71話 翼家の夕食
あやめは2階の九郎の隣の部屋を借りる。
九郎は、夕食の前に風呂に入る。玉枝がいつものように裸で入って来る。玉枝は九郎の体を丁寧に洗いながら言う。
「九郎ちゃん、さっきは惜しかったね。」「両親の前ではできないよ。」
「もうこれは、夜這いしかないわ。」「あやめに嫌われてしまうよ。」
「嫌よ嫌よも好きのうちよ。」「あやめは本気で嫌と言ったと思うけど。」
「そうね、あやめちゃんならそうかもしれないわ。」「僕は今でも幸せですよ。」
「九郎ちゃんは、のんびりよね。」
玉枝はため息をつく。九郎は風呂を出て居間に行くと先に風呂に入っていたあやめがいる。九郎は風呂上がりのあやめを色っぽく感じる。
両親は帰って来てからいろいろと用意している。あやめが九郎に聞く。
「ご両親、赤飯を用意していたんだけど、何かお祝いがあるの。」「たぶん僕に彼女が出来たお祝いだよ。」
「そんなにすごいことなの。」「僕、地元では友達いなかったから、余計に喜んでいると思うんだ。」
「うれしいのね。」「悪いけど、両親に付き合ってあげてね。」
居間のテーブルには赤飯と鯛のつくりのほか尾頭付きの鯛の塩焼きが並べられる。
父の義郎は、ビールを持ってくる。みんなが席に着き、ビールがいきわたると義郎が発言する。
「社本さんが彼女になってくれたことに乾杯。」「乾杯。」
「社本さん、夏祭りまでいてくれるでしょ。」「夏祭りですか。」
「ええ、1週間後にあるのよ。」「そんなに長くいてはご迷惑ではないですか。」
「自分の家のつもりでいてくれればいいのよ。」「家に電話して決めます。」
「大丈夫だよ、一久さんと話をして、1週間こちらにいることになっているから。」
親同士で手を結んでいるらしい。あやめは父親の笑っている顔を思い浮かべる。
「分かりました。お世話になります。」「あやめ、ごめんね。」
「いいのよ。父も絡んでいるみたいだから、それに夏祭り楽しみだわ。」「そう言ってくれると助かるよ。」
九郎もあやめも2人で夏祭りに行けるので不満はなかった。




