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焦熱の孤島

「島」


「島......?」

 サヤカはそう聞き返す。



「そうだ。俺の本当の魔法は、『この島と元いた場所を行き来する魔法』だ」


「あー...」


「この島のどこに来るか、そしてどこに戻るかには、ある程度融通がきく」

「普段はこの魔法を連続で使って、ただのテレポートに見せていたんだ」



「そうなんだ...スゴイ......!」

「...じゃなくて!!?今これを見せて、何なの!?私に教えたから何!?」

 サヤカは激しい剣幕で畳みかける。



「分からないか?」

「俺はお前をこの島に置き去りにして、1人で学校に戻ることができる」


「...!」



「そしてお前は、生涯をこの島で終えることになる!」


「...ハアッ!?」


「この魔法を知っているのは俺とリントだけだ」

「だから決して足がつくことはない!!」


「バカ!返せ!!」


「ッハ!!良かったな!こんな素敵な島に住めるなんて!!」

「お前の大好きな非日常だぞ!!!」


「バカ!!住み始めたら日常でしょう!!?」



「─クソがテメェ...よくもリントを...!」


「...えぇ?だから、なんでリントの話が...」



 こいつ、この後に及んでまだすっとぼける気か!!!


「いいか...リントはな...」

「リントはな!俺の!全てなんだよ!!」


「...!!?」


「それをなんだって...テメェなんかが!!」


「な、なんなの...?私リントに、何かした...?」


「ふざけんな!!お前がリントを拐ったんだろ!!?」

「どこにやったんだ!?言え!!!」

 俺はサヤカに詰め寄る。



「...!?ちょ、ちょっと!?」


「引き渡しは、今日の20時らしいじゃねぇか...まだなんとか間に合うかもしれねぇ!」


「ちょ、ちょっと!?聞いて!?」


「ああ聞くよ!!何ですか!!?」



「私!リントの誘拐!知らない!」



「......は?」


 ......え?



「はぁ...多分、私の家族がリントをさらったってことね?」

 フリーズする俺をよそに、サヤカは砂浜に座り込む。



「...そうだが?」


「私は、家族のこと大っ嫌いだから...そういうのとは一切関わってないの!」

「だから何も知らない!」


「......あぁ!!?」

「...ま、マジかよ...じゃあ」

 血の気が抜け、膝から崩れ落ちる。



「あいつがどこにいるか、分からないじゃねえか...」


 このまま時間だけが流れれば...リントとはもう...

 脳は逃避を試みるも、膝を刺す砂粒の痛みがそれを許さない。



「...イヤ、まだ手は...ある」

「おい。こっち向けっ」

 サヤカは念力で、俺の顔を無理やり彼女の方に向けさせる。



「...何が?」


「今から私が...学校の電話を使って、家に連絡する」

「適当な使用人が電話を取れば、私がこの誘拐に関わったフリをして...情報を聞き出すことができるかも」


「...いけるのか?」

 そう返した時の俺の目は、ずいぶん褪せた色をしていただろう。



「やる」

「...やりたい」


「やりたい...??」


「だって─」


 ─だって、楽しそうじゃんっ



 ――

 ―



 パッ


「ふー、戻った...コホッ、ホコリやだっ!」

 サヤカは天井から降る埃に参っている様子。



「とりあえず、お前は服を着な」


「言われんでもするわ!」

「...あっ、ヒールは転移で来たから、服無いのか」

「体操着あるけど、使う?」


「いらん...!それより、早く...」

 ...とまで言ったところで、勢い良く扉が開く。



「オイ!!ここか!?なんかさっき、悲鳴が聞こえた気がしたんだが!!?」

「......!?!?!?」



「あ、ダイキ......」


 ダイキは扉の前で棒立ちになる。


「......は?」

「......は?オマエら...こんな...倉庫で...」

「.........は?」


「ダイキ!!!」


「アァッ!!?」


 俺は強くダイキの肩を掴む。



「丁度いい、お前も加われ」


「...加わるって...え...」

「......えぇ???」


 ―――

 ――

 ―


「ジョンさん!車貸してください!」


「おや、ダイキ...と、ヒールに、サヤカまで...」

「どうしたんだい?」


「今すぐ行きたいところがあるんです!」


「あ、ああいいよ別に、私が運転するから」

「で、どこに行きたいの?」


「あぁ...サヤカ!」

 ダイキはサヤカに呼びかける。



「ええっと、行き先は──」


 ―――


「もしもし?」


「ああ、サヤカ様。どうなさいましたか?学校から...」


「私、昨日リントをさらったじゃない?あの後、そいつどこに運んだんだっけ〜?」


「はぃー、ええっと...」


 ―――


「──ノームの大森林です!」

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