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99話 あやめを誘う

 朝、九郎が目覚めると玉枝が彼を抱き枕にしている。玉枝が玉藻前とわかっても九郎の生活は変わらない。

 九郎は起きようとしてもがく。玉枝が目を開けて言う。

 「私としたいなら言えばいいのに。」「僕は起きたいだけです。」

 「それならごそごそしなくて起きればいいでしょ。」「玉枝さんが抱き着いて起きられなかったのですよ。」

 「キスすれば離してあげるわよ。」「しません。」

九郎は玉枝と30分位問答して起きる。玉枝は起きると朝食を作り始める。九郎は、スマホで調べものを始める。

 玉枝は朝食をテーブルに並べる。はちみつをたっぷり塗ったパンにオムレツである。

 九郎は「いただきます」をして食べ始める。彼は玉枝の料理を褒める。

 「玉枝さんのオムレツは、いつもおいしいよ。」「私もおいしいかもしれませんよ。」

 「玉枝さんを味見するつもりはありません。」「もう少し、私に溺れても良いと思うわよ。」

九郎は聞かなかったことにする。玉枝は残念そうに朝食の片づけをする。

 彼は下着のまま、スマホを操作し始める。今日は出かける予定がないので着替えない。玉枝もネグリジェ姿のままだ。

 玉枝が九郎に聞く。

 「九郎ちゃんがスマホをずうっと触っているの珍しいわね。」「調べものしているんだ。」

 「何を調べているの。」「夏祭りだよ。この前は邪魔されたから、どこかに花火を見れる夏祭りがないかと思っているんだ。」

 「あやめちゃんと思い出を作りたいのね。」「そうだよ。」

 「そろそろ隣町で夏祭りがあるはずだけど。」「ありがとう。調べてみるよ。」

町の名前で検索すると玉枝の言う通り、3日後に夏祭りが開催されることが判る。花火もあるので九郎の希望に叶う祭りである。

 九郎は早速、あやめに電話する。

 「あやめ、おはよう。」「おはよう、九郎。どうしたの。」

 「3日後に隣町で夏祭りがあるけど一緒にどうかな。」「誘ってくれるの。」

 「うん、2人で行きたいと思っている。」「うれしい。楽しみにしているわ。」

 「午後4時に迎えに行くよ。」「待っているわ。」

九郎はあやめと祭りに行く約束を取り付ける。


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