「島」
―――ピーンポーン...
「リントー?」
リント宅のインターホンを鳴らすも、応答がない。
「おいおい、寝坊かー?」
いや、寝坊っつっても...今日の夏期講習、13時からなんだが...
現在12時。健康的なリントが、そんなお寝坊さんをしちまうなんてな...
「入るぜー」
パッ
俺のテレポートを使えば、鍵付きだろうと侵入は容易い。
俺は全裸のまま、リントの寝室へと入り込む。
「さて、どんな呑気な寝顔を見せてくれるか...」
「.........」
...いません、と。
「リント〜?」
全体を見通したが、どうにもリントは見当たらない。
つーか、玄関にリント愛用の靴がない。
「...そりゃそーか」
あんな酷いこと言っちまったんだもんな...
フツーに自分だけで学校に行ったわけだ。
「これじゃただの空き巣だな......」
俺がそんなことを呟いていると、
「ヒール先輩!?いますよね!?」
ドンドンドンと、扉を叩く音と共に、外からシラキの声がした。
「...ああ!いるよ!」
外に散らばった俺の服を見て、そう判断したのだろう。
「じゃあ!ちょっと開けてください!」
「ああ...」
...しかしなんだって、そんな切羽詰まった感じなんだ?
少し疑問を抱きつつも、ひとまずは扉を開ける。
「キャア!!」
「あ、ごめん」
「...はい!これ!!服!!!」
「ん、ありがとう」
シラキは俺の服をむんずと掴み、俺に押し付けるように渡した。
ササッ
「えっ...着替えるの早っ」
「まあ、慣れてるからね...」
「ところでどうしたの?そんな......」
そんな焦った様子で、とまで言おうとしたところで、
「──それです!!大変なんです!!!」
シラキは強引に口を差し挟んできた。
「んん...どしたの?」
「─リント先輩が、さらわれました!!」
「...はあ!!?」
「...どういうこと?」
...なんだよ急に......
......え?リントが?
「...その、サヤカ先輩って、いますよね」
「う、うん...」
「サヤカ先輩の一家は、犯罪組織だったんです!」
「......あぁ!!?」
「サ、サヤカがあ!?」
「はい」
「な...なんだよ...」
......???
なんだよ、いきなり...わけわかんねー...
呆気にとられる俺をよそに、シラキは話を続ける。
「マークが見えたんです!サヤカの家の人から!」
「ウーベンワーカーの!!」
「...何だって!?...なにそれ!?」
...なにそれ!?
「ある悪名高い犯罪組織の名です!そのトレードマークをつけた人が、昨日の帰り際にリント先輩を縛って、車でどこかへ連れていってしまったんです!!」
「......」
そういえば...昨日の夜にリントの宅を訪ねたが...そのときもリントは不在だった......
すべて口述で、そして信じられないような話だが...
シラキの真剣な話具合から、それがだんだんと真に迫ったものに感じてくる。
「...通報は!?したのか!?」
「しました!?ダメでした!!」
「えぇ!!?」
「相手がウーベンワーカーと知ったら...まともに取り合ってくれませんでした!!」
「ああ...確かに『アソコ』はそんな感じだったなあ!!」
「サヤカの家も厳重だし...ホント、僕には...先輩に伝えることしか...できませんでした...」
シラキは息を切らして立ち尽くす。
「いや、十分だよ...本当にありがとう」
俺はシラキに礼を告げ、そして、
「ちょっと行ってくるから...俺の服、頼んだよ」
「...先輩?」
パッ
「あっ...」
「...先輩......」
―――
――
―
ザッザッザッ
ガラガラガラ...
「コホッ...ホコリっぽ......」
「えーっと、ホウキは...どこにしまうんだっけ...」
ザッ
「サヤカ」
「ん?......キャアッ!!!」
「ヒール!?なんでハダカ!?」
ふためくサヤカを無視し、後ろ手で扉を閉める。
「クソが...なんで掃除倉庫なんかにいんだよ...わかりずれぇ」
「...どうしたの......?」
「リントはどこだ...!?」
「えっ...?あっそういえば、リント今日学校来てないね」
......こいつ...
「...お前、ウーベンワークスの一家らしいな」
「......!!」
サヤカはギョッとした顔をする。
「なんで...知ってる...の?」
「お前の家を調べたよ...俺の魔法なら、侵入は容易い...」
「...はぁ!?ハダカでウチ歩き回ったの!?」
「......何で!?」
サヤカの家には、計画書...のようなものがあった。
リントをどうさらうか...
そして、いつ身柄の引き渡しを行うか...
だが、『アレ』が書いてないんだよ...
リントを『どこ』にさらっていくのかが...!!
「...サイアクッ」
「...ッ!!!」
「オイ!クソ!全部吐け!!」
ギッ......
「ぐ...!」
「...サイアク......」
何か見えない力で、俺の首が締め上がる。
サヤカの魔法、念力だ...!
「その家に生まれたことは...私の唯一の汚点なの...!」
「誰かに言いふらしたら...ぶっ殺す!!」
ギッ...ギッ......
「...お前、が......」
コイツから、今すぐリントの情報を吐かせるには...
「お前、が...リントと結婚すると...思ってたよ」
...俺の魔法を、見せるしかない。
「...は?」
パッ
「...!」
俺はまず、サヤカの目の前に転移し、サヤカに触れ...
パッ
そして再び、サヤカごと転移した。
――
―
「チッ...アンタ一体、私をどこに...」
「...えっ?」
サヤカは辺りを見渡し、絶句する。
ザー......ザザーン......
その目線の向こうには、見渡す限りの、海。
背後では、木々がざわめいている。
「...はぁ...?マジで...どこ...?」
サヤカはこちらをゆっくりと振り返り、そう質問をする。
だから俺も、すぐに答えを与える。
「島」
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