訳ない」


 三十代くらいの金髪のイケメンが、物陰から現れた!?


 あの格好、いつの時代の貴族だよ!


「お詫びと言ってはなんだが、今回は私が奢らせて貰おう」


 ……美味いただ飯食えるなら良いか。



           ★



「味はどうだったかな、アラキ君?」


 案内された個室で、洋食のフルコースをごちそうになった。


「美味しかったです。魚なんて久しぶりに食べました」


 “イビルリード”は現生物を根絶やしにするため、魚や肉は街で養殖された物しか食べられない。


「それは良かった……そろそろビジネスの、未来の話をしようか」


 まあ、一介の傭兵と食事がしたいなんて、裏があるに決まってるよな。


「オリハルコン製の鎧を好んでいるそうだね。今後も、“イビルリード”製の鎧を用いる気は無いのかな?」

「……オリハルコンが手に入らなくなる、なんて事にならない限りは」

「私は、“イビルリード”製の鎧には嫌な予感を覚えていてね。だが、世界中の軍需企業が、安上がりの“イビルリード”製を優先的に扱う動きが活発だ」


 この街の軍需企業、【アルデバラン】だけじゃなく、軍事業界全体の動きなのか。


「アラキ君、私の会社が開発した新型鎧を使ってみるつもりはないかな?」

「オリハルコン製の鎧ですか。でも、なんでわざわざ俺に?」

「彼女が調べた限り、個人で動く傭兵でかつスゴ腕で、オリハルコン製に固執しているのは君くらいだった」


 雇用条件を満たしたのが俺だけと。


「その鎧で活躍して、新型を宣伝しろと?」


 “インテグレーションノイド”の基本性能は、誕生から二十年経った今でもほとんど変わっていないという。


 つまり、性能の底上げをするには強い鎧を手に入れるしかないわけだが。


「オリハルコン製よりも、“イビルリード”製の方が様々な面で優れてますしね」


 女オペレーターが口を開く。


「そんなにですか?」

「純粋な頑丈さならオリハルコン製が一番ですが、“イビルリード”製の方が軽くて弾力性があるなど、使用者から好評のようです」


 現場の人間が、そこまで評価していたのか。


「勘違いしないで欲しいのだが、私個人は宣伝を望んでいるわけではない。結果的にそうなれば良いとは思っているが」


「では、何が目的で俺に?」



「無論、“イビルリード”から人類を救う事だ」



 それをハッキリと口にする人間がいるとは。


「人類はこの三十年、防衛に徹する事でなんとか耐えていた。だが、このままではいずれ人類は、“イビルリード”の進行に呑み込まれるだろう」

「……その流れを、その新型一機で変えられると?」


 どんな高性能機でも、一機だけでは無理だろう。


「その通りだ。だから、君に望むのは二つ。新型鎧のテストパイロットとして、私に雇われること」


「……二つ目は?」


「――“イビルリード”調査隊への参加だ」


 調査隊?


「なんのための調査で?」

「決まっている。“イビルリード”の生態、ひいては弱点、根絶法を見付けるためだ」


 根絶法ときたか。


「調査隊には、彼女も参加する」


 オペレーターの娘も?


「彼女と貴方の関係は……」

「私の姪だ。この街の軍需企業、【アルデバラン】には経験を積むために就職していたのだ」

「今日のうちに辞職し、叔父の会社に再就職しますので。アラキ様の分もやっておきますから、お気になさらず」


 意外に強引だな、この娘。


「そんな重要なプロジェクトに、傭兵である俺を?」

「アラキ様ほど、“イビルリード”との()()()()()()()()()はおりませんから」


 略歴は、雇って貰う際に提出してたけれどさ。


「……只の負け犬ですよ」


 幾つの街が崩壊する様を見てきたことか。


「私に、雇われてはくれないか?」


 柔らかな雰囲気が失せ、まるで為政者の威圧感。


「……もう少し、調査の詳細とか教えて貰えます?」


 結局、俺はこの人に雇われる事を選んだ。



           ★



「ようこそ、アラキ様」


 一昨日、食事をした相手、エリンさんが出迎えてくれる。


 後日、指定された工場内に俺の相棒を運び込んだわけだが。


「アレが、例の新型鎧か」


 純オリハルコン製と聞いていたけれど、全体的に銀色だな。


「さっそく、アラキ様の“素体”への移植を開始します」


 使い慣れた素体とそうでないのとでは、一体化時のフィット感が随分と違うからな。


「ああ、頼――」

「ちょっと、まちなさいよ!」


 橙色の髪をショートポニーテールにした女が、倉庫内に入ってきた?


「……エリン、本当にコイツに新型を?」

「紹介します、アラキ様。この新型鎧、“シリウス”のテストパイロット兼、開発責任者であるウルさんです」


 華麗に無視してる?


「彼女が、前のテストパイロット? なら、俺は要らないんじゃ……」

「彼女は、“イビルリード”に対してトラウマがあるため、実戦での運用テストはできておりません」


 トラウマか。“ダイレクト・センシーズ”故のアレだろうな。


「……()()()()()()()()()()()()()を務める、ウル・ガラスタよ。一応、よろしく」

「……よろしく」


 差し出された手を取り、握手を交わす――予想通り、嫌がらせしてきやがった。


「もう一人ってのは?」

「食事の席では明かせなかった、このプロジェクトの最重要機密事項に関する事です」

「付いてきなさい。“インテグレーションノイド”の歴史を変える開発成果を、アンタに見せて上げるわ」


 案内された先に鎮座していたのは、“シリウス”と同系色の……鳥を模した戦闘機?


「こんな高コストな物、いったいなんのために……」


 人型から外れた兵器は、“ダイレクト・センシーズ”が機能しない。


 “ダイレクト・センシーズ”が適用できないということは、ナノマシンによる自己修復機能も使えないということ。


 戦闘機も戦車も戦艦、“イビルリード”出現から“インテグレーションノイド”が開発される十年間の間で、瞬く間に姿を消した時代遅れの欠陥兵器だ。


「この子の名前は“ジオ・アルタイル”。“シリウス”に飛行能力などを与える、新機軸の合体兵装よ」

「鎧に飛行能力を? そんなの不可能だ! これまで成功した試しなんて一度もない!」


 人は飛べない。だから、理論上は飛行可能な鎧を作れても、“ダイレクト・センシーズ”では自在に飛ぶことは不可能だったのだから。


「だから、もう一人必要なのよ」


 もう一人のテストパイロットが、“ダイレクト・センシーズ”の後遺症持ち……。


「……まさか、分担するって事なのか?」

「そう。合体時の飛行、“ジオ・アルタイル”の火器管制は私が担当し、アンタはシリウス本体の操縦担当。これが――新世代の“インテグレーションノイド”よ!」


 ウルのさっきまでの険悪な空気はどこへ消えたのか、無邪気な笑みを向けられる……。


「……俺は、予想よりもとんでもないプロジェクトに参加させられたんだな」


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